テラーノベル
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「世界都市さんは忙しい」
※世界都市擬人化創作
“映画のお誘い”
事の発端はパリの1つの提案から始まった
この日は会議が夕方には終わり、ほぼ全員が浮き足立っていた
もちろん俺も
なんたってここまで早くに終わるなんて何年ぶりだろう…
終了の合図と共にそれぞれがはたはたと立ち上がり、出ていこうとする
「はい。ちょっといい?」
パリがスっと手を挙げた。どこか楽しそうに笑みを浮かべてる
場の動きが止まった
もうこの時には嫌な予感はしてた
なんならちょっと嫌そうな顔してる人もいた
ここでパリからの話は大抵ろくなことが無い
てかせっかく早く帰れるのにイカれてるのかこの人
ただし会議室の中での提案、または表明を無視して帰るわけにもいかない
渋々耳を傾けた
他の面々も、1部ちょっと…真剣ではないが話を聞く姿勢をとった
「実はさぁ……お兄さんの仲良い都市がね、映画の評価してほしいって言うんだけどみんな暇なら付き合ってくれない?」
ほら見ろ
嫌な予感は的中。なんで映画?てか私事情に巻き込まないでほしいんだけど
「なんの映画ですか?」
やめて…聞くな東京。
質問=誘いにのるってことだからこの人は!
「ホラー映画〜…それもかなり怖いって噂の。あ、東京ちゃんは来るね。了解」
「あれ」
言わんこっちゃない、、
ていうかホラーか…
「俺も行こうかな」
ローマがのった。ホラー得意…てか好きなのかな
「おけ〜。ローマちゃん映画好きだもんね〜
これで2人と…」
あ、映画の方か
「待ってください僕行くなんて一言も」
「俺も行く」
ニューヨークが東京の声を静止するように発言を被せた
え?珍しっっ!東京が行くから?いや…それでもいつもは自分から来ないよな
パリも少し驚いている様子だ。
「へぇー珍し〜…ニューヨークホラーとか好きだっけ?」
「いやそこまで」
「あの、僕行くなんて…」
尚更なんでだよ。全くわからない
ていうかさっきから東京がずっとオロオロしてるんだけど
行きたくないんですね。可哀想に
「この間任された仕事が広告の作成なんだけど、中々案が思いつかねーんだよ」
「あ〜…なんかそんなこと言ってたねー」
あぁ。それにホラー映画をピックアップするセンスはちょっと疑うけど…
「なら我とソウルも行くある」
うん。俺を巻き込むな
何を言ってるんだこの……はぁ…
「俺嫌ですよ」
「おっけーソウルちゃんと上海ちゃんもくると…」
は??話聞いてた??????行きたくないんですけどー
「で、ベルベルとロンロンは〜?」
行きたくないんですけどー!!
「すまない。俺は少し用事があってな、」
「デート?」
からかい方が小学生ですね…
「な、!?そ、そんなわけないだろ…仕事だ、仕事」
「私もパスで」
「なんで?」
「…まぁ、少し予定がありまして」
「デート?」
「違いますよ。知り合いと会うので」
多分これが正解なんだろうなー。
行きたくないならパリから聞かれるまで自分からは発言しない
でも俺は東京と違って何も言ってないのになぜかメンバーに入ってるんですけど………
せめてこの前とっておいたホットク今朝食べればよかった
結局、場所が借りれなかった為に会議室で鑑賞することに…ここから早く帰りたかったなぁ…
今日はメンバーもそこそこ集まった気がする
まぁ別にホラーは耐久がある
周りはどうなのかは知らないけど。
会議室には大きなスクリーンが付いている
部屋を真っ暗にすればかなり映画に近くなるだろう
「さてとー…今回ご紹介するのは〜…」
パリが今からマジックでもするのかという勢いで作品の紹介をしだした
「……いや、題名は後でいっか」
なんで??????1番大切なところカットするの????もし舞台か何かなら、自分がなんの役なのか知らせてないってくらい、大事なところカットしたよ
「何系ある?」
「何系って?」
「あれじゃない?ホラーでも人形とか幽霊とか色々あるじゃん」
「あぁ〜……うーん…よく分からないんだよね。お兄さんも何も聞かずに渡されたし」
