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アルファルド
金髪のツインテールにタレ目の紫眼を持つ15歳の女の子、左頬に傷があり母親にお仕置きとして切られた、首に薄らとだが鱗の痣がある
シリウス・ロードに恩返しがしたい
成績優秀で雷魔法が得意
青龍に呪いをかけられている
『アルファルドは18歳の誕生日に不慮の事故で命を落とす』
真実を誰かに告発しようと蛇に喉を絞められる
呪いの解除方法
・アルファに生きたいと想わせること
・誰かに愛されること
過去
母親にネグレクトされて育った、他に頼れる人間なんていなく幼少期は誰からも愛されなかった。そのため他人より感情が乏しい。
誰かに愛されたことがないので人の愛し方も分からない
母親に青龍と無理矢理契約を交わされた
『アンタは私のために死ぬのよ!それがアンタの親孝行!散々お世話になったんだから当然よねぇ!!!?』
未来
『来世は誰かに愛されたいな』
命の契約の破棄が不完全に成立しアルファは魂を失わなかったが命を落としてしまう。
・契約破棄方法のどちらか一つは満たされた場合に起こるバッドエンド
『〇〇、あなたを愛してよかった』
命の契約は完全に破棄され、誰かと結ばれるハッピーエンド
シリウス・ロード
赤髪青眼の17歳の男、左耳に魔法石のピアス
遊び人で常に横に女の子がいるチャラ男
どんなにクズでもアルファにとっては唯一手を差し伸べてくれた1人の人間
ずぶ濡れのアルファに傘を渡したがシリウスは覚えてない(10年前)
女の子は選び放題でアルファなんて他の告白してくる有象無象と変わりなかった
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私の生まれた意味は母親を幸せにする事
でも、それまでは自分の幸せを願ってもいいよね?
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今日からこの魔法学園に通うんだ……。
私、1人でやってけるかな?
ドキドキとこれから始まる学園生活に胸を膨らませた。
「私は平民の出のアルファルドです。魔法は雷魔法を得意としています。以後お見知りおきを」
少し緊張していつもより硬い挨拶をしてしまった……貴族と友達になろうなんて思ってないけど平民の子達ですら近寄らない挨拶だよこれ。
私は野外授業のため広場に向かいながら『友達』について考えていた。
だいたい友達の作り方なんてわからないし……過去に遊んだことある人は1人だけいたけど、それも1日だけという短い時間だし。
あの子、何してんだろ……服が豪華な感じだったから貴族かなと思うけど、ここに居ないかな?
など考えている間に私は広場に着いた。
まあそんな事より授業の準備と荷物を置きに横を向くと『シリウス!』と呼ばれ振り返る赤髪の青年がいた。
「……り、う」
私も声を掛けようと思ったが過去にたった1日だけ遊んだことがある程度、それも私は平民で彼は貴族。学園では平民と貴族は横社会と謳っても、それでも暗黙のルールはあるはずだ。
それにもし声をかけて覚えてなかったら悲しいだけだしやめよう。
私は雷魔法に特化し過ぎてそれ以外の魔法はからっきしだった。
実技では攻撃特化だが筆記は満点を取れた。
満点取れても誰にも褒められないけどね。
でもいい。
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なんと今日から1週間上級生とペアを組んで課題をクリアするらしい。
そして私のペアはシリウスだったのだ。
「なんで??」
「くじ引きだってさ。俺の時もそうだったし、まじランダムだよ。あ、俺はシリウス・ロードね」
「あ、私はアルファルドです。し、ロード先輩よろしくお願いします。」
「あー。真面目ちゃんかあ。俺としてはもっときゃぴきゃぴした子がよかったけど。ランダムだから文句言ってらんないか。よろしくー」
「は、はい」
きゃぴきゃぴってなんだ??
