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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#恋愛
水無月 京
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#オフィスラブ
草原草原

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「今から俺と出かけない?」
気が付くと、俺は自然と彼女を誘っていた。
このベンチでハクセキレイを見るのもいいけれど、もっと空気が綺麗でリフレッシュできるところに行こう。
今日は社長と社員という立場を忘れ、ひとりの男として彼女に接したい。
彼女は俺のキャンピングカーを目にするなり、物珍しそうな視線を注いでいた。
その姿がまたこの上なくかわいくて、それだけでもこの車を買ってよかったと思える。
話しながら目的地に向けて高速道路を進んでいると、助手席に座る彼女がこちらをじっと凝視している気配を感じた。
男として俺を意識しているのかもしれない……そう考えたら当然心が躍った。
「私、自然を満喫するのが大好きなんです」
「俺も」
ミルで豆を挽いて香りのいいコーヒーを振る舞うと、彼女は屈託のない明るい笑みを見せた。
堤防のベンチに座っていたときと明らかに表情が違う。少しは元気になってくれたようだ。
好きなことを共有できるのが、こんなにも嬉しいなんて。今日は俺の中では、ふたりの“初デート”だ。
今日は俺ひとりで出かけるつもりだったから準備が整っていないけれど、釣りやバーベキューだけでなく、彼女が望むならグランピングでもサーフィンでもどこにだって連れていきたい。
「じいさんたちが画策したせいで見合いさせられたような感じだったけど、俺は君と会社以外で繋がれてよかったと思ってる」
祖父が絶賛していた理由が、今ならよくわかる。ウソや打算がなく、心根が綺麗な女性だ。
俺の気持ちはどんどん加速する一方なのに、未だに彼女は俺と目が合うとすぐに逸らしてしまう。
そろそろちゃんと俺を見てほしい。その思いがあふれ出て、彼女の左腕に触れて顔を上げさせた。
「目を逸らすな」
うるうるとした大きな瞳に吸い込まれるように、顔を近づけて彼女の唇を奪う。
顔を真っ赤にしながら固まる彼女がかわいくて、愛しさで胸がいっぱいになった。
こんな気持ちになったのは初めてだ。
――もう、手放せる気がしない。
週が明けた月曜日、友利百合菜という女性から正午ごろに電話があったと秘書から報告を受けた。
誰だったかと悩まなくても、香椎さんと友達だと偽ったあの女性だとすぐにわかる。
俺の名刺にはスマホの番号が書かれていないため、会社に電話をしてきたようだ。
実は今までにも何度か連絡があったみたいだが、秘書が俺に繋ぐことなくうまく対応してくれている。
用件を聞いても言わずに電話を切るらしいし、おそらく俺個人に興味があって接触したいだけだと思うから、こちらは関わらないようにするだけだ。
秘書には、もしも向こうが香椎さんの名前を出したとしても取り合うなと伝えてある。
「土曜日、いい波だったぞ。朝陽も来ればよかったのに」
社長室にやってきた朔也が仕事の話を終えた途端に雑談を始めた。
サーフィン好きな朔也は身体は筋肉質だけれど、白い歯を覗かせてニカッと笑う顔は出会ったころから変わらず人懐っこい。
その朗らかな性格に今までどれだけ助けられてきたかわからないくらいだ。
「俺は上流の川辺に行ってのんびりしてたから」
「ひとりで? ああ、おじいさんと?」
「違う」
小さく首を振りつつ視線を逸らせた俺の態度が不自然だったのか、朔也が少し間を空けて「え?」とわざとらしく聞き返した。
「偶然……そう、偶然に堤防にいるのを見かけたんだ」
「その相手って、香椎さん?」
「落ち込んでる顔をしたままだったから、元気付けたくて……」
なぜか懸命に弁明をしないといけない気になっていたが、よく考えたらその必要はない。
悪いことはしていないのだから堂々と認めればいいのだ。それに、朔也に対して隠しごとはしたくない。
「朝陽があのキャンピングカーでデートするとはな。初めてじゃないか?」
「ああ」
「いやぁ、朝陽にもそういう男らしい部分というか恋愛感情がちゃんとあって、俺ちょっと安心したわ」
当然俺だって人並みに恋愛感情くらい持っている。
冗談めかして嫌味を言う朔也に、俺たちは親友じゃないのかと抗議の意味を込めて冷たい視線を送った。
コメント
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第40話「君との縁⑥」、拝読しました! キャンピングカーでのお出かけ、素敵でしたね。堤防のベンチでの静かな時間から一転して、主人公が「ひとりの男として」彼女を誘うシーンに胸がときめきました。コーヒーを淹れる気遣いや、目を逸らす彼女の顎を上げて唇を奪う流れ…距離がぐっと縮まる感じがたまりませんでした。 最後の朔也さんとのやりとりも、親友にデートを軽く茶化されて照れる主人公の表情が目に浮かぶようで、クスッとしました。初々しい恋の進展がとても愛おしい一話でした🌷