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あなたのいちばん

1 - あなたのいちばん

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2023年02月26日

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【必ずキャプションをお読みください】


✳こちらstxxx様のnmmn作品です


✳cpは桃赤。地雷苦手等自衛お願いします


✳タグを必ずご覧になってください


上記が守れる方のみ!














「あのね、さとちゃん」



カウントダウン配信を終え、メンシプでの二次会を終えてほろ酔いな彼がやっと全部の配信を終えたのは午前の三時くらい、だったと思う。

誕生日おめでとうって、一番に言いたかったのに。ツイートでもなくて、会って、一番最初に、言葉で伝えたかった。


それなのにさとみったら0時の瞬間にカメラなんてつけてるものだから、おれが出ていける訳もなくて。

隣の部屋にいるのにただスマホから流れる彼の声を聞いて過したさとみくんの三十歳最初の日。




話は冒頭に戻って、完全に配信を切ったことを確認してから彼の作業部屋に向かった。


ノックもしないで扉を開けると、幸せそうにスマホを見つめる彼。

のそのそと歩いて、綺麗にセットされた髪が崩れるくらい勢い良くその首に飛びついた。


「ぅお!?」


「お誕生日、おめでと」


ぽつりとぼやく。

面食らってぽかんとする彼がくすっと笑ったのに、おれは気付かない。



「…ありがと、配信長くなってごめん」




「ほんとは、一番に言いたかった」


「…それもごめん、」



よしよしと髪を梳くように撫でられると悔しくて、優しくて、暖かくて、じんわり目尻が熱くなる。

今年はリスナーさんに一番、取られちゃったけど。おれだって気持ちは負けてないし。



「…おれが、一番さとちゃんのことすき」


「んふ、おれの一番もりいぬ」







「あのね、さとちゃん」

「プレゼント、」


そっと、彼の瞼に手を添えた。それから覆い被せるように触れた彼の手が、きゅっと握られる。


「持ってくるから、目、つむってて。」




─────




そろりと退いたりいぬの手を少しだけ握って、部屋から出ていくのを見届けてから目を瞑る。


『一番がよかった』

『さとちゃんのことすき』

『プレゼント持ってくるから』


りいぬの声が何回も頭の中で反復して、その度に愛されてるな、幸せだなって笑みが溢れる。

好きで堪らなくて独り占めしたくて、でもおれが触ると壊してしまいそう。アイツは強がりなくせに人一倍繊細だから。


自分でも思うくらい気まぐれなおれが、いつか無意識にりいぬを傷付けてしまわないかが最近の悩みだ。情けない。 




ほろ酔いな上に長いこと目を瞑って、なんだか眠たくなってきてしまった。


背もたれに持たれながらそんな事をぼんやり考えていると、ガチャっと扉が開いて一番求めていた声が聞こえる。



「さとちゃん、まだ、開けちゃダメだよ」


「ん、りいぬどこ?」


ここ、って手を握ってくれて、手探りでりいぬの腰を引き寄せる。

バランスを崩してこちらに倒れてきたのをしっかり受け止めてギュッと抱き締めた。


「プレゼント、これかな〜」


なんて揶揄ってやるとバカって怒る声が聞こえて、顔が赤くなってるりいぬの顔が思い浮かぶ。


「もう、」


くるっと椅子を半回転させられて、りいぬに背を向ける。

それからゴソゴソと何かを取り出す音が小さく響いて、


「首、触るよ?」


伸びた襟足を持ち上げられると、優しい手つきで首に何かを回された。

これって、多分。



「ねえりいぬ、見てもいい?」


「んーん、まだだめ」


「おれ、分かったよ」



しっかりクラスプが繋がったことを確認して、りいぬの手にそっと自分の手を添える。


「ねえ、」


そっと佩びられたネックレスの揺れた飾りがキラリと光る。


「…去年はピアスだったでしょ?それでさとちゃん、この前指輪くれたから、何がいいかな、ってかんがえて、…」


段々語尾が弱々しくなって、泣きそうな鼻声に変わっていって。


振り向いてりいぬの顔を見つめると、今にも泣きそうで真っ赤な顔をした顔と目が合う。


「なんで涙目なの」


「…っ、」




「だって、…」


「ごめん、一番じゃなかったの、なんかすごい悔しくて。でもしょうがないし、ただのワガママだし、…」


じんわり頬に滲んだ涙が控えめに顎まで伝う。親指の腹で拭うと、りいぬは目を細める。


「ごめん、来年はさ、絶対一番に祝って」


「…うん、」



膝の上にりいぬを乗せると、パラパラとりいぬのサラサラの髪が重力に従って落ちる。

それを耳元に掻きあげてその延長で耳を擽ると縋るように頬をなすった。



「ん、」



慎ましく、頬にキスを落とされた。 

お返しに、おれは首元に顔を埋めて鎖骨に吸い付く。



「あ、ばか、」


「それ…」



今度はダメって言おうとした口を塞ぐ。

真っ赤で蕩けた顔が艶めかしい雰囲気を漂わせていた。



「──ベッドでいいよね?りいぬ」


「……う、ん。…やさしくしてよ、」


「分かってる、」





 

 

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