『貴方ノ為ならどんな罪モ犯ス』〜桃の花は赤く散る〜
終輪 桃ノ花は赤ク染まル
あの後…。貴族達の遺体を天井から下ろし…。
埋葬した。
そして、ユーハンの遺体を警察に引き渡した。
グロバナー家 本邸。
『そうか…。君が最後にユーハンを刺したのか。』
『はい。フィンレイ様は…執事に任せたようですが…彼らの主は私です。だから…私がやらなきゃと思ったのです。』
『…そうか。報告ご苦労だったね。』
『はい…。』
『…暫く休暇を与えよう。ゆっくり休むんだよ。後のことは私で処理する。』
『はい……。ありがとうございます。』
私はグロバナー警察を後にする。
そして、グロバナー家本邸の門の前で待っていた。ハウレス、ルカスと目が合う。
『主様…。』
『フィンレイ様は…どのように…?』
『私のことは罪に問わないって…。正当防衛という形で処置を…。』
『そう、ですか…。』
『これで……良かったのかな…。』
私はぎゅっと拳を握り締める。
『私…っ。ユーハンがおかしいって、薄々気付いていたのに…っ。止められなかった。止めてあげられなかった…っ!』
『『主様……。』』
『もっと、主としてすべきことはあったはずなのに、私は…っ!』
私はその場に崩れ落ちる。
『主様のせいじゃありません…。』
ルカスは私の手を取る。
『私も…そして他の執事にも責任はあります。彼が謝った道に進む前に…。私達が救うべきだったのです。それをしなかったのは我々です。』
『でも、だけど…っ!』
『それ以上ご自分を責めないでください。もう…。自分を大切にしていいんです。その為に私達執事がいます。』
『ルカス……っ。』
私はルカスに縋りついて涙を流した。
一生分の涙を――。
数年後――。
『…。』
私はアモンが植えてくれた桃の花を眺める。
『主様…桃の花を植えてくれなんて…。』
『…主様にも思うことはあるんだろう。あの時の完食を拭いきれてないんだよ。』
『ボスキさん……。』
『…人を手にかける。その重みは俺達が1番よく分かってる。』
『俺が偵察隊の副隊長だった時…。もちろん敵国の人を斬ることあったよ。沢山。もしかしたらサルディス家だったユーハンさんとも戦うことになってたかもしれない。』
『ハウレスさん…。テディさん…。』
『人を殺すっていうのはな…それ程の覚悟がないと出来ないんだよ。それが例え悪人でも……。どんな人でもな。』
俺達は主様の寂しそうなの横顔を見つめていた。
『主様の悲しみを……苦しみを拭うのも俺達執事の役目だ。』
サァァァ…!
激しい風が吹き、桃の花の花弁が揺れる』
『これが…貴方の望んだ結末なの?』
(満足なの?ユーハン…。桃の花の花言葉は…。)
『私はあなたのとりこ』
『文字通り貴方は…私の虜で何も見えてなかったね。』
貴方が愛した桃の花は――強くてたくましい
そんな1輪の花。
簡単に堕ちることはない。
天下無敵の花なのよ――。
HAPPY BAD END――?
コメント
4件
いつもお疲れ様です! 今回の話も最高でした😆 これからも頑張って下さい!
もうすぐ終わりだと思うと悲しいはんめん、新しいのが始まると思うと嬉しいです(((o(*゚▽゚*)o)))