つーづーきー
もう時刻は22時を回ってしまった。久しぶりに1人で食べた夜ご飯は何だか味気なくて、いつも見ているテレビも全然面白く思えない。別に帰ってくる時間を細かく決めた訳では無いけど、こんなにも遅くなるなんて。
「……まさか、ね。」
もしかしたら友人と浮気、なんて馬鹿な考えが過ぎる。涼ちゃんに限ってそんなことあるはずがない。良い子で待ってて、と言われたんだ。ちゃんと守らないと。
「たっだいまー!!!」
玄関の開く音と共に涼ちゃんのやけに明るい声がした。待ち侘びていた帰りに慌てて玄関に向かうが、そこには頬を赤く染めた目が虚ろな涼ちゃんが居た。
「…涼ちゃん酒臭い。お酒飲むとか聞いてないんだけど。」
「ん〜?べつに、いう必要ないもん。」
完全に酔っ払っている。こんだけ酔っている姿を見るのは稀だ。どれだけ飲んだのだろう。
「今何時か分かる?」
「うん!」
俺の問いかけに元気に返事をしてくれた涼ちゃん。その後に続くであろう答えをまっていたが、ニコニコとした表情のままこちらを見つめている。
「え……?」
「え?」
もうダメだこの酔っ払いは。いつもは介抱される側だが、する側はこんなにもめんどくさいのか。
「とりあえず靴脱いで。ほら、荷物貸して。」
「んー……。ありがとぉ…」
のろのろとした遅さで手渡されたバッグを受け取り、涼ちゃんの部屋に置きに行こうとした時、ひらりと1枚の紙が床に落ちた。
「…なにこれ。」
紫と黒を基調としている誰かの名刺で、恐らくギャバクラと思われる店名が書いてあった。微かに強い香水の匂いもして、思わず涼ちゃんの顔を見る。
「あ……えっと…、ま、間違えて入っちゃったみたいな……。」
「……。」
あからさまに視線をキョロキョロとさせる涼ちゃんの姿に、どっと怒りが湧いてきた。俺という恋人が居るのに、そんな店に行くなんて。
「こんな帰るの遅くなって、しかもキャバクラまで行ってさ。それに加えて嘘まで付くの?…涼ちゃんがそんな人間だと思わなかった。」
「ね、違うから、待って若井…!」
これ以上涼ちゃんの顔を見ていると怒りが爆発しそうで、俺を引き留めようと掴まれた手を振りほどいてリビングに向かう。健気に帰りを待ってた俺が馬鹿みたいだ。涼ちゃんは俺のことなんてどうでもよかったのに。物に当たるのは良くないが、開いたリビングの扉を後ろ手で力任せに閉めた。
「いっっ……たあ……。」
突然後ろから聞こえた何かがぶつかる音と涼ちゃんの弱々しい声。思わず振り向くと、俺が閉めた扉に頭をぶつけたらしい涼ちゃんがへたりと床に座り込んでいた。もう扉は開いていることから、きっと涼ちゃんの額と強くぶつかり合ったのだろう。痛そうに額を両の手で抑え、蹲る姿に歩みを進める。
「……もう俺の事飽きたの?」
驚いた顔でこちらを見上げた涼ちゃんの潤んだ瞳が向けられる。
「良い子でね、って言ったの涼ちゃんじゃん。なのになんで……」
言葉が言い終わる前に、いつの間にか立ち上がっていた涼ちゃんに強く抱き締められる。
「…ごめんね。その、…女の人と一緒にお酒飲んだとかそんなんじゃなくて!今日あった友達がお店のオーナーさんなの…。その名刺も…その人の。」
安心させるように優しく背中を撫でられた。その名刺、と言われてハッとする。未だ手に握られたままの名刺に目を落とせば、確かに責任職の名前が書かれていた。しっかりと確認もせずに、勝手に先走って大きな勘違いをしていたようだ。
「ごめん俺………」
「ごめんは無し!!僕も帰るの遅くなったし!」
そう言い、優しく微笑んだ涼ちゃんの笑顔に釘付けになる。年上の余裕を垣間見た。
「……俺風呂沸かしてくるから、リビングで休んでて。」
涼ちゃんから香る、お酒や色んな香水の匂い。いつもは俺と同じ香りなのに、なんてちょっとモヤっとした。けど、そんなの言えるわけが無い。だから香りを消す為にさりげなくお風呂に誘導する。
「ありがと!あれ?若井もまだ入ってないの?」
「待ってたから。」
「じゃあ一緒に入ろ。」
無垢な笑顔でそう告げられ、こくりと頷く。その答えに満足したのか、ルンルンな様子でリビングのソファに横になる姿を見守り、お風呂場へと向かった。
何となく犬味が強い気が……🤔
たぶんつぎ🔞です。
コメント
8件
うがあぐぇううばがかぁ
きちんといい子で待ってたの可愛い💗 💛ちゃん今からどうなっちゃうんだろう、、いい子に待ってたご褒美あげてあげて!
可愛い