それにこの感じやっぱり私のこと覚えてなかった、あの時声かけなくて良かった。
課題内容は《使い魔召喚》だ。
「使い魔召喚なんて1日で出来るよ。さっさとクリアしよう」
「はい」
「まあ、お手本見ててね」
「はい。こんな感じね。俺の使い魔は鴉のクウだよ」
「なるほど……やってみます」
「まあアドバイスとしては、ある程度何を召喚したいか頭ん中で想像しとけば良いよ」
「はい」
何を、か。
使い魔って主人が居なくなったらどうなるんだろ。
「あの先輩、質問いいですか?」
「ん?」
「使い魔って主人が死んだらどうなるんですか?」
「え、何その質問。……んー。まあ召喚後に誓約魔法を交わすから自由になるんじゃない?」
「なるほど」
なら1人でも生きていける子にしないとね。
呪文を唱え、眩い光から出てきたのは
金色の瞳に黄緑の髪を持つ背中に翼を持つ青年だった。
「え?」
「過去にも2人ほど人型を召喚した人はいたよ」
「そうなんですか……」
「1人はSランクパーティの魔法使い。もう1人がこの学園で教師をしているよ」
「なるほど」
「きっといつか会える日が来るから、彼らがどんな子を召喚したのかも見れるかもね」
「あ、1つだけ質問いいですか?」
「なんだい?」
「もし主人が死んだら……召喚した子はどうなるんですか?」
「その召喚された者次第かな、元の場所に戻るかそこに留まるかは彼ら次第らしいよ。そう考えるとワタシらが暮らしている国にも人に模した召喚者がいる可能性もあるね」
なるほどな
今回の召喚は本当に稀なことなんだ
とりあえずこの子と仲良くしないとな
私の後ろを歩く天使?を見る
「なに?」
「えっと、挨拶してなかったね。私はアルファルドこれからよろしくね」
「僕は天使だよ。名前はあんたが決めてよ」
「ああ、そっか。召喚者の名前は主人が決めるんだっけ……う〜ん。どうしよう、アトラスとかどう?」
「アトラス……まあいいでしょう」
お気に召したみたいだ、良かった
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アトラス
金色の瞳と黄緑色の髪を持つ天使
性別は中性的な容姿でよく女性と勘違いされるがアルファルドは一発で男性と分かった(勘)
性格は冷静沈着、最初は冷めた関係だったが徐々に情に流され主人のセコム化し始めた
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アトラスは人型ということもあり男性用の制服を学園側から支給された
普段は天使の輪と翼は隠しているから、知らない人が見たらここの学園生に見えるだろうな
アトラスは私の近くにずっといるわけではなく1週間に1度しか顔を見ない時だってある
ずっと主人呼びだし。これ以上仲良くできないのかな、でも仲良くなったら別れが辛いだけか
私とアトラスは絶対に別れが来るから
だって、あと3年しかないから
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ロード先輩にはファンクラブがあるらしい
私と同じようにロード先輩に憧れてる人がいることに感動を覚えた
どんな人がいるのか気になるけど、私みたいな平民が入ってもいいのかな
入れました
会員の方に声をかけたら『おお!同志よ!!』と手続きもパッと済まされ、私は会員になった
しかも、ここはロード先輩公認ファンクラブらしく月に一度ロード様交流会という名のお茶会が開催されるらしい。そこでは1人5分ロード先輩と会話ができるらしい
しかもしかも、その月に一度のお茶会が今日らしいのだ。流石に運が良すぎるかも
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「ロード様あっ♡」「今日も素晴らしいですわぁ」「本当にかっこいい〜♡」
「ねぇ、貴方新規会員よね?」
「はい。アルファルドです、よろしくお願いします」
「ふぅん。家名無しってことは貴方平民?可哀想に……平民はロード様と5分も会話できないのよ」
「……そうなんですか」
「ふふん。平民は1分だけよ?前回のお茶会でやらかした平民がいてねぇ、ロード様に許可無く手を触ったの!なんと下品な女でしたこと!」
1分で逆に良かったかも、だって召喚課題の時気まずかったし。丁度いいかも
