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side : U
キーンコーンカーンコーン
「起立。礼。」
「「「ありがとうございました!!」」」
チャイムが鳴るのと同時に週番の子が礼をかけて、クラス全体が大きな声でそう言いながら頭を下げる。
いくら6時間目で今日最後の授業だとしても、声大きすぎない…?
いかにみんなが授業が早く終わることを待っていたのかが伝わってきて、飽き飽きとする。
彩葉「りんっっ〜〜〜〜!!!!」
『うげぇっ、…もうっビックリするじゃん〜!笑』
紗奈「ったく…彩葉、凜が潰れるよ。。」
雫「彩葉は凜にべったりだね〜笑笑」
いつも通りに集まるイツメン…とは言ってもつい昨日仲良くなったばかりだが。
私を背中から覆うように被さってきているのが、涼風彩葉(すずかぜいろは)で、
それを呆れながら眺めているのが七瀬紗奈(ななせさな)、
そして彩葉に潰されかけてる私を見て笑顔で呑気なことを言ってるのが、月野雫(つきのしずく)。
3人とも入学式の時に初めて会って話したのに、もう3年以上前からの仲のようなくらいに仲良くなった。
紗奈「…あ、てか彩葉アンタ部活決まったの?」
彩葉「え?」
『そうじゃん。イケメンがいる部活のマネージャーやる!とかって言ってたじゃん笑』
雫「イケメンな先輩、見たかったっ?」
彩葉「あぁっ、それがね、それがねっ……」
彩葉はイケメンには目がない子で、「運動苦手だし、イケメンな先輩がいる部活のマネやろっかなっ〜♪」とか呑気なことを入学初日に言っていた。
彩葉元気だし、体力はありそうなのにな〜…運動部入ればいいのに。
彩葉「結果!!籠球部にイケメン多いかな〜って感じだから籠球部のマネかな!今の所っ!」
紗奈「籠球って…あぁ、バスケ??」
彩葉「そそっ!!ほら、2年の西倉先輩とか〜3年の夜村先輩とかっ」
雫「…いや、私達に言われてもわかんないよ、?」
雫はイケメンとか全然興味なさそう…というか恋愛に興味ないらしくて、彩葉の口から出てくる先輩の名前は一度も聞いたことがないのだろう。
…にしても、籠球部にイケメンが多いとかほんと、どっからその情報を彩葉は手に入れてるのか。
紗奈「夜村先輩は名前だけ知ってるわ。入学式の時から騒がれてたよね〜」
『あぁ、あの案内係のイケメンさんか!!』
雫「イケメンさんって…笑」
『え?だってみんなそう呼んでるじゃ〜んっ』
彩葉「そう!!そのイケメンさんだよっ〜!立ってるだけでカッコいいとかヤバすぎだよ!!」
『あはは……笑』
夜村先輩は、入学式の日から数人の女子生徒に囲まれてた記憶がある。
まぁ夜村先輩はパッと見ても顔は整ってる方だと私でも思ったほどだ。
そりゃぁ、彩葉がメロメロになっても仕方ないな…
彩葉「でもでもっ、!!3年の菅原先輩も外せないよねっ〜!!」
そしてまたもや違う先輩の名前が彩葉の口から出てくる。
いや、ほんとに誰…てか先輩ばっかり見てるって、、年上好きかっ!!!
紗奈「ふ〜ん…で、その人は何部なの?」
彩葉「えっとねっ〜…排球部!!
『…っ、…』
彩葉「あの顔面でバレーとかやられたらさぁっ〜…!!」
雫「いや、顔を知らない私達に言われても共感できないよっ〜笑笑」
またもや彩葉の呆れた発言に雫が大人に返す。
…だが、私は突然出てきた”バレーボール” という言葉に無性に反応してしまった。
幸せそうな顔をして話している彩葉を見て、いつも通りに会話をすれば良いのはずなのに、何故か声が出なくなる。
バレーボール…それは私にとって悪い思い出なのだ。
紗奈「ん〜…凜、バレーボールとか似合いそうだけどねっ!!笑」
『……へっ、?!?!私?!?!』
雫「確かに〜!マネージャーにでもなったら?笑」
彩葉「ええまって、凜が排球部のマネージャーになってくれたら、私無条件で菅原先輩と話せるんじゃっ、!!凜!!排球部のマネやろ!!!」
『いや、ちょっ…落ち着いてよ…笑』
いやいやいやいやっ、!!!
紗奈?!?!似合いそうって…私バレーはもうしたくないのに、、ってなんで選手の方じゃなくてマネで話が進んでるの!!
とりあえずそのまま話が進んでしまうとまずそうなので、「私は他の部活がいいかな〜」となんとなくつくった言い訳を言って話を逸らした。
彩葉「えぇっ〜…絶対凜いけるよ!!可愛いし!!」
『可愛くないし、それ関係ないからねっ?!』
紗奈「いや、凜が可愛いことは認める!!」
『え、ちょっ…!』
「終礼始めるから座ってくださ〜い!!」
『ほらっ!!もうその話終わり!!座る座るっ!!』
何故か私が可愛いという謎の話になってしまい、全力で否定しようと思ったら週番の子の声が教室に響いて、このまま話しても長くなりそうだったからそれを言い訳に3人を各自席へと戻らせた。
雫は苦笑いしながらもちゃんと自分の席へと戻っていったが、彩葉と紗奈は少しまだ話に食い気味で「えぇっ〜…」としぶしぶ自分の席へと戻っていった。
『……(まぁ、多分排球部のマネージャーになると思うけどね…。)』
どんなにバレーボールに関わりたくなくても、多分関わることになるだろう。
私は1つため息をついてから、黒板の前に立っている週番の方へと体を向けた。
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