──────地の龍視点──────
「____え、なんて言った?」
私は、思わず聞き返す。聞き返した相手──────雷は苦しげな表情を浮かべながら
「私は天界から去ることにするわ。____つまり堕ちる。」
「何、ふざけたこと言ってるの…?」
まともな考えじゃない。神に創られた物に過ぎない私たちが神のもとから去るなんて。考えたこともなかったし、そんなことダメだと思った。でも、雷の目は真剣そのものだった。____私は、とっくに壊れてしまったらしい。
「…私も、私も堕ちるわ。3人なら、3人なら怖くないですから!!」
それは、私をかっきづけるかのように力強く言えた。近くにいた風は乾いた笑いを浮かべ、
「僕たち怖いもの知らず過ぎるねッ」
そう言って、にっこりと笑った。
──────私たちは実行した。逃げた。この腐れきった神界から。____神以外の命を容易く踏みにじるこの地獄から。
ただ、バレない訳がなかった。
「____止まれッッ!!!」
稲妻のごとく雷神が一瞬で距離を詰めてくる。私はすぐさまそれに対し、応戦する。いや、応戦なんて言えるほど立派なものじゃない。傍から私は戦うつもりはなかった。だから、妨害だけでよかった。
捕まりそうな瞬間。
「──────地割れッッ!!!」
そう言うと、地面にヒビが生え、雷神は簡単に落ちる。───飛ぶのを龍に任せきった結果だ。ばーか。なんて心では思うが、口に出すことは出来ない。何故ならば、神に刃向かったという恐怖は思ったよりも、私を侵食する。怖い。怖かった。けれど、もう止まれない。
「───風と共にッッ!!!」
風が私たちに追い風をつける。
───と、思っていた。私達とは逆方向に風が吹く。
「ちょッッ!?風!?」
「───風神の御加護を♪」
そう言いながら私たちの前に立ちはだかるのは風神。悠々と大きな翼を生やし、逆流の風を引き起こす。暴風だった。さすがは神と言ったものでその強風にジリジリと後退せざるをえなかった。
「───あとは託したわよ。」
そんな、意味深な言葉を吐いて雷は風神に激突する。
「───ちょッッ!?何やッッ」
そんな風神の声とともに、あたりは爆発する。それは煙幕となり、そして、風神の翼が散っていた。空からは純白の羽が舞い散る。____生きてはいるだろう。時間稼ぎに過ぎない。私は更に強く走った。
____雷を追いていくという決断をしてしまった。後悔で胸が押しつぶされる。けれど、それに負けてはいけなかった。____あの笑みを、忘れてはいけない。
「───なぁ、地。」
おもむろに風が話し始める。おっては───まだ見えない。
「なんで、僕たちは神から逃げてるの?」
「───は?今、それ聞くの?」
思わず棘の入った言葉で返してしまう。たった今、雷の行方が分からなくなったのだ。そんな時に意味不明の質問をされればこうなっても無理は無いと思う。
「神様は素晴らしくていいものなのに____。炎は耐えきれなかったのが悪いんだよ。」
そう言いながら風は大きな翼を広げる。その空を支配してしまうかと錯覚してしまいそうな翼はまるで、まるで───。
「───あぁ、嘘でしょ?」
「僕こそが。2代目風神。風の導きのままに____ッッ!!!」
そう言って、私に対して強風を仰ぐ。あぁ、一体いつから風は変わってしまったのだろうか。そんな疑問が私の脳を埋め尽くす。驚きよりもショックが勝った。私たち龍よりも神を優先されるなんて、信じられなかった。
私は、また、神の傀儡となるのだろうか?
「───ぐはッッ!?」
そんな風の声とともに風神は地に落ちる。頭からは光が溢れており、致命傷では無いが、なかなかのダメージであることが分かる。無論、この攻撃は私のものでは無い。神に私はかなわないからだ。ならば、攻撃したのもまた、神であろう。その姿を見て、私は心底驚く。
「ご主人…様…?」
「───あぁ、久しぶりだね。ハーデン・ベ・ルギア。まさか、堕落しようとするとは思わなかったよ。」
そう言いながらご主人様は近づいてくる。───ゲームオーバーだった。これ以上抗えない。私は、尊い犠牲を払ってもなお、この地獄から抜け出せないらしい。
「しかし、堕落しようとする部下はいらないな。」
____あぁ、殺されるのだろうか。もしくは再利用?どれにしろ、全てが地獄でしかない。
「そんな部下はいらないな。だから。」
ご主人様は私の肩の上に手を置き、そして───
──────思いっきり雲の下に突き落とした。
「──────え?」
「さぁ、堕ちなされ。神の束縛から君は逃げなさい。」
そう言ったご主人様の表情は分からない。ただ、後ろから迫る神々によって、捕らえられていたのが、薄らと見えた。
「───あ。」
私は神界から堕ち、天海からも堕ち、───地上にて着地した。
「何が堕ちなされ、だ。老人臭いこと言いやがって。」
わたしは、どうやら森の中に落ちたらしい。木々が歓迎するかのようにざわざわとなびく。しかし、気持ちが晴れることは無かった。
神は嫌いだ。私達を物のように扱う。
ご主人様も嫌いだ。カッコつけて、私だけを助けようとする。自己犠牲しかない。
私は、傲慢に、強欲に生きた。もう、何も失いたくない。何も奪われたくないから。
私は、神を信じなくなった。神は正しく救済を与えることが出来ないから。
私は、神に祈る人が嫌いだ。どれだけ祈ってたとしても救ってはくれない。結局は気まぐれなのだから。
私は名前を捨てた。地位を捨てた。まっさらな状態でもう一度やり直したかった。
私は、神の束縛から抜けたらしい。寿命という概念から、属性、能力という概念から逸脱した。
私は、もう真面目には生きないことを決意した。真面目にしていたって何もいいことは無い。好きなように生きた方が後悔しないから。
ひとつ、知ったことがある。私の元名前。ハーデン・ベ・ルギア。おそらく、ご主人様が見たのはハーデンベルギアという花だろう。───どうしても、花言葉が気になって。少しばかり、覗いてみる。
「出会えてよかった」「運命の出会い」「幸せが舞い込む」「思いやり」
「───なんだよそれッw」
私は、鼻で笑った。
ここで切ります!…あ、やっと八幡さんの過去編終わった…。長すぎません?自分で言うのもなんですけど…つっかれました。マジで。しばらく何もしたくなーい
ちなみに髪を切りました✌️元々メテヲさんくらいのの髪の長さがぐさおさんくらいの髪の長さになりましたねーさっぱりして思いのほか気に入ってます!
♡12万ありがとうございます!!こんなにも伸びるとは…この小説を書き始めた時は思いもよらなかったです…。てことで記念イラスト↓↓↓
ルカさんですね〜。うん、似てない…衣装とか変えたりするとほんとに別人になるから大変なんですよね…ちなみにこのイラストは目の前でヒナさんが光の塵になったシーンですね〜。絶望顔です!
それでは!おつはる!
コメント
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イラスト上手すぎです師匠 あれ八幡さん以外全員居なくなるはず(実際そうなのか…?)
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