「ロード様、今日新規登録させていただいたアルファルドと申します」
「えっ!君会員になったの!?」
「はい。先輩は私の憧れなので」
「ええー。そうなんだ、あー、残念。君は平民だからもう終わりねー。また来月話そう!」
「はい。本日はありがとうございました」
1分って短いな……挨拶しかできなかった
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気が付けば夏の月に入っていた
私の成績は学年テストで1位を取れるほど優秀になった。実際には2位になってるが、その理由は1位が平民なのはおかしいからだ。一度春のテストで1位を取ったら『平民のくせに』『カンニングしてるんじゃない?』『身体でも使ってるのか?』などあることないこと囁かれたのだ。
なので、私は前回2位だった王族の生徒を1位にするためわざと手を抜いたのだ。
まあ、急に下がったらおかしいから徐々に下に下げてこうっと
ロード先輩とのお茶会での1分会話はほぼ天気の会話で毎回終わる。正直貴族が多い学園なのでファンクラブも平民はいても私含め2、3人。やらかした平民も中にいて居心地が悪いので抜けようと思ってる。
図書館で本を読んでる方がもっと有意義だ。
あそこはロード先輩が本気で好きな人たちの場なのだろう。そういう感情はわからない私がいるのは失礼にあたるだろう
明日から夏期休暇で私は震えていた
嬉しからではなく恐怖からの震えだ。母親にまた迷惑かけてしまう……
早く、早く終わらないかな
親の許可が降りないと学園滞在が出来ないので必ず一度は全員学園から出ないといけない
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薄暗い台所の隅で、アルファルドは膝を抱えて座っていた。彼女の金髪は、薄光の中で淡く輝き、肩に乱雑に広がっていた。普段は丁寧に梳かしていたその髪も、今は母親の怒りの前では無防備だった。
「その髪、目障りなのよ!」母親の声は刺すように鋭く、手に握った古いハサミが鈍く光った。アルファルドの心臓が早鐘を打つ。彼女は小さく首を振ったが、声は喉に詰まった。
「じっとしてなさい!」母親が一歩踏み出すと、アルファルドの体は反射的に縮こまった。だが、抵抗はしない。*私が悪いから。母さんが怒るのは、私がちゃんとできないから。* 彼女の心はそう繰り返していた。
母親の手が乱暴にアルファルドの金髪を掴み、ハサミが無造作に動いた。ザク、ザク。金色の髪が束になって床に落ち、台所の冷たい石の床に散らばる。アルファルドの目は、切り落とされた髪を追った。そこには、彼女が密かに愛おしんでいた金髪の残骸があった。
「これで少しはマシになるわね」と母親が吐き捨てる。だが、その目はまだ燃えるような怒りに満ちていた。次の瞬間、彼女の手が滑った――いや、意図的だったのかもしれない。ハサミの刃がアルファルドの頬をかすめ、鋭い痛みが走った。
「っ…!」アルファルドは小さな悲鳴を飲み込み、頬に手を当てた。指先に温かい血が滝のように滲む。傷は深く、頬の柔らかい皮膚を裂いていた。血が滴り、彼女の白い服に赤い染みを作った。
「泣くな。自分で招いたことでしょう?」母親は冷たく言い放ち、ハサミを放り投げるように置くと、台所を出ていった。残されたアルファルドは、震える手で頬を押さえ、床に散らばる金髪を見つめた。痛みよりも、心に広がる空虚さが彼女を支配していた。
数週間後、アルファルドの頬には傷痕が残った。細く白い線が、彼女の小さな顔に刻まれていた。鏡を見るたび、彼女はそっと指で傷をなぞる。切り揃えられた金髪は、かつての輝きを失い、短く不揃いなままだった。*母さんが私を嫌うのは、私が悪いから。* そう思い込むことで、彼女は耐え続けた。だが、傷痕は消えることなく、彼女の心に静かな痛みを刻み続けた。
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夜の森の奥、アルファルドは朽ちかけた木の根元に膝を突いていた。月光に照らされた彼女の金髪は短く不揃いで、乱れながら肩に落ちている。15歳の少女の頬には、かつて母親のハサミで刻まれた白い傷痕が薄く浮かんでいた。彼女の目は決意と恐怖に揺れ、唇が震えながら小さな言葉をつむぐ。
