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「 なあイヴァン。今夜… 」
ほんのりと暗い寝室。アルフレッドは、目を細めて艶かしい笑みを浮かべながら、わざと言葉を途切れさせてそう言う。その表情は誘惑をする“雄”の表情。動揺し、言葉にならない声をあげ顔を赤く染めているイヴァンの頬を、アルフレッドは優しく撫で、そのままそっとイヴァンの耳元に近づく。
「 ……いいだろ? 」
低く、重すぎる愛情を柔らかに乗せたその声は、イヴァンの脳に酷く響いていく。どうやら、拒否権はないようだ。イヴァンはかろうじてゆっくりと頷き、“ん、”と、唇を差し出す。アルフレッドは惜しみなくその唇を奪えば、蕩けてしまうようなあついキスをする。
寝室にくぐもった水音が時折響き、冬の白息のように空気に混ざって消える。そして、アルフレッドとイヴァンの吐息や声がじわりと広がる。部屋の中は愛情の暖かさに熱を帯び、その熱は2人の身体に轟く。
イヴァンの呼吸が安定しなくなってきた頃、アルフレッドはやっと唇を離し、次は頭を撫でてやる。すると、アルフレッドは優しくイヴァンを押し倒す。イヴァンはまだ感覚が残る唇を舌で舐め、アルフレッドを見つめては。
『 いいよ、僕を楽しんで頂戴? 』
アルフレッドの瞳に、イヴァンのいつもの挑発げな笑顔や声色が、余裕のなさげな呼吸音と共に強がりな態度を見せているからか“誘惑”としてうつる。
「 はは、喜んで頂くよ。 」
その“誘惑”を嬉しむようにこちらも笑って見せ、愉しい時間を始める。彼らは“アルフレッド”と“イヴァン”で、ただの”行為”ではなくお互いに思う“好意”で、心を一つにするように繋がる。混ざる。
“アメリカ”と“ロシア”を置いてけぼりにして。