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──入ってきたそれは…
アブノーマリティは自分の背丈の倍はあるだろうか
黒を基調とした服装に5本もの腕
その内の特に長い腕にはその身体がまるまる入ってしまうほどの棺が掴まれている
そして…頭部は蝶になっていた
「!!!」
そのアブノーマリティは姿形を認識したと同時、手で銃の形を作り自分へ向け 見えない何かを放つ
チンと鐘のような音が鳴った
その何かは左胸へ当たり、その部分から数匹の蝶が舞う
それと同時に
「…ぐ…っ!」
頭を抱えてしまう
(頭が……なんだこの感覚…)
不快感や嫌悪感とも違う…だが安心感でもない…まるで慈悲や情けをかけられたような例えが難しい 感覚
しかし何か良くない物だということは分かる
「…っらぁ!!」
その感覚を振り切り、そのアブノーマリティに警棒を振るう
…が、当然大した効果は無い
(クソッ!もう少しまともな武器があれば…)
そう考えつつ警棒を振るい続ける
依然効果は無いが、それでも振るい続ける
それを見たオフィサーも加勢して
来、複数人で銃撃を始めた
腹や胸、頭などに命中している
そのたび出血はしているのだが、一切倒れる気配はない
そうしているともう一度手で銃の形を作り──…
(っ!避けろ!!)
身体を全力で反らし、指先から離れる
またチンと鐘の音が響く
後ろで声がしたため、後ろへ振り返ると
「……」
先程のオフィサーがゆっくりと倒れてゆき、数匹の蝶が止まる
その表情は安らかな物で、目を閉じているその様は眠っている様だ
…だが、何となく分かる
(…死んでいる)
周りのオフィサーも明らかに動揺していた
だが、銃撃の音は止まらない
俺も警棒を振るう手を止めない
ここで鎮圧しきれなければそこの死体と同じ事になるだろう
目の前のアブノーマリティも少し傷ついているため、このまま続けていれば…
「…?」
目の前のアブノーマリティの動きが明らかに変わる
大きな棺を自身の前へ置き、開くと…無数の蝶を放ってくる
「っまず…!」
着弾時に舞う蝶に遺体に止まる蝶
これらを見た後にあの蝶に触れる気など起こらなかった
全身が蝶に包まれる
あの感覚が何度も繰り返され、意識が削られていく
(あぁ…クソ……)
じわじわと薄れゆく意識の中、彼女の事だけが思い出される
(………すまん)
そのまま意識は落ちていって……
ガシ
「……?」
首元を掴まれたかと思えば、とんでもない勢いで 後ろへ投げ飛ばされる
「???
ゲホッ…なに…が」
廊下の反対側まで飛ばされたようで、蝶の群れからも抜けることが出来た
途切れかけていた意識が徐々にハッキリとしてきて、投げ飛ばしてきた人物を視認する
蝶の中で……ハンマーを振るうその人物は真っ黒な服装をしていること以外何も分からなかった
──十数秒ほど経っただろうか
2、3回ほど地が揺れ、あのアブノーマリティの姿がなくなった時、ようやく正面を拝むことが出来た
「か…仮面?」
まず真っ先にその感想が出てきた
白に黒い点が3つの顔を模した仮面はインパクトが強かった
よく見ると服装にも同じ顔がいくつもあり、黒い服装に白い顔は先程のアブノーマリティ以上に異彩を放っていた
「……え」
「は?」
その人はようやく口を開いた…
だが、その声には聞き覚えがあり………
「……スミレ?」