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凪玲
微グロ、ネタバレ、キャラ崩壊注意。 玲王が可哀想なことになってます。
青い監獄を出た時間枠でやってます
それでも良ければどうぞ↓
玲王が幽霊になってた話
「なぁぎ!!学校行こうぜ!!」
ある日突然、家の玄関の扉を開けたらそこには俺の相棒《パートナー》の玲王がいた。
「…玲王、なんで俺の家にいるの? てか住所教えてなかったよね? 」
「なんで…ってお前を迎えに来たんじゃん!いっつもお前遅刻ギリギリだからわざわざ迎えに来てやったんだぞ〜?あと住所は調べた! 」
感謝しろよっ!って自慢げに語る玲王を見て、「嗚呼、いつも通り玲王は玲王だ。」と何故か安心する俺がいた。
「ほら!凪!外にばぁやを待たせてるからさっさと行くぞ!」
「玲王〜!腕引っ張らないで〜痛い〜」
「こうでもしねぇとお前急がないだろ?リムジンまで走れ〜!!」
玲王は俺を急かすように腕を引っ張って、俺たちはリムジンへと走りながら向かった。
「ふぅ、間に合ったな!」
「疲れた〜、もう帰る〜」
「おいおい、まだ来たばっかだぞ〜?頑張れ〜!」
「えぇ〜…めんどくさい…」
俺は玲王にずしっと身体を預けると、玲王はいつもみたいに何も言わずともレオリムジンの準備をして受け入れ態勢をつくる。
「凪、今日も一緒に頑張ろうな!」
「…まぁ、玲王が言うなら…」
「なんだそれ!笑」
屈託のない満面の笑みで俺の全てを受け入れてくれる。
そんな玲王のお願いに俺は弱い。
玲王にはバレてないみたいだけど、俺は玲王のためだったらなんだってできるんだから。
そんなことを口に出さずとも、『玲王ならわかってくれる』って思って何も言わなかった。
「誠士郎様、坊ちゃんを見かけませんでしたか?」
放課後、部活終わりに更衣室で着替え終わった俺にばぁやさんが声をかけてきた。
「え〜?俺知らないよ。てか、玲王は俺が着替えてる時にはいなかったし」
「そうですか。ありがとうございます」
そんなことを言ってばぁやさんは更衣室から出ていった。
(玲王が俺と一緒にいないなんて珍し〜、先生に呼ばれたのかな。)
ぽわぽわと頭の中で呑気なことを考えていた時、外から女子の悲痛な叫び声が聞こえてきて『また変なことでもやってんのかな』なんて思ってたら、どんどん人の声が大きくなっていく。
うるさくてなんだかイライラして外に出ると、教室の窓の真下を上の階の教室から眺めている女子が、何故かありえないくらい顔を真っ青にして叫んでいることに気づいた。
そして、その周りにはたくさんの人が集まっていて泣いてる人がいたり、腰が抜けていてしゃがみこんでいる人もいた。
なんだか嫌な予感がして、人集りの先にあるものを見ようとして、視線のものの近くに移動する。
「坊ちゃん!!!」
人集りのそこで聞きなれた女性の声が聞こえた瞬間、血の気がサーッとありえないくらいの速さで引いていって、人の波を勢いよく押し退けて声の先へと走る。
人集りの先には、今朝まで元気よく笑って楽しそうに俺と話していた玲王が、血だらけで生気の欠けらも無い真っ青な顔色をして、脚も変な風に曲がって、力無くぐだぁっとしているところをばぁやさんに抱えられていた。
「玲王!!!」
自分でも絶対出せないような大声を出してぐったりと横たわる玲王に走り近づく。
微かに息があることにほっとして胸を撫で下ろした時、ばぁやさんが聞いたこともないような低い声で俺に話しかける。
「誠士郎様、坊ちゃんの緊急事態なので今日はこれで失礼させていただきます。」
「えっ…ちょっと待っ…!」
ばぁやさんは俺にそう言って、御影コーポレーションと大きく車に書かれた救急車に玲王を大事そうに寝台に横にして運んで行った。
「レオ様っ…」
「御影くんっ…」
ばぁやさんと玲王が救急車で消えていったのを見送った瞬間、周りの人達が玲王の名前を呼びながら泣き出す。
「わっ、私見てたのっ…あ、あの子が玲王様のこと押して…っ!!」
一人の子が泣きながら上の教室にいた玲王を眺めていた女子を指さす。泣きながら指さす女子の声に反応して男子生徒が声を上げる。
「俺も見てたぞ…!!アイツが玲王に告白して断られて、顔真っ赤にして玲王の胸ぐら掴んで落としたの!!!」
