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またあいつがやりやがった。
あからさますぎるだろ。涼ちゃんが天然で良かったな。
頑張れよ、とだけ連絡が来た。
家にあげちゃったししょうがない。
「若井、大丈夫かな。家族に何かあったとか……。」
こんなあからさまな嘘にも涼ちゃんは心配している。
罪悪感がすごい。
「大丈夫っしょ。ダルそうだったし。」
涼ちゃんは確かにそれもそうか、と呟いた。
涼ちゃんは若井に渡された俺の荷物を見てあ、そだ、と俺に紙袋を差し出した。
「俺も作ってきた。食べられなかったらごめんね。でもちょっとは食べて欲しいかな。」
割と重量感のある紙袋を貰う。
え、これ全部手作りか?
「え、涼ちゃんが作った……とか?」
それ以外なさそうだけど。あえて聞いてみる。
「うん。最近も料理してるし、レシピ通りに味見もしたから大丈夫だと思う。」
実際俺はこんなちゃんとしたご飯をここ数日お昼以外食べていない。
冷蔵庫にそもそも何もないし。
「あ、あり、がと。俺のために作ってくれたの……。」
嬉しすぎた。人の料理なんて久しぶりだし。
「ごめんね、余計なお世話かもだけど。栄養取って欲しくて。」
ごもっともなのだが。
「ううん。嬉しい。冷蔵庫入れとく。」
そう言うと涼ちゃんが嬉しそうに笑った。
「うん、じゃぁご飯食べよ。何食べよっかな。あぁ手洗いしないと、元貴。」
涼ちゃんは洗面所行こ、とこちらを見る。
俺はうん。今行く、と冷蔵庫に2人からのご飯を入れて、涼ちゃんと手を洗いに行く。
「元貴何食べたい。」
手を洗いながら俺に聞く。
「んー……トマトパスタ?」
食べたいものって結構分からない。いつも通りの料理名が出てきてしまう。
ははっと涼ちゃんが笑った。
「またそれぇ?」と。
笑ってるの可愛いな、やっぱり。
「まぁしばらく食べてないか。そうしよ!頼もっか。」
涼ちゃんはそう言ってうがいもする。
俺はお気に入りのお店のトマトパスタを選ぶ。
「涼ちゃんは?」
何食べるのと聞く。
「元貴と同じやつ。」と手を拭いて答え、
見せて〜と振り向いた。
俺はスマホを涼ちゃんに渡して楽しそうな顔を見る。
え、ポテトぉ!頼も元貴!美味しそ〜とスクロールしている。
「可愛い……」思わず声に出てしまった。
うぇ!?とびっくりしてスマホから俺の方を見た。
しまった。どうしよう。しかも涼ちゃんに聞こえている。
「あー……ごめ……いや、まぁ事実……。」
最初でも涼ちゃんに嘘をついたが
実際は嘘が得意ではないしつきたくはない。
今は2人きりだし。
だから素直に肯定する。
涼ちゃんはちょっと恥ずかしそう。でも嬉しそう?
「え、ぁ、元貴に……嫌われてるんかと……。」
嫌ってたらそもそも家にあげないよ。
「ごめん。最近冷たい態度取っちゃった。2人にも。」
特に涼ちゃんは避けてたし。
涼ちゃんはううん、と首を横に振った。
「そっか、俺、嫌われてない?ならいいの……。」
嫌うわけないでしょ。寧ろ好きなんだから。
「うん。そんな訳ない。」
涼ちゃんはちょっと恥ずかしそうに
「え、あの、可愛い……って、なに……。」
と聞いてきた。
いやそこはスルーして欲しい。
「あーー……素直な……感想……。」
中々に気まずい空気が流れる。
「そ、そか。へへ……元貴からなら、嬉し。」
恥ずかしそうに微笑む。
どういう意味だ。脈ありと見ていいのかこれ。
思わぬ答えに 1人舞い上がっている。
「ご飯……頼もか。」
涼ちゃんはスマホを俺に返してそう言った。
配達でご飯を頼み、しばらく2人で待つ。
気まずいからテレビをつけて適当に見ながら。
「あ、元貴お金払うよ。」
いくら?と俺に聞いてきた。
「んーん、いいよ。今日は俺のおごり。」
こんなにも話せたの久しぶりだし。
感謝を込めて。
「えー悪いよ……しかも元貴の家なのに。」
そんな事全然いいのに。
優しいな本当。
「それにご飯作ってくれたでしょ。お礼もかねて、ね。」
食材とかガス代水道代だってかかるし。
俺のために全部かかってる。
何か返さないと。
「うーん、じゃあまた作っていい?」
また予想外な答えが返ってきた。
いや、悪いよ、そう言おうとしたのだが
「元貴も気にすると思うから、俺が自分で食べる時に、余りを!そしたらどーお?」
俺の言葉を分かっていたかのように続けて言った。
じゃあ、お言葉に甘えようかな。
涼ちゃんの料理は若井と涼ちゃんの同居時代に何回か食べたことがある。
すごく美味しかった。きのこ多いけど。
「いいの?ほんとに余りができたら、だよ?」
俺の分を考えて作らなくていいからね?そう思って涼ちゃんに言った。
涼ちゃんは笑って
「分かった。楽しみにしといて。きのこはごめんよ。許してね。まぁ強制で食べて。」と。
あぁ。俺は涼ちゃんが自分で思っているより好きだ。
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