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テラーノベル(Teller Novel)
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初めてのノベル!! チャット式もいいけどノベルの方の良さもみんなに知ってほしいなぁぁぁあ!良かったら見てって!!

何話かに分けて書きます。


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妖怪の血が交じる弟[音]。人間の兄[海斗]。

妖怪だからと弟がまだ小さい頃に虐待していた兄が、数年後にやり返される話。

※弟視点でのお話 ※死なない程度の暴力描写あり

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俺は気が付いたら、海斗を押し倒して、その上に股がっていた。床に転がされた彼は、ひどく不服そうな顔をしていて、両腕は俺がガッチリと押さえ込んでいる。人間と妖怪では、力の差があって、多分海斗には俺を振りほどく事ができないから、身動きが取れないでいる。



「なんの真似だ。」

海斗の低い声が俺の鼓膜を震わせた。”どけろ”と言われた気もした。でも俺は、なぜ海斗の上にいるのだろう。思い出そうとしていると、海斗が身を捩る。俺から開放されよと、逃げようとしているのだと気付くと、自然に押さえつけようという思考が働き、彼の腕を一層強く握る。海斗の眉が顰められた。


「放せっつってんだろ!痛えよバケモン」

今は俺が抑えつけて身動き取れない状態であるからか、口でしか反抗できない。そう思ったら、幼い頃にコイツにされてきたことを段々と思い出した。 暴力、暴力、暴力。海斗は自分に対して何か気に食わないことがあると、母の目を盗んで俺を痛めつけた。憎悪は消えることなく、確かに俺の中に眠っていて。そうして今、爆発したのだろう。



とはいえ、最初はほんの少し、やり返すようなつもりだった。俺は海斗の両腕を押さえていた手を、首元に移動させる。生暖かい皮膚の下で、ドクドクと脈打つ感触。海斗が驚いたように目を見開いている。


「はっ…なにすんだよ…?」

俺を小馬鹿にするように笑った。しかしその裏にはちょっと焦った感じがあった。そんなことはどうでも良く俺は這わせた指に体重を乗せた。


「ぅぐ、……て、めぇ」

海斗は苦しそうに顔を歪めて、俺の手首を掴んだ。 細い息が漏れる。



人間の力なんて、獣化した妖怪には敵わない。昔の俺はそんなこと知らなかった。抵抗しようとも考えなかった。だが、今はこの手で海斗を殺してしまうことができる。俺はそう考えながら、ぐいぐいと兄の喉を絞め上げていく。


「げほっ、くそ、が、…ッ」

海斗が抵抗しようと身をよじっても、足をばたつかせても、俺は力を緩めない。更に気管を圧迫してやった。


「! ッ、……がはッ……」

苦しげに顔を歪めて、俺の腕を殴りつける。はくはくと口を開閉させ、苦痛に悶ている。兄のそんな姿にゾクゾクした。


「〜〜ッ、ゲホッ」

ビクン、と体が跳ねて、嚥下できない唾液を吐いている。着実に、弱ってきている。

俺の手を振りほどこうと掴んでいた兄の指先は、確かに力が抜けてきており、ほとんど俺にされるがままになっている。

弱い。そのくせ、今まで調子に乗っていた彼の姿が思い浮かぶ。見開いた瞳が揺れている。こんなに弱かったくせに、俺を拒絶して、踏み躙って、痛めつけてきた。

考えるほどに、手の内に力が篭もる。


「ガハッ、…ご、ぁ…」

ビクン、と海斗の四肢が跳ねた。その途端。兄の両腕が力なく床に転がった。はっとして手を放す。


「──ゲホッ……う、えっ、ゴホッゴホッ、ッえ、ハアッ、はぁ……ハー……」

紅潮した肌と、額に浮かぶ汗。涙の滲む瞳。あの頃、絶対に見ることのなかった表情だ。なんだ、自分は最初から勝てたんだ。あんな仕打ちを受け入れていたのが馬鹿馬鹿しくなった。


「海斗。苦しかったか」

まだ荒く呼吸を繰り返している兄を見下ろして問いかける。


「チッ…だま、れ…」

こちらを睨み付けながらそう言った。まだ反抗する気があるようだった。

もっともっと苦しませて、弱らせて、屈辱を味あわせて、泣いて謝るくらいさせてやる。そして俺は海斗の口元と鼻を手で覆った。


「ン、ん……!?」

声も上げられないため、唸るだけだ。呼吸を止められて苦しくなるが、それだけで人は死ねないからただひたすらに苦痛を味わうことになる。


「ンーッ、んんっ」

海斗はバタバタと抵抗するものの、俺の力が緩むことはない。手の甲を海斗の爪が滑る。獣化の影響で硬い鱗に変質している皮膚に、爪が立つはずないのだ。

ビクン、と流海の四肢が跳ねた。


「……、……ん、ん」

両目に涙を溜めて、こちらを見上げる。その表情は堪らなく可愛かった。殺さぬように、と一度手を放す。


「ひゅ、はあっ、はあ、は、ひゅー、ゲホッ」


「苦しそうだったな。可哀想に」

荒く呼吸を繰り返す海斗にそう声をかけると、悔しそうに顔を歪めた。


「……なんのつもりだ。も、う…ころしてくれよ…」


「死んでほしいわけじゃない。俺と同じか、それ以上の苦痛を与えたいだけだ」

言いながら、指先で海斗の首筋をなぞる。首を絞めたせいで、痕の残った汗ばんだ皮膚。俺がそこに指を滑らせれば、海斗はわかりやすく体を強張らせた。それが堪らなかった。



「殺してなんかやらない。お前は俺に怯え続けていればいい」

海斗の瞳が揺れる。それを見届けてから、再び彼の口元を覆った。


「んん゛ッ…」

一瞬身をよじったが、それほどはっきりと抵抗してこない。呼吸が止まる苦しさは耐え難いもののはずだが、抗うことを諦めているらしかった。ほとんど力の入っていない手で俺の腕を引き剥がすような動きはする。でも、それだけだ。


「ん、ぅ…」

酸欠に紅潮させた肌を、生理的なものであろう涙が伝っている。虚ろな目が焦点を失う。

駄目だ。つまらない。勝手に諦めている。この程度の苦痛では弱かったのか?



手を放す。荒く呼吸を繰り返すが、海斗はぼーっとしているように見える。

つまらない。

どうしてやろうかと見下ろしていると、ようやく俺の方を見上げる。その無表情は、自分にそっくりだと感じた。人間の兄と、半妖の俺でも、兄弟なのだと自覚する。組み敷かれた姿勢で、諦めたような表情が自分に似ているなんて。なんて皮肉なのだろう。


「なあ海斗。海斗は、俺のことが嫌いか」

「嫌い」

すぐに返答がある。そうだ、こいつは俺が嫌いなんだ。

思考しながら、指先で彼の口元に触れた。そのまま、口内に指を侵入させる。流石に驚いたのか、僅かに体を仰け反らせ、噛み付いてくる。歯が立たないのはわかっているため、構わず指を押し込んだ。 ゆっくりと舌を撫でる。不快感に顔を歪める海斗を見て、いい気味だとおもった。


「……んぅ、」

上顎を擦る。びくんと震える肩。逃げようとする頭を、反対の手で掴んで抑え込む。舌を押さえて、喉奥まで指を押し込んでいく。


「う゛、え…」

嘔吐きそうになるのを堪えるように、海斗の目尻から涙が零れた。


_はぁ、もっといじめてやりたい。

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