テラーノベル
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rdmd
・ ・ ・
夏の茹だるような熱気と、鼻につく匂い。
「ずっとおれのよこにいてくれる?」
「ウン…やくそく、だよっ……」
ずっといっしょにいようね。
ずっといちばんにしててね。
・ ・ ・
ずいぶん懐かしい夢を見た気がする。
早くに亡くなった俺の両親に代わって俺をここまで育ててくれたのは、優しい祖父母。
そして俺の大切な弟。
さっきの夢はその弟と家族になった日の夢なんだと思う。
「なつかしー…」
たしか俺が小5の時だったはず。
人生の転期とも言えるその日も今日みたいな蝉がうるさい季節だった。
「らだおくん、朝ダヨ」
襖が少し開いて、愛すべき弟が顔をだす。
だが、しかし。
なんでこんな早い時間に起こしたんだ?
今は夏休みの期間だし、俺達は2人揃って帰宅部だから合宿なんて時期でもないし…
「きょーさん達とサマーキャンプの買い物しに行こうって……ェ、もしかして忘れてた?」
「いいや? 全然忘れてないけどね?」
すっごい忘れてたー!!
言われてみれば、壁掛けカレンダーにも今日の日付に赤い丸がついている。
いや、丸だけじゃわかんないよ!
いそいそと着替えている間に、家の間延びしたインターホンが鳴った。
「きょーさん達もう来たよ?」
「ぁ”あ”〜…あと10、いや5分待って!」
「ン」
猫のようなタスタスという足音が遠ざかっていくのを聞きながら、爆速で着替える。
もうコーディネートとか気にしてる暇無い。
相手はきょーさん達だ…下手したら普通に置いてかれる!
「お、お待たせしましたー…」
「おー、約束忘れて寝こけてたらしいやん?」
「あっ!みどりチクったなお前ぇ〜」
「ンフフッ」
コンちゃん、レウと一緒に縁側のそばに置かれた扇風機の風に吹かれながら涼むみどり。
でもね、レウに風届いてないよ?
1人溶けてるよ?
祖父母の部屋にはエアコンが付いている。
もともと父親の部屋だった俺の部屋にもエアコンが付いている。
しかしそれ以外の部屋にはエアコンが付いていない俺の家。
原始的な方法で涼むしか無いのが田舎で暮らす祖父母の家の難点だろう。
「行きますかぁ!」
俺達は隣町の小さなショッピングモールへと出かけた。
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