「情報少ねぇー…」
「それじゃ、まじで見てからのお楽しみってことあるな!」
凄く偏見だけど上海はホラー耐久無さそ。
「というか〜…みんな平気?」
やっぱりその話するよね。ちなみに偏見、上海はなさそ。
「俺は全然平気だよ。割と見てるし」
すごいなローマ…
「何個か見た事はあるんですけど…日本のホラーって海外と結構違うから必ず大丈夫とは言えないです」
あんたは色々個性的すぎる気がする
「あー…独特だよな。確かに
はっきりと目の前に現れねぇつーか…」
「来そうっていう雰囲気を楽しむ感じです」
日本のホラー映画は見たことがある。なんかこう…すごい不気味でとにかく後味が悪かった
まぁ…多くの人が怖いというのも納得できる
「我、お前のところのやつは無理ある。」
上海が顔を顰めながら言った
「あれ〜上海ちゃんホラー苦手?」
「別に苦手じゃねーあるけど、…ほら悪霊とか触れないから殴れないある」
着眼点がおかしい
「なに物理攻撃しようとしてるんですか」
「ま、人それぞれだよね!それじゃスタートしまーす」
パリがリモコンのボタンを押した。
画面には雨のなか走る主人公らしき人物が映し出される
何かに追われているのだろうか…後ろを振り返りながら必死に森をさ迷っている様子だ
ーー開けたところに出た。そこには1つの大きな屋敷…
あぁ。なるほどそういう系か…
屋敷の中へ入っていく主人公。その後ろで扉が閉まり、多分…ここから本番スタート…
30分程度が経過した。
主人公はまだ幽霊らしきものには出くわしていない…が、
きっとそろそろ第1の怖い場面が来るだろう
スクリーンの前で身が耐えた
他の面々も同じだろう
ーーー映画の中の主人公が振り返る
そこには眼球が飛び出した人であろうような得体の知れない何かがいた
「あ”ーー!!」
隣で上海が叫んだ
なんていうんだろ…怖さが半減した気がする
「うわーこの出方はズルいね〜…」
パリも少し顔が引き攣っている
「やっぱり来たね」
一方ローマは全くもって余裕そう。
見てて楽しいのかな
ニューヨークは頬ずえをついたまま無反応。集中してるのかただ単につまらないのか読めない…
俺にとっては幽霊なんかよりも感情が読めない人の方が怖いと思う。例で言うと北京
東京は……結構見はいってる?
「……さっきのシーンもっと不意打ちなら怖かったのに」
違うわこれ
てか何処に目つけて見てるんだよ。評論家か
「……いや、上からの方がビビるだろ」
お前もか。ニューヨーク
なんなのこいつら。ホラーってどう楽しむか知ってる???
「あ、あいやぁ…この変なやつって死んでるあるか?それとも生きてるあるか?」
何を気にしてるんだろ。そこじゃないでしょ
まともに驚いてるのってもしかしてパリだけ??
「あぁ…死んでるんじゃないですか。」
適当に返しておく。
なんか…喉乾いたし疲れた
映画の中では主人公が全力疾走。そんな走れるなら逃げ切れるだろ
椅子から静かに立ち上がってドアに向かう
「あれ〜?ソウルちゃんリタイア?」
パリが悪戯げに指摘してきた
わざわざこっち向くな。
その他の上海以外の都市らも振り向いた。お前らは映画を見ろよ
「いえ、喉乾いたんでなにか飲み物取ってきます」
そうとだけ言って扉を閉めた
休憩スペースの自販機へと足を運ぶ。
この時間だからもう売ってるものも少ないだろうなぁ…
廊下は結構暗く、一人で進むにはそこそこ勇気がいる気がした
夜の寒さに堪えながら自販機前まで行く
残っているのはコーヒーのみ。
飲みたくねー…寝れなくなるし、
さーてと、何を買おう…極力水も避けたい
なぜならここの会社ではお湯がない
つまりがち寒い。以上
どうしようかと悩んでいると廊下の奥からコツコツと音が聞こえる。僅かに…
なんだろ…この時間、誰かが廊下をふらついていることは滅多にない。てか常人ならそんなことしない
はぁ…映画メンバー、誰か出てきたのか
足音が近づいてきた。暗闇から姿が見えた
「あれ、?ロンドンさん?」
確か誰かと会うんじゃ……
会社での待ち合わせとか?いやこんな時間まで?