「ち、違っ…!!私はっ…」
「違くないでしょっ…!!人の事傷つけといて言い訳すんの!?」
「だから私はそんなことっ…!」
(嗚呼…うるさい。…コイツら玲王のあの生気のない顔見といてよく言い争いできるよね)
「ただっ…玲王様が悪いのよっ!!玲王様があの凪 誠士郎ばっかり構うから、!」
「っ…!ふざけないでよ!!そんな理由で玲王様を傷つけたのっ!!」
「うるさい!!玲王様が悪いのっ!!私は悪くない!!押したのだって、玲王様が最後まで凪 誠士郎とサッカーのことに集中したいからって言うからっ…!」
(うるさいな…なんで玲王の心配してる俺の事邪魔するかな…耳障り…)
「最低よアンタ!!玲王様のこと大事に思ってるなら傷つけたりしないわよっ!!」
「っ…!!だって…!だって!!」
(嗚呼…めんどくさい。)
「うるさいよ、君たち。」
俺が群衆に向かって一言言うとみんなが黙りこくる。
「玲王のこと第一に考えてるならここから立ち去って、早く警察に自首させるべきでしょ。言い訳ばっかり並べてめんどくさい」
俺は玲王を言い訳に使うコイツらが本当に本当にめんどくさかった。イライラしてムカムカして仕方なくて。
どうしようもなかった時、つい口から声が漏れてしまった。
「っ…!!凪誠士郎…!!全部全部あんたのせいよ!!」
「は?意味わかんないんだけど。てかさっさと警察いけよ。玲王にとって害を与える存在は要らないんだから、言い訳並べてる暇あったらさっさと自首に行きなよ」
「っ…!!このっ…」
「…そうだ!!!さっさと警察いけよ!!!この犯罪者!!」
「玲王様を傷つけといてただ済むわけないんだから早く自首しに行ってよ!!」
「そうよ!!玲王様をあんなにしてよく言い訳ばっかり言えるわよね!!早く警察署に行ってよ!」
俺のつい口から出た言葉に外野の奴らは何故かどんどん賛成していく。それも全部めんどくさくなってイライラしてきた。
「アー…さっきから言ってるじゃん…うるさい…お前らうるさいよ。」
俺が頭を掻きながら言うと、群衆の中の一人が、俺の言葉の意味がわからない。とでも言いたげな声を発する。
「…は、?」
「もうここに玲王はいないんだからいつまでもそいつを責めても現状は変わらない。俺は玲王に対しての罪の償いの形でそいつに反省の仕方を教えただけ。なのになんでそれで盛り上がれんの?」
「な、なんでって…玲王があんな怪我して…」
「だから、俺が言った罪の償いの仕方を教えてあげただけでお前らは喋る必要なかったじゃん。喋るとしても、上からただボーッと眺めていいわけばっかしてるアイツを警察につき出す時に、抵抗するそいつをなだめる時だけで良くない?」
「でも…!」
「外野がなんかそいつに言ったところでそいつは変わんないよ。情に訴えかけるだけ無駄。ならせめて今後の生活態度を改める方法を教えてあげるだけでいいじゃん」
「お前…本当に玲王の相棒か…?なんでそんな心配しないんだよ…!なんでイラつかねぇんだよ…!!」
「……はぁ」
何こいつ…なんでそんな変なこと聞くんだろ…言い争いなんて面倒でしかないのに。
面倒なことをわざわざ削減してあげてるのに、それを理解しない上に、馬鹿みたいにめんどくさいことばっかりする。 玲王のパートナーの俺が玲王のこと大切にするのは当たり前なのに。
「玲王のこと大切に思ってるなら、ソイツに言葉をかけるより、玲王の状態気にした方がいいでしょ?だから今俺はこいつに暴言吐くよりか、玲王の状態が知りたいからばぁやさんと連絡とってるの。ねぇ、説明すんのめんどくさいからもういい?」
俺はそう言ってスマホを弄り始める。そして、俺の答えにただ立ち尽くすしかできない群衆達にまた口を開く。
「てかなんでずっとここにいんの?早くどきなよ。ばぁやさんが御影コーポレーションの人達が事故現場の確認作業しに来るって言ってるよ。」
「え…?確認?」
「アイツ終わったじゃん…」
「まず御影コーポレーションの御曹司に手を出した時点で終わりだよな…」
俺の声に反応した奴らが上でボケーッと立ち尽くしている女子を見つめながら、コソコソとここから去っていく。
(やっと消えた…)
「はぁ…玲王がいないとめんどくさいことばっかでやだな…」
俺はぽそりと玲王の血で真っ赤になった校舎の壁を見ながら独り言を呟いてその場を去った。