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「ううん…」

流石にやりすぎてしまっただろうか。

借り物なのに蛍光ペンで印を付けるなんて…

“こっちの”ランスは怒るだろうか。それとも、いつもみたいに小言を言いながらも許してくれるのだろうか。

…いつも、ではないな。また昔のことを思い出してしまった。

今の所昔仲良かったやつの中で記憶があるのは俺だけだ。マッシュとフィンとランスにしか出会えていないが。

おっと、またぼーっとしてしまった。早く学校へ行かねば。

時間ギリギリになってしまい慌てて家を出る。遅刻なんてしたら厄介な先生に説教を食らうので全力ダッシュだ。曲がり角に差し掛かった所で何かと気配を感じた。

あ、やべ、ぶつかる…

「きゃっ!?」

「うおっ、ごめんっ!!」

「あ、いえ…こちらこ…そ、?」

可愛い声してるなぁ。女の子かぁ。女の子と曲がり角でぶつかるなんて漫画みたいだけど、普通に考えてぶつかってきた相手のこと好きになんねぇよな。

女の子の柔らかさと声の可愛さに目を瞑り幸せを噛み締めていると、女の子の口から衝撃な発言が飛び出た。

「ドットくんっ…!?」

え?今俺の名前呼んだ?

驚いてその子の顔を見るとびっくり。

肩くらいまでの金色の髪に赤いリボン。驚いて見開かれた目は大きくて宝石のよう。その姿は以前大好きだった、

「レモンちゃんっ!?」

「ドットくん!もしかして記憶持ちですか!?」

やっと会えた、俺以外に記憶を持った人が…

「持ってる…!!」

「よかった…!!他の皆さんはどうなんでしょうか?マッシュくん…」

こっちでもレモンちゃんはマッシュの事が好きなんだなぁ…おれぁ好きな人が幸せならそれでいいぜ…。

「マッシュとフィンとランスは俺と同じ学校だけど…記憶は無いっぽい…」

「同じ学校…!でも記憶は無いんですねぇ…」

レモンちゃんは制服からして近くの女子校に通っているのだろう。またみんなで一緒に過ごすのは難しそうかな…

「…あの、ランスくんも記憶が無いんですよね?」

少し気まずそうに、悲しそうな顔で聞いてくる。

優しいなぁ、レモンちゃんは。

「ああ、無い…」

かける言葉が見つからないという風に固まって苦い表情をするレモンちゃんに胸が痛くなる。それはきっとあっちも同じだろうが。

「…まぁ、きっとあのランスくんならまた…」

「大丈夫だよレモンちゃん。あいつに記憶が無いのは、可愛い女の子と幸せになれっていう神のお告げかなんかだと思うんだ。だから、俺はもういいんだ…」

言葉にするとなかなかクるものがあるな。

抑えきれなくなった涙が溢れて零れてしまう。


…ランス、






転生ランドト。(旧現パロランドト。)

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