車の運転

帰りは向井が運転して帰って来た。渡辺は助手席で寝ていた。

帰って来たら、いつも通り向井は暗室、渡辺はソファで丸くなる。

この日は電話している。

渡辺ー運転したぞ。

目黒ーどこまで？

渡辺ー俺たちが行く海まで。

目黒ー頑張ったね。

渡辺ー怖かった〜。

目黒ー平気な顔して運転したんでしょ？

渡辺ーふふふ。

目黒ー実は怖かったですって？

渡辺ーもう大丈夫。

目黒ー俺の車の運転してみる？

渡辺ーバカ、傷付けたら修理代高いじゃないか。

目黒ーふふふ、亮平くんもそう言ってた。

渡辺ーまた出かける時があれば、運転する。

目黒ー傷付けないでよ？

渡辺ー分かんなーい。

目黒ーあっ、車運転させたくないわ〜。

渡辺ーいつかはするからな？

目黒ー康二の車で練習してて？

渡辺ー任せとけ。

目黒ー今日はお疲れ様。

渡辺ーおぅ。

いつの間にか、携帯を持ったまま眠っていた渡辺。

向井に優しく起こされる。

ほわほわしてる。向井が写真を撮っている。渡辺は両腕を伸ばす。

向井の首に巻き付け引き寄せる。

笑いながら優しいキス。

向井ーなんや、ほわほわしてて可愛いなぁ。

渡辺ーふふふ。こうじぃ、ご飯？

向井ーそやそや、早よ食べな冷めてまう。

渡辺ーお腹空いた。

向井ー食べよ？

食事の前に、ちょっとだけ写真を見る。今回は風景もある。

ハート形の岩も、ちゃんとある。

渡辺はじっと眺めている。

向井ーよほど好きなんやな。

渡辺ー違う、波で岩が削れてる。

向井ーどこ？

渡辺ー前はここに岩あったもん。

向井ー取れたんか？

渡辺ーちょっとずつ削られていく。

涙が一筋、渡辺の頬を流れる。

向井は吸い取り、手を取りご飯を食べに行く。

渡辺は目をくしくししながら、席に着く。

向井ー全部削られていくんはずっと先や。前みたいに、岩の窪みでハート形探そ？

渡辺ーん。

向井ーそやから、泣きな。

渡辺ー大丈夫。

向井ーん、いっぱい食べや。

渡辺ーん。

今日は、渡辺を後ろから抱きしめて一緒に写真を見る。

「お気に入りはどれ？」「これ、男っぽく巻いてかっこええな」など、渡辺の耳元でゆっくり話す。

向井のこういう声が好きな渡辺。

ちょっと赤い顔をして、写真を見る。気に入った写真を抜き取る。

家できちんと整理してアルバムに入れてる。

1枚か2枚、向井の写真を撮る。

それはみんな渡辺が持って帰る。

他の渡辺の写真と一緒にアルバムに入れてある。