テラーノベル
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irxs 青桃(赤桃cp要素〇)
モニタリングパロ
(歌詞や雰囲気から考察したものになっています。)
※この作品には、精神疾患・自傷行為・薬物乱用を想起させる描写が含まれます。苦手な方は閲覧をお控えください。
意識が浮上すると、目の前で、ないこが子供のように泣きじゃくっていた。その隣には……赤い髪をした、鋭い顔立ちの男が立っている。
大学生くらいだろうか。まだ若く、社会人には見えない。
その「赤髪のイケメン」は、獣のような目で俺を睨みつけ、低く問いかけてきた。
「……お前、誰?」
激痛の走る左目をおさえながら、俺は努めて冷静に声を出す。
『あ、すみません……。出張カウンセラーの猫宮いふと申します』
「……ねぇ……。その目、何?」
りうらと呼ばれた男が、じり、とこちらに距離を詰める。
さっきまでの敵意は消え、代わりに剥き出しの困惑と、ほんの少しの恐怖が混ざったような目で俺の顔を覗き込んできた。
『あ……、あぁ。これは……』
言い淀む俺の言葉を遮ったのは、震えるないこの声だった。
「俺が、やった……」
「え……? ないくんが……って……?」
「俺が……この人にスマホ投げて、……怪我させたんだ」
「え……っと……?」
あからさまにりうらが混乱し始める。さっきまで俺を完全に敵視していた時とは、雰囲気が180度違っていて、少し面白い。
『いえ、大丈夫ですよ。精神状態によっては、癇癪を起こして暴走してしまうケースは多々ありますから』
「す、すみません!! ないく……ないこが、……っ!!」
「あ、あの……俺、り、りうら……大神りうらです……!! ないこの、彼氏です……!!」
あぁ、やっぱりな。こいつが例の通知を連投していた彼氏の「りうら」か。
実物を見て確信した。こいつもまた、ないこと同じように危ういバランスで立っているガキなのだ。
『あぁ……そんなに謝らないでください。今日はもうカウンセリングどころではなさそうですし、また日を改めて来ますね』
「は……はい……!!」
促されるように俺は立ち上がり、玄関に向かって靴を履く。
背後から、消え入りそうな、ないこの呟きが聞こえた。
「……俺のせいで……、また……」
その声に、再びパニックの兆候を感じ取った俺は、焦りを隠して振り返る。
『大丈夫。ないこは悪くない。……また明日な』
そう言い残して、俺は逃げるようにその家を後にした。
そのまま俺は、ズキズキと脈打つ傷を抱えて職場である精神病院へと戻る。
嫌な予感はしていたが、入り口を潜るなり後輩のほとけが血相を変えて駆け寄ってきた。
「えっ……!? いふ先輩、その怪我なに!?」
『うるさ……、お前、声デカいねん……』
ほとけの叫び声に、他の職員も驚いた様子でこちらを振り返る。
「だ……だって!! そんな傷つくって帰ってきたらびっくりするでしょ! ……患者さんに、やられたんだよね?」
『あぁ……まぁ、な……』
「とにかく! 見てるこっちまで痛くなってくるから! すぐに治療するよ!?」
ほとけに強引に処置室へ連れ込まれ、手際よく傷口を消毒される。傷口に染みる痛みを感じながら、俺の左目には白い眼帯が被せられた。
「はい、終わり。……で、その患者さんってなんて名前?」
ほとけが真剣な顔でメモ帳を開く。
『確か……内藤、ないこ……やったな』
「内藤ないこさん、ね……」
さらさらとメモを取るほとけ。彼なりに、自分が同じような患者に当たった時のために学習しようとしているのだろう。
けれど、俺にはわかっていた。
あのがらんとした部屋で、「また明日」と約束したあの瞬間から、俺はもう逃げられない。ほとけはないこに当たる心配はないだろうから…その面に関してはよかったのだが。
鏡に反射している、眼帯姿の自分を見つめる。
奪われた視界の分だけ、あの「ないこ」という男が、鮮明に脳裏に焼き付いていた。
まだまだ続きます!!
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