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会社に来ても、朝からすごくソワソワする。

約束の日を迎え、全く気持ちが落ちつかなかった。



「いよいよ今日だね、クリスマス・イブ」



真奈はニタニタして私に言った。

良介君も一緒に3人でクリスマス・イブを過ごそうと誘われ、真奈にだけは樹さんのことを話していた。

もちろん、樹さんに誘われていなくても、2人の邪魔をするつもりはなかったけど。



「いよいよって、別に……」



「別にじゃないよ。あの超イケメンの樹さんと2人きりだよ。もう、絶対何かあるよ」



「そんなんじゃないって言ったでしょ。樹さんはね、ただ優しいんだよ。いろいろあった私を心配してくれて。私にだけじゃない……樹さんは誰にでも優しい人なんだと思う」



樹さんの優しさには、本当に救われてる。

でも、それは私への愛情じゃないこともわかってる。



「好きでもない女に、クリスマス・イブを2人で過ごそうなんて言わないよ、普通」



「もう、真奈、変なこと言わないでよ。そんなこと言ったら変に意識しちゃうじゃない。でも、本当に、樹さんは私に同情してるだけなんだ……残念だけど」



「柚葉はさ、最近いろいろあったし、樹さんと楽しみなよ。社長と樹さんは似てるけど、でも、中身は全く違う人なんだからさ」



真奈……

そうだよね、樹さんは樹さんなんだ。

双子でも、2人は全くの別人。



今日は、何もかも忘れて楽しんでもいいのかな……



「ありがとう、真奈。樹さんがどこに連れてってくれるかはわからないけど、楽しんでくるね」



「そうだよ、そうしな。柚葉が元気なら、私達も嬉しいしね」



「ありがとう。真奈は良介君とどこにいくの?」



「別に普通だよ。食事して、カラオケして、良介んち」



「そっか、楽しそうだね。良介君にもよろしくね」



「うん、伝える。さあ、早く仕事終わらせちゃお」



真奈は、相変わらず美人だな。

樹さんも、真奈になら「美人」だって言えるんだろうな。

本当に……うらやましい。



おまけに真奈は性格もいいから言うことないし、良介君は幸せだ。



もしかして、真奈、良介君にプロポーズされたりするのかな?

クリスマスイブだし、サプライズがあるかも知れない。だとしたらすごく嬉しいな……

だって、良介君は真奈のことだけを見て大切にしてくれてるから、2人が結婚したら真奈はきっと幸せになれる。



女性にとっては、それが1番幸せなこと。



私も、今日は嫌なこと全部忘れたい。

ほんのひとときでも楽しく過ごせたら……



だけど、コートにマフラーに手袋、カイロまで用意して、ちょっとハリキリ過ぎだって思われないかな?

恋人同士でもない人とのお出かけって久しぶりだからかなり戸惑う。



ふと、ガラスの向こう側にいる樹さん、そして、柊君に目がいった。

柊君は今夜、誰と過ごすんだろう?

もちろん、私にはもう……関係ないけど……

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