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「_____でさぁ笑」
「えー!それなぁ!______よね笑」
職員室へ行く道の途中、そんな話し声が聞こえた。
…あんまり、こういう話は聞かない方がいいよね、!
小走りでここは通り過ぎよう、
「ってかさぁ、白雪?だっけ、女優だーとか言うけど、ぶっちゃけ演技下手じゃね?」
「えー、分かる!」
っ、
これって、私の事、だよね、
もちろん、私の演技が下手って、自分が1番分かってる。
思うように表現出来なかったり、自分の演技を見返した時、あっ、って思う節はいくらかあるから。
…しょうがないのかな。
「あと、なんだっけ、あ!同期の女優の人達、嘘ついて色んな人騙して、自分だけ有名になったんだって!白雪!」
「うわー!リアル悪女!キツっ!」
でも、こうやって、ありもしない嘘を言われる方が、何倍もキツイ。
何も聞かなかったことにして、急いで職員室に…
「へぇー、そんなこと言えるんだ。君たちが。」
え?
琴世くん、?
この前、美咲ちゃんに向けたあの冷たい視線を、話をしていた彼女に向ける。
「え、」
彼女達も驚いたような表情を浮かべ、そう声を漏らした。
「モブにすらなれなかった君達が重要人物役の人に対してそんなこと言えんの?」
そう言うと、「いや、その、」と顔を真っ青にしながらそう言った。
「あとは、なんだっけ、同期蹴落とす?それどこ情報?」
「えっと、その、」
私も、琴世くんの冷たい表情に、背筋が凍りつく。
「そーんなデタラメの情報とか、悪口とかでしか盛り上がれない君たちのほうが、よーっぽど悪だと思うけどね。」
そう言って、彼女らを壁際まで追いやる。
「悪女はどっちだよバーカ」
琴世くんは、何でここまでしてくれるんだろう、
「何とか言いなよ?」
ひとまず、この空気感は危ない気がする。
1人は瞳に涙を浮かべているし、もう1人は顔色が真っ青だ。
琴世くんが沢山言ってくれたし、彼女らも反省しただろうし、
「あ!先生!用事があるんですけどっ!」
わざと声を上げ、琴世くん含む3人は驚いたような表情をする。
「あ、わ、私たち行くね!」
そう言って彼女達は体育館方面へ向かって走っていった。
ふぅ、とりあえずおおごとにはなってないよね、
「盗み聞きー?」
あ、バレてた、
「さっきは、ありがとうございます。」
そう礼を伝えると、琴世くんは申し訳なさそうな顔をした。
「んー、まあ、この前のお詫びっていうか、」
ん?お詫び?
「ほら、この前、君のお友達のこと傷つけちゃったじゃん?全然偏見で言っちゃったし、」
あ、この前の、
というか、琴世くんって謝れたんだ。って、これは失礼か、
「確かに、この前のことは怒っていますけど、反省しているならいいんです。」
そうニコッと微笑みながら、優しくそう言った。
すると、琴世くんは若干顔を赤らめ、驚いたような表情を浮かべた。
「っ、あっそ、ってか、あいつらあのまま逃がしておいてよかったの?」
あいつら、あ、さっきの女の子たちが
「大丈夫です!傷ついてないって言えば嘘になりますけど、アンチや陰口には慣れっこですし、ああやって言ってくれると、たまに改善点とかも見つかるんです!」
半分本当で、半分嘘。
まだまだアンチや陰口は慣れてるわけじゃない。
「ふーん。」
すると、琴世くんは私の頭にそっと手を置いた。
「おまえ、ちゃんと良い奴じゃん。」
子供っぽい笑顔を浮かべ、私の頭をグチャっと撫でた。
ドキっ
え、今のドキッて何?
「で、白雪さん、職員室行くんでしょ?」
あ、そうだ。
ってか、なんで知っているんだろう、
「俺もいくから、さっさと行こ。」
「はいっ!」
琴世くんって、意外と優しいのかもしれない、
あと、さっき不意にもドキッとしてしまったことは、私だけの秘密にしよう。