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・〜幸side〜・
保健室独特の消毒と少しだけ埃っぽい匂いが鼻をかすめる。
幸「失礼しまーす…先生いらっしゃいますか」
誰もいない、ね。
ふとカーテンの降ろされたベッドに目をやった。
幸「…やっぱりここに居た。なにしてるの優」
名前を呼ぶとムクリ、と人影がベッドから起き上がる。
優「幸…?どうしたの」
幸「…別に。暇だったからサボりに来ただけだよ優は?」
優「んー、寝てた」
でしょうね。
急に優が幸の頬を撫でる。
優「…ふふ。幸、可愛い」
その言葉に自然と頬が赤らんでいくのが分かった。
ホント単純バカだよね、私。
幸「嘘つき、」
優「嘘じゃないよ。…ねぇ、なんでここ来たの?」
幸「さっきも言ったでしょ。暇だったからサボりに」
優「本当にそれだけ?」
優が幸の言葉を遮っていった。
まっすぐと私を詮索するように目を合わせる。
私は、この目が嫌いだ。
何も言わなくても全部見透かされてしまう気がして怖い。
優「…寂しいから僕のところに来たんでしょ」
幸「寂しくなんて…ない。」
ふーん。と優が呟く。
優「嘘をつく幸は好きじゃないよ」
幸「…」
否定できない。
本当は寂しいから来たなんて言えない。
言ったら負けだと思うから。
きっと君のペースに流されてしまうから。
優「…ねぇ、寂しいんでしょ。いいよ、しよっか。」
優が私を押し倒す。
あぁ、結局また流された。
こうなったら私は勝てない。
最初は触れるだけのキスをする。
その後は少しづつ上から下に指が流れる。
学校だから声は出しちゃいけないよね。
優「…幸、気持ちい?」
力が入らない。
ふわふわと思考が鈍っていく。
幸「…う、ん。気持ちいいよ」
君に触られると、全身があつくなっていく。
頭のてっぺんから足の爪先まで支配されているような感覚になる。
優「好き。好きだよ、幸」
こういう時に言う君の好きは本当の好きじゃない___。
いつからだろうか、こんな関係になったのは。
最初はこんな関係じゃなかった。
初めて会ったのは半年前__
高校の入学式だった。
幸「私もついにJKかぁ…」
少しだけ期待に胸を膨らませて門をくぐった。
今は入学式の挨拶として校長が長々とつまらない話をしている。
周りを見ると欠伸をしている人がたくさん目に入る。
..校長、話長いな。
やばい、これ寝ちゃいそう。
式終わったら保健室行って寝ようかな。
幸「…保健室行こ。」
ウトウトと重い体を持ち上げて保健室へと向かう。
幸「失礼しまーす。」
誰もいないのかな?
先生いないなら勝手にベッドで休んじゃお。戻ってきたら事情説明すればいいよね。
なんて自己解決してベッドへ足を進めた。
幸「…?」
人影がある。誰か寝てるのかな?
好奇心に勝てず少しだけカーテンを捲って中を覗いて見た。
中を覗くとすごく綺麗な男の子がすやすやと寝息を立てていた。
幸「…綺麗な子」
サラサラとした焦げ茶の髪。寝ていてもわかるくらいのぱっちりとした二重、光漏れしている長い睫毛に薄い唇。
でもなんだろう。
心做しか少し苦しそうな表情をしているように見えた。
それにしてもジャ〇ーズにいてもおかしくないくらいのイケメンだな…。
優「…綺麗って言われるの少し照れるね」
幸「ッ!?!?」
驚いた勢いで椅子に膝をぶつけてしまった…。
最悪、かっこ悪。
幸「いったぁ…」
急に喋ってきたからかなりびっくりしてしまった…。
優「大丈夫…?ねぇ、君名前は?」
そう言ってしっかりと目を合わせて私に問いかけた。
わぁ、起きた顔を見たけどやっぱり美人な人だな。ていうか、正直こっち見ないで欲しい。
心臓が持たない…。
幸「綾瀬 幸だよ。あなたは?」
優「佐々田 優だよ。幸、ね。可愛い名前。」
イケメンに可愛いと言われて早くも死にそう。
幸「優くんは…優しそうな名前だね」
優「君付け?呼び捨てでいいのに。へぇ、優しそうなんて初めて言われた」
優は少し妖しく笑みを浮かべた。
まるで面白いことを思いついたかのようなイタズラを考える子供のように___。
優「…確かめてみる?」
幸「え?」
優「俺が本当に優しい人間か…確かめてみない?」
その日、私は恋に落ちた___。
あれから私は度々保健室へ行くようになった。
保健室に行くといつも必ず優がいて、私達は身体を合わせるようになった。
別に付き合っていないけれど私は優のことが好きだ。
でも、優は私の事を恋愛として見てくれてはいないだろう。
たまに保健室に行こうとすると部屋の中から喘ぎ声のようなものが聞こえてくる。
それを聞いてこんな関係を持っているのは私だけじゃないって思い知らされた。
私が特別だったんじゃないって、知りたくなかった。
それでも、どうしても、優のことが諦められない。
さっきのように求められると嬉しくて断れない。
こんな関係をなんというんだろう
セフレとでも言うのかな。
どっちにしろこの関係が綺麗な関係とは言えないだろう。
もう、辞めよう。
こんな関係続けていても自分が辛いだけだ。
この関係に、終止符を打つんだ。