「まだ会社に残ってたんですね」
どうして?という疑問を込めて言う
しかしロンドンは特に答えずに終始笑顔。
なんか察しろって事なのかな…めんどくさいわ
その時ー…
ガシャン!!!!
うっわびっくりした!!
あの映画見てる部屋からの音だった
「え?!何?」
廊下の奥の部屋を見つめる
何今の音…
「…ちょっと俺戻ります。じゃ!」
まだ何も言わないロンドンを残して会議室に戻った
暗い廊下を全力疾走。なんかさっきの映画の主人公みたい…
部屋の扉を勢いよくあけた
「どうした!ん……です……か、」
「あ”ーーーー!!!」
「わぁっ!?びっくりした、何よソウルちゃん〜」
何事も無かったかのような態度。部屋も荒れてる様子もなく、映画が普通に流れていた
「え」
「お前、まじで今そういうのやめるある…」
上海はまじで怖かったらしい
ローマにくっついている
そんな驚かせるつもりはなかったんだけど…
「いや…だってさっきこの部屋から変な音が…」
「は?変な音?幻聴じゃね?」
俺も幻聴だと思いたですよ…
だけどあれだけはっきりと…え?
「…やっぱり怖い話とか見たり聞いたりしてると寄ってきますもんね」
何が!?
「東京!お前そういうこと言うなある!!!」
「つか、他の部屋の音じゃねーの?」
「この時間は誰もいないはずです」
「だからやめろある!!!!」
気のせい…だった…?
とりあえずまた椅子に座って映画に目を移した
これ…なんでこういう展開になってんだろ
あ、お茶買い忘れた
2時間くらい経った
これいつ終わるんですか。
疲れきって上海は机に突っ伏してるし、パリは眠気と戦ってるし、東京はニューヨーク肩にもたれかかっての完全にシャットダウンしてる。
ちなみに自身もだいぶ限界…
睡魔と戦闘中であった
バタンッ!!!
わっぁ!?びっくりした!!?!
外の廊下からだ。さっきより大きかった
え?何?
「……なに今の音…」
「…なんか倒れたような音だったよな」
ローマもニューヨークもさすがに音のした方を気にしてる
しばらく沈黙が流れる
「う”わ”あ”ぁぁ!!」
「うわっ!?」
上海が叫んだ。目を閉じたまま寝直す
ただの寝言らしい。まどろっこしいわ
「見に行く?」
ローマが聞いてくる
「えぇ…」
別に怖いとかそういうわけじゃないけど何となく嫌。別に怖いとかいうわけじゃない。
勘違いしないでいただきたい
「ニューヨークは?」
「行きてぇんだけど…」
肩に寄りかかってる東京を見る。仲良いなぁほんと
「起こしたら?」
「鬼畜かよ。深夜2時だろ今。あとこいつ最近寝てなかったし」
確かに最近東京寝不足だったけど…いやいつもか
まぁとにかくローマも流石に1人じゃ行かないだらうし…良かった
別に怖いとかそういうわけじゃないですけどね
「でもさぁ…」
不満げに声をあげるローマ
それでも尚誘ってくるの…、?
「明日ここの会議室午前中から使うでしょ?
起こさないとまずくない?運ぶのは大変だし」
「あ」
「……明日…のこと……1番…怖いある…」
上海の寝言が予言のようだ
映画より明日の事が不安である
オマケ
後日
ソウル「はぁ…疲れた」
ロンドン「ご愁傷さまです」
ソウル「そういえばロンドン。昨日なんで会社にいたんですか?知りたいってここの人?」
ロンドン「はい?」
ソウル「え?」
ロンドン「昨日はあの後すぐ帰りましたよ」
ソウル「……へ?」
コメント
6件
怖、、、!東京ちゃんは寝れて良かったね!
背筋が凍りました((( あのちょっと聞きたい事があるんですが…