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「ふむ、あの魔女の送別会、か……」
手元の報告書に書かれていたのは、最近我が国を始め、先進国の担当として交渉に携わっていた天女 宇受乃女史の退任に伴う送別会が近々開催されるという残念、いや喜ばしい調査報告であった。
何処からともなく突如現れた女史に飲まされた煮え湯は鍋一杯二杯処ではなく、対外治安総局の調査でも極最近日本国籍を取得した以上の経歴を追えぬと言う何ともミステリアスな美……いや、魔女である。
そう、魔女だ。この私が彼女の胸に視線が釘付けになるのも、日本外務省内にひそかに作られていた天女さんファンクラブのシングルナンバーの会員になっていたのも、20年に及ぶキャリアを以てしても只の一度も”個人的な外出”に誘えなかったのも全て彼女が魔女だったからで、断じて私のせいではない……!
そんな彼女の送別会と聞いて黙っていられようか。
取り敢えずはイギリス以外の欧米諸国の駐日大使で情報共有して退任の記念品を送る手筈を整えねば!
招待状が無い?些細な事だよ、君。
そして当日。出ていくタイミングを見計らって首相官邸の建物の(何でこんな所で送別会?)陰に潜んでいたハンカチを噛み締める天女さんファンクラブの隣に並んだ我々は、
居並ぶ全省庁事務次官・全大臣・東条首相と言う錚々たるメンツにド肝を抜かれ、にこやかに挨拶する天女女史の隣に並ぶ小野麗尾 守の姿に驚愕する事になる。
事ここに到り、事態の黒幕がようやく判明した。詳細は不明だが、おそらく彼の召喚モンスターの力で読心を始めとした各種スキルの感知に掛からぬ様な何かを施し、”魔女”天女 宇受乃を仕立て上げたのだろう。私個人としては遺憾ながらも我が国が彼に恨まれている事は明白である。その報復として彼があの黄泉大毘売命の力を日本国政府に貸していても何ら不思議ではない。
そう考えが到った時、私は不意に後ろを振り向くと、各国在日大使が冷たい視線を向けている事に気が付いた。
恐らく私と同じ考えに至ったのだろう。
視線が明白に訴えかけてくる。
”お前の国のせいで俺達まで被害を受けていたんじゃねーか!”
”おぅ、詫びだよ、詫び。SEII見せろや、コラ”
”待って欲しい。この件に関しては私も被害者だ!?”
ぐだぐだしてしまったが、隙を見て女史に花束の贈呈、速やかに退出した後、本国に小野麗尾氏の報復の可能性を示唆したが、
反応は捗々しくない。
引き続き情報の確認に務めよとだけ言われてもどうしろと言うのだ。
小野麗尾氏への謝罪も賠償も封じているのはそちらではないか!!
……悩んだ末に道化になる事を決意した彼が、天女女史のファンとして小野麗尾宅を訪問して女史の真実を知るまで後〇〇日。
天女さんファンクラブのシングルナンバーの会員にしてエインセルファンクラブ|1000番(サウザンダー)、
黒人系フランス人ジャン・ダッテソー・ジャンは今日も憂鬱である。
面白黒人枠確保ー!
これであるある話が得流示威米帝対応という事で海外に進出できるな。
尚、国内ですら進発出来ていない模様。