「…負けちまったな。」
「……おう。」
春高予選決勝、青葉城西高校敗退。
何度見ただろうか。どれほど望んだであろうか。
その丘にはどんな景色があるのだろうか。
1度も見れなかった頂の景色、その向こうの景色はどれほど繊細なのだろうか
「…もっとコートに立ちたかったな。」
「…おう。」
「「…」」
「…あ”ー!!!やめだやめ!!考えたって仕方ねぇ!」
「……そうだね。さっさと帰ろうか。」
「おーい!1年!荷物もったかー?」
「「「はい!!」」」
「よしっ!じゃ、行くか。」
「お、そうだ。お前らに伝え忘れたことがある!」
「?なんかあったけ連絡」
「いや、これは俺個人の伝言?的な。」
「金田一さんなんかあるんすか?」
「おう。」
「……??マジで何??」
「俺からはそれだけだよ。ありがとうな。」
「…ッッ」
「おいおい泣くなよー笑目擦ったら赤くなるぞー?」
「ズッ…グズッ…俺達こそ」
「ありがとうございます。」
「…」
「よし!ネット片付けて帰るぞ!今日はゆっくり休んで明日からも頑張れよ!」
「はい!!!」
「……」
「あ、公園よろ?」
「?別にいいけど」
「……負けたね」
「…おう。」
「最後のさ神業速攻。1年前より明らかに早いよね。」
「な!すげぇ早かった。」
「あれ取れたお前すげぇよ、、」
「結局外れちまったけどな。」
「それは結果論だろ。」
「まぁな。」
「……青葉城西がさ、烏野みたいに言われんのすげぇ悔しかった。」
「烏野には悪ぃけどな。」
「…それに。先輩がいないとすげぇ苦しいこともわかった。」
「…うん。」
「青葉城西が好き。」
「……俺も、青葉城西が好き。もちろんバレー部も好き」
「及川さん達が残していったものも好き。」
「……ねぇ金田一。」
「なんだよ。」
「泣くなら。先輩が来ない間にね。」
「……おうグズッ」
俺らには空を飛ぶ羽は無い。特別に守りがある訳でもない。すげぇパワーがある奴がいる訳でもない。
だからこそ、大地に芽吹く芽だからこそ飛ぶことに憧れる。
そして根強く育ち空をも超える木となり花となり大地を制すだろう。
コートを制す。
彼らは若き挑戦者だ。
彼らはまだ芽が出て間もない木だ。だからこそ
そんな木だからこそ、根強い力を発揮するだろう。
青葉城西高校 主将:金田一勇太郎 副主将:国見英 引退。
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