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ベッドの上で仰向けになっている橋本は、喘ぐ呼吸もままならない状態だったが、懇願せずにはいられなかった。抵抗すると、それ以上に責められることがわかっているので、シーツを握りしめて我慢する。
「ううっ、頼むから雅輝、恭介にメッセする気力っ…くらいは残してくれ、よっ」
橋本の自宅に到着後はじまった行為は、いつも以上にネチネチしたもので――。
「だって陽さんがカッコいいせいで、俺の性欲が高まりつづけて止まらないんです」
「勝手に高まるな! しかもっ、俺の躰がおかしくなるような責め方をするなって」
「でも気持ちいいんですよね? さっきから中がヒクヒクして、俺のを気持ちよくしてます」
あきらかにつらそうな顔の橋本を見ながら、宮本は腰をゆっくり前後に動かしつ、意味深な笑みを唇に湛えた。
「それはおまえが狙い撃ちするからだろ、変になるっ、ンンっ」
「だって陽さんが気持ちいいと、俺も同じ気持ちになるし。もっと変になって」
橋本の両膝を易々と持ちあげるなり、そこを狙ってぐいぐい突っついた。
「やめっ、そこばか、りっ」
下半身を捻って宮本の動きをやり過ごそうとした橋本に、自身の肩に橋本の片膝をのせて腰をぐいっと奥に進めた。もう片方の足はベッドに戻すと、フリーになった手で胸の頂きを摘む。
「ぅ、んっ!」
ぴくんと跳ねる橋本の躰に連動するように、宮本も上半身を震わせた。
「ヤバい、自分で自分の首を絞めてるのがわかるのに、陽さんをどんどん追い詰めちゃう」
「おいつ、める、なっ」
「追い詰める、よっ、一緒にイこう?」
我慢できなくなったのか、もう片方の宮本の手が橋本自身を激しく扱きはじめた。
「あぅっ、あ、ぁあっ…もぅダメっ、イ、くぅぅっ」
快感に身を任せた橋本が宣言通りにイくと、宮本も後を追うように中で爆ぜた。
「ま、雅輝っ…あっん…」
達したばかりだというのに、宮本自身から注がれる熱が直に伝わり、妙な高揚感を与える。
「おまっ…いつま、でイってる、んだっ」
ドクンドクンと脈を打つようにいつまでも注入されるせいで、どうしていいか全然わからない。先にイってる関係で、橋本の躰が冷静になりかけていた。
「陽さん、はじめてですよ。こんなにイったの」
「はじめて?」
「すごくないですか、これ」
ニコニコ微笑まれながら、目の前に差し出されたものは、宮本自身につけていたゴムだったのだが――。
「……ずっと、イってるなとは思っていたが。その量、半端ねぇな」
「陽さんにたいする、愛情も含まれているせいですけどね」
「あ~はいはい……」
いつものようなやり取りに橋本は照れて、ぱっと視線を逸らしながら、自身の汚れを手早く拭っていった。
宮本は手にしたゴムを捨てて、橋本の傍に寝転んぶ。
「ねぇ陽さん」
「あのさ、雅輝」
妙な間のあと、同じタイミングで話しかけたふたり。互いの顔を見合わせながら、唇を動かそうとしたのに、そのタイミングも同じで、あまりの仲の良さに吹き出した。
「やべぇな、俺たち」
「まるで、鏡合わせみたいでしたね」
クスクス笑いつつ額をくっつけて、どちらからともなく手を握る。
「雅輝と同じことを考えてるって自信、俺にあるんだけど」
「俺も。だから一緒に、せーので言ってみません?」
宮本が触れるだけのキスを橋本にしてから、ふたたび見つめ合う。
「わかった。せーの!」
「「指輪っ!」」
部屋に響いたふたりの短い言葉は一瞬でなくなったのに、不思議と耳の奥に残った。
「俺としてはモテモテの雅輝に、付き合ってる相手がいることを知らしめるべく、指輪をしてやりたいんだけどさ」
橋本は繋いでいた手を目の前にかざし、宮本の左手の薬指に反対の手ですりすり触れた。その感触がちょっとだけくすぐったくて、宮本は笑いをかみ殺しながら口を開く。
「俺だって陽さんが他の人に目がいかないように、指輪をしてほしかったりするんですけど」
「いかねぇよ、そんなの」
「今日行ったレストランでも、会計のときフロアを歩いたら、女性だけで食事していたグループに、熱視線を飛ばされていましたけど!」
「それはおまえにだろ」
「違いますって。俺があげたネクタイピンがキラッキラ輝いていて、陽さんの男前度があがったせいです」
異様に自分を持ち上げる宮本に、橋本は辟易した。
「雅輝、今日はやたらと俺を持ち上げてるけど、何か思うことでもあるのか?」
「ないですけど。ん~やっぱり、俺の家族に陽さんが認められたのが嬉しかったからかなぁ」
言いながらくすぐったい原因の橋本の手を取り、同じように薬指に触れてから、宮本は顔を寄せてキスをした。薬指に感じる宮本の唇の熱は、そこから一気に橋本に伝わった。