「誰かに…話さなきゃ…」アルファルドの声はか細く、18歳の誕生日に死ぬ呪いの契約が彼女の心を締め付ける。幼い頃、母親の冷酷な手で悪魔と結ばされたその契約は、彼女を自由から遠ざけていた。*誰かに知ってほしい。私が消える前に。*
だが、真実を口にしようとした瞬間、呪いが発動した。見えない力が首に絡みつき、冷たい縄のように締め上げる。「うっ…!」アルファルドは喉を押さえ、地面に倒れ込んだ。息ができない。金髪が土にまみれ、彼女の小さな体が痙攣するように震えた。*言っちゃダメ…言ったら…!* 呪いの警告が頭の中で響き、彼女の頬の傷痕が月光に痛々しく映る。
遠くの木々の影から、その光景を静かに見つめる存在がいた。アルファルドが召喚した天使、アトラス。中性的な美貌を持つ彼は、黄緑色の髪が夜風に揺れ、金色の瞳が鋭く少女を注視していた。淡い光をまとった姿は、まるで森の一部のように溶け込みながらも、冷静沈着な気配を漂わせている。
*何か隠している。この子の魂に絡む闇は、ただの恐怖ではない。* アトラスは、アルファルドの周囲を漂う悪魔の気配を感知していた。彼の金色の瞳は、呪いの本質を捉えつつあった。*彼女を生きたいと願わせ、誰かに愛されること。それが呪いを解く鍵だ。* 冷静に状況を分析しながら、アトラスはアルファルドの心の奥に閉ざされた希望と、母親の冷遇によって砕かれた自尊心を見抜いていた。
*まず、彼女の心に近づかねば。だが、慎重に。* アトラスは翼を微かに動かし、静かに一歩近づいた。アルファルドが怯えないよう、直接的な介入は控えた。彼女は他人を信じられず、突然の優しさに警戒するだろう。アトラスは、少女が自ら心を開く瞬間を待つ必要があると判断した。
「アルファルド」アトラスは静かに呼びかけた。声は低く、落ち着いた響きが森に溶ける。アルファルドが顔を上げ、驚いたように天使を見た。彼女の目は恐怖と疑念に満ちている。「怖がる必要はない。僕はお前の味方だ」とアトラスは言い、言葉を慎重に選んだ。*彼女は愛を知らない。だが、愛される価値があると信じさせねば。*
アトラスはアルファルドの近くの木の根元に腰を下ろし、少女と視線を合わせた。黄緑色の髪が月光に輝き、金色の瞳は穏やかだが鋭い光を宿している。「僕にはわかる。お前が背負っているものの重さだ。なぜ、生きることを諦めている?」その問いは、アルファルドの心に小さな波紋を広げた。彼女は唇を噛み、首の赤い痕を隠すように手を置いた。「私なんか…生きる価値なんて…」彼女の声は途切れ、呪いの恐怖が再び彼女を縛る。
アトラスは感情を抑え、静かに耳を傾けた。*彼女に生きたい理由を見つけさせるには、まず自分自身を受け入れさせねば。* 「お前の金髪は、月光を映して輝いている」とアトラスは言った。「その傷痕は、お前が耐えてきた強さの証だ。お前には価値がある。僕にはそれが見える。だが、まずお前自身がそれを知るべきだ。」
アルファルドの目が揺れた。誰も彼女を美しいと言ったことなどなかった。母親の冷たい言葉しか知らない彼女にとって、アトラスの言葉は異質で、信じがたいものだった。だが、アトラスは冷静に続ける。「僕はお前を見守る。お前が望むなら、そばにいる。だが、生きる理由は、お前自身で見つけるんだ。」
アトラスの計画は、まずアルファルドに小さな希望の欠片を与えることだった。彼女が自分を価値ある存在と認め、生きたいと願うきっかけを作る。そして、村の少年や他の人々との自然な出会いを導き、彼女が愛される経験を積めるよう促す。アトラスは天使の力で彼女を守りつつ、呪いの秘密を暴く機会を待ち、アルファルドが自ら真実を語れるよう支えるつもりだった。
アルファルドは黙って金髪を指でなぞり、アトラスの言葉を反芻していた。彼女の心に、かすかな光が差し込む。だが、呪いの影はまだ濃く、アトラスは知っていた――この少女の魂を救うには、時間と忍耐が必要だと。黄緑色の髪を揺らし、金色の瞳で少女を見据えながら、彼は静かに次の行動を計算していた。
