テラーノベル
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文化祭の翌日。
リビングで、三人並んで座る。
机の上には、昨日撮ったメイド服姿の写真が並んでいた。
「……うわ、ひどいな」
空が吹き出す。
自分の真っ赤な顔、ぎこちない笑顔。
「いやお前も十分ひどいぞ」
陸も冷静に指摘。
メイド服なのに、妙に凛々しい長男ぶりが余計面白い。
「……でも、海が一番大人に見えるな」
空が小声で言う。
海はちらりと写真を見る。
「……まあ、手際よくやったからな」
穏やかな声。
でも、目の奥には昨日の夜のことが少し残っている。
「手際よすぎて怖えよ、あの人」
陸が小さく笑う。
普段は冷静な海が、メイド服で完璧に振る舞っているのが笑いを誘う。
⸻
空が写真を持ち上げる。
「これ、顔が赤すぎて笑える」
「あと俺、手が変な方向向いてる」
三人で声を出して笑った。
海も、初めは照れくさそうに笑う。
「……まあ、仕方ないな」
でも笑いながらも、ふと真剣な顔になる。
「……昨日のこと、まだ少し残ってる」
陸が横目で海を見る。
「知ってる。でも、笑ってもいいだろ」
空も、海の肩に手を置く。
「うん、昨日は泣いたけど、今日もこうして一緒に笑えるなら、それでいいんだよ」
海は小さく息をつく。
胸の奥の痛みはまだある。
でも、今は三人で笑っている。
それだけで、少し楽になった。
⸻
「じゃあさ、来年はもっと派手なコスプレで写真撮ろうぜ」
空が元気に提案する。
「……やれやれ」
陸は苦笑いしながら頷く。
「……まあ、悪くない」
海も穏やかに笑った。
昨日の夜の涙はまだ胸の奥にあるけれど、今は大丈夫。
⸻
三人で笑いながら写真を眺める。
過去の痛みを抱えつつも、今は“ちゃんと続いている日常”。
それが、三兄弟にとっての一番の宝物だった。
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れもん
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