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カワカミ・ハナマルの嫁
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ベッドに腰をかけた主様が、頬を紅潮させながら私を見下ろす。主様はとても素敵な方です。どんな表情も素敵ですが、私はこうして見上げる表情が一番好きですと断言出来る。跪いた私を、少し期待と恥じらいを滲ませながら見下ろす。これから始める”触れ合い”を求めてくれているのだと感じます。
「主様、手を。」
少し震えながらも手を差し出す様子が私の中の本能を刺激する。その手を自らの手で包むと、まずは手の甲にキスをする。たったそれだけです小さく肩を跳ねる主がとても愛おしい。だが、これはまだ始まりの合図に過ぎない。
「失礼しますね。」
まだ消えていない噛み跡に優越感に浸りながら見つめる。こっちの噛み跡は消えてしまいそう。今晩はこっちにしましょう。傷の上書きするようにそこにそっと牙を宛てがう。主様は小さく息を漏らした。噛む前からそんな可愛らしい反応をされては、私の吸血衝動はどんどん膨れ上がってしまいます。
(そろそろ…ですかね。)
ふと見上げた主様のお顔は既に次の行動に構えるかのよう、目をきゅっと瞑られていて、心の中で笑みを漏らす。主様のどんな表情も、素敵で可愛らしく、私は愛している。
「んっ….」
喉の奥で殺したような籠った声が耳に響き渡る。ちょうど私の消えかけた傷跡に牙を突き刺した時だった。本当は我慢などして欲しくない。けれど、ほかの執事に聞こえると考えると、このままでいいでしょう、と感じている自分がいる。きっとこの声を聞けるのは自分だけだろう。そう考えるとただでさえ甘い主様の血がさらに甘さが増していく。
肌を伝って指先から滴り落ちそうになった血を、丁寧に舌で舐めとる。主様の指が震えた、上目で主様の顔をちらりと見ると涙が零れ落ちそうなほど潤んだ瞳と目が合う。主様もまた、私のことをじっと見ていたのだろう。目が合った瞬間急速に甘さが増す血が心音と重なりとても好きだった。
「クフフ…..主様、とても可愛らしいですよ。」
口を離し、唇濡らす赤い液を舌で舐めとる。見上げた主様はの物欲しそうな表情が、まだ続けて欲しい。と告げた。
「えぇ、もちろん。私もまだ飲み足りませんから。」
手に付けられた無数の噛み跡。これが全て私の牙によるものだと、他の執事たちは知っている。主様自身も、こんなに目立つところに跡をつけられることに対して、何も言わない。それをいいことに、私は毎晩のように消えかけた噛み跡に上書きをしていく。治りかける度に何度も何度もつけられた跡は、この先一生主様の手に残り続けるのでしょうか。そうであったらいいと、思っている自分に、一線越えてしまっていると感じてしまう。
(このまま、ずっとこうして….)
主様の隣にいたい。自分だけが知っている主様の表情や声がもっと増えて欲しい。そんなどうしようもない主様に対しての依存と独占欲を抱えながら、主様の血を啜る。この胸の中の気持ちはまだ、秘めたままにしておきましょう。