夏油さんも教師if(2年担当)
夏油さんがグズグズ。体調不良ではないと思う。
1、
最近、ずっと気になってた。だから、聞いたんだ。「大丈夫か?」って。けど、「大丈夫」と返ってきたから気にしていない。
けど、あいつが苦しんでいるのは確かだ。
どうしたらいいか。なんて分からない。とりあえず、硝子には知らせておこう。
そう思い、僕は軽い足取りで医務室へ向かった。
「ほう、で、私のところに来た。と。」
「うん。どうしたもんかね。」
「まぁ、あいつが言わないなら、分かんないし?」
「まぁねぇ。」
それは正論だと思う。傑が言ってくれなきゃ分からない。
「様子見して、ヤバいなら無理矢理きく感じでいいんじゃないか?」
「賛成。」
「じゃ、それで。」
それで会話を終われせ、任務へ向かった。
2、
任務から帰ると、真希たち2年が走り寄って来た。
モテモテじゃぁんとか思いながら、なにかと聞いてみると、聞いてビックリ。
なんと、授業中に倒れたとか⁉︎
きいた時は、腰が抜ける勢いだったよ。
で、今は医務室へ向かっている。なんか、数時間前に通ったなあw
ガラガラガラ
「お!、五条来たか!」
「傑は?大丈夫?」
「一応安定してきたが、様子見だな。」
「そう」
とりあえず一安心だ。
「ま、ここに居られても困るし、帰すけど、心配なら一緒に居てやれ」
そりゃいるけどさ、普通帰さないだろ。と思ったが、口には出さない。
「ん、任せて~」
3、
夏油side
「ん、」
目が覚めると、白い天井が見えた。
ここどこだ?そう考えながら、記憶を辿っていると、聞き慣れた声がした。
「お、起きたか。」
「しょ、こ?」
「五条が心配してたぞ。」
「マ、ジか…」
後で、謝っておくか。
「てかお前、溜めすぎだ。」
「そうかい?」
とは言ったものの、自覚はしていた。
「とにかく、休め。」
「はは、そうさせて貰うよ。」
と言い残し、医務室を後にする。硝子曰く、医務室にいても邪魔だから帰れだと言うことだそうだ。
悟がいなくて少しばかり寂しいと思ったのは、なんだったのだろう。
4、
五条side
「ふぅ」
と午後の任務を終わらせた五条は息をついた。
そして、LINEの通知が来ていることに気がつく。「夏油が帰った」その内容に喜びを覚える。ささっと帰ろう。その思いで伊地知をすこーーーーーし脅して東名高速160kmで走らせた。
高専に着くや否や、傑の部屋へ向かう。
コンコン
『はい』
傑の声がして、ドアが開く。
「悟?」
「大丈夫〜?」
なるべく、傷付けないように、優しく聞いた。笑ったつもりでいるけど、実際、目は笑ってなかったかもしれない。
「入ってい?」
「まあ、いいけど。」
そして、入れて貰った。ちょっと、問い詰める必要があるねぇ。
5、
夏油side
今、私は正座をさせられている。しかも、大の親友の目の前で。
「で、なんで傑くんは僕に嘘を付いたのかなぁ?」
ニコニコと笑っているように見えて、目は笑っていない。
「いや、それは、今は忙しい時期だし、こんな少しの理由で休んでられないかなって、」
「はぁ、で?」
いつもより少し低い声で言われた。
「で、ってそれだけ、だけど。」
悟の笑っているようで笑っていない顔、いつもより少し低い声、強めの言葉その全てに傷付いてしまう。
「ふーん。」
「……真希とか、2年、心配してたよ。特に棘とか、大焦りだったよ笑」
「そ、ぅか。」
自分でも声が掠れているのが分かる。
ああ、これダメだ。
「傑?泣く?」
「いいよ?」
いつもなら、そんな直球に言うもんじゃない。というところだが、今はその言葉が嬉しくて、
涙は止まらない。
「う、ふっ…ぐす」
「大丈夫、大丈夫。」
悟の声に安心する。
いつも優しいが、より一層優しい声で言われ、溢れている涙が止まらなくなる。
「さと、ッ」
「ん、ここに居るよ。」
「やっ、ぐす」
「やだぁ?」
ああ、困らせてる。早く、止めないと。
「ごめ、」
「焦んなくていいよ~?」
6、
五条side
ある程度落ち着いて来た傑を寝かせ、夜の任務へ向かう。
早く終わらせて帰らないと、悲しくなるかもしれない。
ドドドド
「終わったかな。」
ビュン
一刻も早く帰る為に、瞬間移動して帰る。伊地知には連絡すればいいよね。
傑の部屋の前に着くと、ドアを開ける。
奥から声が聞こえた。
「…うぅ゛~」
「!傑…!」
ガチャと音を立てて扉を開き、閉めずに傑のところへ行く。
「んっ、はッ…かひゅ、ふ、んぅ」
「傑!傑!」
「聞こえるか?」
「さと、はひゅ、…ぐす」
「大丈夫、ここに居るよ。」
「僕に息合わせて、」
「すーはーすーはー」
「すーはッすぅは、」
「ん、そうそう上手。」
7、
夏油side
「落ち着いた?」
「あぁ、すまない。」
「別に〜?」
迷惑じゃないかな。とか思ったのも束の間、
「別に迷惑とかないから。」
ああ、見過ごされてる。
が、その言葉に安心した。
「傑、とりあえず寝とけ。」
「情緒安定しないし、寝てた方が楽だろ。」
「…」
「傑?」
悟が首を傾げる。
返事をしないと、悟が、私の前から消えてしまう前に、早く。
「っ、?」
「傑、?ど~した?」
気が付けば頬は濡れていた。
「ごめっ、」
「怒ってないから。」
「何があったのか説明できる?」という悟に、一緒に居て欲しいことを伝えようか迷ったが、これ以上悟を困らせない為に言ってみることにした。
「え、と」
「うん。」
「寝ても、側に居てくれる?」
「!、うん。いいよ。」
「居てあげる。」
否定されたらどうしようなどと考えていた為か、悟にそう言われたと同時に止まった涙がまた溢れてきた。
「えぇ!?ちょちょちょ、へ!?」
「僕なんかした⁉︎」
「ふるふる、ちが、」
「なぁに?」
「ありが、とう」
「!、こちらこそ。」
数日後、夏油の情緒が安定して、2年ズに説教を食らったのはまた別の話。