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湖畔の夜、18歳の誕生日が目前に迫ったアルファルドは、月光の下で静かに立っていた。かつて不揃いだった金髪は、アトラスの丁寧な手によってミディアムに整えられ、滑らかな輝きを放っている。彼女の頬には、幼い頃に母親のハサミで刻まれた白い傷痕が薄く残るが、その傷さえも、月光の下で柔らかく見えた。アトラスの好みに合わせて選ばれた服――淡い青のドレスは、彼女の華奢な体を優しく包み、金髪と調和してまるで湖の精のように美しかった。3年間、アトラスのそばで過ごした時間は、アルファルドの心に小さな希望の欠片を植え付けていた。
アトラスは彼女のそばに立つ。黄緑色の髪が夜風に流れ、金色の瞳はアルファルドを深く見つめていた。冷静沈着な天使の心は、いつしか彼女への愛で満たされていた。使命として始まった関係は、アルファルドの小さな変化――金髪を整えられた後に照れる笑顔、ドレスの裾をそっと握る仕草、信じようと震える瞳――に心を奪われ、愛へと変わっていた。彼女の美しさを引き出すために髪を整え、服を選んだのは、アトラス自身の愛の表れだった。
「アルファルド」アトラスは静かに呼びかけた。声は落ち着いているが、内に秘めた熱が滲む。「お前はまだ、生きる価値がないと思っているのか?」
アルファルドは湖の水面を見つめ、唇を噛んだ。ドレスの裾を指でつまみながら、彼女はつぶやく。「私…わからない。母さんに言われたことしか知らなくて。誰も私を必要としないって、ずっとそう思ってきた。」彼女の声は震え、首の赤い痕を無意識に触る。「でも、アトラス…あなたは私の髪を綺麗にして、こんな服を着せて、ずっとそばにいてくれた。どうして?」
アトラスは一瞬、言葉を止めた。冷静な彼の胸に、抑えきれない感情が波打つ。彼女は愛を知らない。だが、僕の愛を伝えれば、彼女は生きる理由を見つける。 彼は一歩近づき、アルファルドの手をそっと握った。彼女の指は冷たく、驚いたように震えたが、逃げなかった。
「僕はお前を愛している」アトラスは静かに、だが力強く言った。金色の瞳は揺るぎなく、アルファルドの心を覗き込む。「お前の金髪が月光に輝くとき、お前の傷痕が強さを語るとき、僕の心はお前で満ちる。このドレスは、お前の美しさを僕が見たかったからだ。お前は、僕にとってかけがえのない存在だ。」
アルファルドの目が大きく見開かれた。愛という言葉は、彼女にとって未知の光だった。母親の冷たい手、ハサミの痛み、呪いの締め付け――それしか知らない彼女にとって、アトラスの言葉は信じがたいものだった。「愛…? 私を…? でも、私なんか…」彼女の声は途切れ、涙が頬を伝う。傷痕をなぞるように、涙が月光に光った。
アトラスは彼女の涙をそっと指で拭い、顔を近づけた。「お前は愛される価値がある。僕がそれを証明する。」彼の声は囁きに変わり、アルファルドの震える唇に、そっと自分の唇を重ねた。キスは優しく、温かく、まるで彼女の凍えた心を溶かすようだった。黄緑色の髪が金髪に触れ、月光に溶け合う。淡い青のドレスが風に揺れ、二人の姿は湖畔の夜に溶け込んだ。
その瞬間、アルファルドの胸に熱いものが広がった。生きる? 私にそんなことが…? 呪いの重圧が首を締め付けようとしたが、アトラスの唇の温もりと彼の手の温かさが、彼女を現実に引き戻した。この人は、私を愛してくれる。私を必要としてくれる。 初めて、彼女は「生きたい」と強く願った。自分を、誰かを、愛してみたいと。
突然、アルファルドの首の赤い痕が眩い光を放ち、黒い霧が彼女の体から溢れ出した。呪いの鎖が砕ける音が湖畔に響く。彼女は驚きに目を見開き、喉を押さえた。締め付けがない。呪いが消えている。「アトラス…私…!」彼女の声は震え、喜びと戸惑いが混じる。
アトラスは微笑み、彼女を抱き寄せた。「お前は自由だ。呪いは解けた。僕の愛が、お前を生かしたんだ。」彼の金色の瞳は、愛と誇りに輝いていた。アルファルドのミディアムに整えられた金髪をそっと撫で、彼女の美しさを改めて心に刻んだ。
アルファルドはアトラスの胸に顔を埋め、初めて安心して涙を流した。淡い青のドレスが彼の腕の中で揺れ、彼女は愛し方も愛され方も知らない自分を感じながら、初めて温もりに身を委ねた。アトラスのキスが、彼女に愛の意味を教え始めた。湖の水面に映る二人の影は、まるで新しい物語の始まりを告げていた。
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