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「遊ぼ!」猫に駆け寄るのは今年小学生になるよく似た双子の息子、大和と和人。母親の名は、森下由香。これを聞いてピンと来た人はいるかな?「保護犬保護猫物語 エアガンを打たれた猫」の登場人物です。
優は、飼い主のお年寄り夫婦、佐藤喜美(さとうきみ)と佐藤大輔(さとうだいすけ)が施設入居するので飼えなくなった子を引き取ったのです。つややかな黒白の毛を持ちます。その毛に黄色の首輪がより映えます。
年寄夫婦は家の庭に来た黒白の猫に一目惚れしました。「おいで」猫はするりとよってきました。その日から猫は家族になりました。それから数年後、夫婦はさらに年を取りました。介護も必要になってきました。すると猫は捨てるしかないのです。
それを知った由香は、すぐさま老夫婦の家へ行き、猫を引き取ることにしました。今日の12時を過ぎると猫は捨てられてしまうのです。
そして家族会議を開きました。「もう。お母さん。僕らもうわかってるって。この子も飼うんでしょ?うちの子にするんでしょ?」また兄の大和が言った。「そうだよ。もうお見通しだって。」弟の和人もくすくす笑います。
双子の大和と和人が猫に名前をつけました。名前は、「優」。優は末っ子タイプで、ミルキー姉さんやお福姉さん、人和兄さんによく懐き、ゴロゴロと喉を鳴らします。
ある朝、双子の息子たちが早く起きるとそこには優の姿はありませんでした。「お母さん!優がいない!」
捜索が始まりました。おやつやごはん、水、捕獲器を持って探し始めましたが結局夜まで見つかりませんでした。翌日、にゃーにゃー騒ぐ音で由香たちは目を覚ましました。眠い目をこすって声のするところへいくと、そこにはお福と、かすり傷だらけの優がいました。「優!」「おかえり!」「おかえり!」「ありがとう。お福」
由香は優の傷を食毒液とカーゼで消毒しました。
それから10年。双子たちは大きくなって、お福は年を取りました。そしてその年の大晦日、お福は夜、寝たまま息を引き取りました。「お福‥君と一緒に正月を迎えたかったよ…」
その日、優はお福の側を離れませんでした。そして正月の11時ごろ。優はお福の側で息を引き取りました。