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_全てを諦めたように笑う彼は、見ていて苦しかった。
『だから、別れよう詩音』
『俺じゃダメなんだよ』
それだけ言って俯く彼。
あっけなく落とされる言葉。
受け入れよう、受け入れようとする耳とは裏腹に、頭は受け入れようとしない。
普通ってなんだ、おかしいってなんだ、男が男と付き合って何が悪い。
この言葉も、思っていることも、外へ発しようとするとでていかない。
喉がキューっとなって、外に出たくないと嘆いている。
「……そっか」
やっと出た言葉はそれだけ。
傍から見ればただの冷たいヤツに見えるし、聞こえるだろう。
でも心は、騒がしい。
口と言葉は震えて、目頭が熱くなって、視界が滲む。
泣きたくない、早く泣き止まなきゃ。
そう思っても、体は言うことを聞かない。
挙句の果てには嗚咽が出てきて、そこで俯いていた霧斗が顔を上げた。
目を見開いて、眉をひそめる。
ああこんな顔するんだって、別れるときに初めて見た顔。 今まで見られなかったことが少し悔しい。
「…ごめん、ごめんな」
“ごめん” 彼の口からでたのはこの言葉。
俺が欲しい言葉じゃない。
“嘘だよ” って言ってよ、“ドッキリでしたー!”って、言ってくれないかな。
「…ううん、もう大丈夫、ありがとう」
口角をあげようと頑張っても、口は歪んでひとつの雫が頬をはしる。
霧斗は手を伸ばし、俺の涙を拭おうとした。
でも拭わなかった、拭えなかった。
きっと、もう一度触れたら、取り返しのつかないことになるって分かっていたから。
まだ “恋人” いや、“友達” という空間は二人の間にはまだ残っている。
それを自分自身が壊している。
その事実に、2人は苦しんで、心の中で悶えている。
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おかえりなさい‼️
前回のお話で早くも反応をくれた方がいまして!!本当に嬉しい限りです!
ありがとうございました!😭💖
それでは次のお話で!