望む人が望んだ人と結ばれれば、どれほど幸せな世界になっていたんだろう。
僕らの恋は少し複雑で、メンバーそれぞれ愛の矛先がすれ違っている。
元貴の事が好き。若井も元貴が好き。元貴はきっと若井が好き。
それでも若井と元貴が未だ結ばれていないのは、元貴の “俺は恋しません宣言” があるからだった。
“俺は1人が好きだから恋とかしなーい”
だけど普段の行動から見て分かる。
元貴は、若井が好きなんだ。彼特有の謎プライドがあるだけで、きっと静かに若井からの告白を待っている。
だけど若井はそんな気持ち察する事なく、その宣言に気を使って片思いをしている
僕は1人蚊帳の外。
分かってたよ。でもだからこそ弱気な若井にイラッとしてしまうんだ。
僕だったら、こんな寂しい思いさせないのに。
僕だったら、何があっても守りぬけるのに。
僕だったら、一番に元貴の事を考えて幸せにするのに。
僕だったら
僕だったら_____
大森「……涼ちゃん、ちょっといい?」
藤澤「ん?ごめん、ぼーっとしてた笑」
大森「意識がどっか行っちゃってたね笑。大丈夫?」
藤澤「うん。どうした?」
大森「あのね、報告したいことがあって……」
そう言って遠くに居た若井を手招いた。
あぁ、きっとそうなんだ。
大森「俺たち、付き合うことになりました!ね、若井」
若井「うん。これからよろしくね」
藤澤「ぁ……….」
分かってたこと。ちゃんと分かってた。
だけど言葉が出なかった。
若井は元貴に告白した。
僕はそんな未来を分かっていたのに、先に元貴に想いを伝えることをしなかった
弱気なのは、僕の方だ。
藤澤「おめ…..でとう、!」
ようやく出た言葉がこれ。
拍手も100%の笑顔も、今は余裕が無い。
大森「ありがとう〜!」
若井「俺たち同棲始めたから、良かったら涼ちゃんも遊びに来てよ」
大森「いいねぇ。ちょうど挨拶した時お隣さんから頂いたお菓子あるし!」
話がどんどん進んでいって、僕は仕事終わりに2人の家へ行くことになった。
嫌がらせを疑うほど僕の心は痛めつけられ、吐きそうになって抑えた口を、感動して泣いた事にして誤魔化した。
僕はこれから2人とどう関わっていけばいいんだろう。
藤澤「お邪魔しま〜す……」
大森「いらっしゃい〜、どう?結構広いっしょ?」
藤澤「うん、素敵だね」
広い玄関で靴を脱ぎ、リビングのソファーに案内される。
若井「あ、やべ。お茶買ってきてねぇや笑」
大森「そんなことある?笑笑」
若井「ちょっと俺コンビニ行ってくる笑」
藤澤「あ、、僕行くよ、!」
若井「いやいや笑。涼ちゃんはお客さんなんだからゆっくりしてて?じゃ、行ってきます」
大森「ありがとう笑」
藤澤「あ、……」
行かないで。
今2人にしないでよ。
元貴の前では “いつもの優しい涼ちゃん” で居たい。
それなのに今までの後悔がここぞとばかりに悪魔となって頭の上に浮かび上がった。
大森「あ、お菓子ね〜、涼ちゃんが好きなラングドシャがあるよ。ほら(手渡)」
自然と彼の手に触れる。暖かい
もうダメだ。何も考えられなかった
大森「涼ちゃん、?」
藤澤「…..ご、、めん、ごめん泣」
大森「え、?」
ードサッ(押倒)ー
好評だったら続き書きます
コメント
3件
すごく続き気になります···!分かってても付き合ってるとか同棲するとか聞きたくない🥲