テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
STARTの前に、ヒロアカ夢小説のタグで2位なれました!
それと相澤消太のタグで1位!
ありがとうございます!
ではSTART→
静まり返った廊下に、重い足音が微かに響く。
日陰輝は、昨日よりもさらに深く腰を曲げ、周囲の視線を物理的に遮断するようにして教室の扉を開けた。
昨夜、浴室で凍りつかせた心は、今や分厚い氷壁となって彼を外界から切り離している。
鏡の前で入念に整えた前髪は、もはや「目隠し」の域に達していた。
右目の青も、左目のピンクも、そして鼻筋にかかる伊達眼鏡の輪郭さえも、漆黒の毛束の向こう側に沈んでいる。
彼が席に着くと、登校していたクラスメイトたちの間に、目に見えるほどの「壁」が生じた。
昨日の戦闘訓練。麗日の首元に模擬刀を突きつけ、冷酷な言葉を吐いたあの姿。
そして、オールマイトさえも射抜いたあの殺気。 生徒たちの間には、
腫れ物に触れるような気まずさと、得体の知れない恐怖が澱のように溜まっていた。
切島 「(、、お、はよう、、って言える空気じゃねぇな、、)」
上鳴 「(、、昨日のはマジでビビったよな。あいつ、本当に同じクラスメイトかよ、、)」
誰一人として、彼に近寄ろうとする者はいない。輝はそれを望んでいた。
机に深く突っ伏し、腕の中に顔を埋める。 自分だけが、光の届かない海の底に沈んでいるような。
その孤独だけが、今の彼にとっては唯一の安寧だった。
午前8時30分。教室の扉が勢いよく開き、相澤消太が姿を現した。
相澤の視線は一瞬、最後列で微動だにしない輝の背中に止まったが、すぐに教壇へと向けられた。
相澤 「おはよう。ホームルームを始める。昨日の戦闘訓練、お疲れ様。
ビデオや成績に目を通したが、、爆豪、お前はもうガキみたいな真似はやめろ。能力あるんだから、」
爆豪 「、、わぁってる。」
相澤 「緑谷もだ。右腕を壊して解決する癖をつけていれば、いつか立ち行かなくなる。
個性を使うことと、個性に振り回されることは別だ。」
緑谷 「は、はい、、」
相澤 「そして、最後に。日陰」
名前を呼ばれた瞬間、輝の肩が微かに跳ねた。
彼は顔を上げず、腕の中に埋まったまま、じっと次の言葉を待つ。
相澤 「、、お前の『ヴィラン役』としての立ち回りは、状況判断において合理的だった。
だが、演習の目的を履修しろ。相手を屈服させることと、恐怖で支配することは同義ではない。以上だ」
輝 「、、うす、」
消え入るような、けれど冷たく乾燥した声が返る。 相澤はそれ以上追及せず、プリントの束を叩いた。
相澤 「、、さて、今日のヒーロー基礎学だが。俺とオールマイト、
そしてもう一人の3人体制で、ある場所へ向かう。水難事故、土砂災害、火災、
あらゆる事故や災害を想定した演習施設『ウソの災害や事故ルーム』、、通称『USJ』だ」
湧き立つ教室。レスキュー演習という新たな課題に、生徒たちの顔にようやく活気が戻る。
だが、輝だけは、膝の上で震える右腕を左手で強く押さえつけていた。
人助け。レスキュー。 人を殺め、傷つけることでしか己を保てなかった自分にとって、
それは最も対極にある、吐き気がするほど眩しい言葉だった。
午後の日差しが差し込む中、A組の生徒たちはバスに乗り込んだ。
車内は遠足のような賑やかさを見せていたが、その空気感から完全に断絶された一角があった。
一番前の座席。 相澤は、自分のすぐ隣の席に輝を座らせた。
生徒たちの間では「最後だったし奇数だから先生が横にいるんだな」程度の認識だったが、
実際は、輝の心拍数や不穏な動きを物理的に監視するためだった。
相澤は無言で、窓の外を眺める輝の横顔を視界の隅に入れている。
輝は、流れていく景色を、感情の抜け落ちた瞳で見つめていた。
蛙吹 「ねぇ、日陰ちゃん。私、思ったことは何でも言っちゃうのだけど」
突然の問いかけに、輝はピクリと眉を動かした。
蛙吹 「あなた、昨日の訓練の時、凄く怖かったわ。でも、
個性の説明をしていなかったわね。あれは身体強化系なの? それとも、、」
バス内の視線が、一気に輝へと集まる。
誰もが、この不気味な長身の少年が隠し持っている「力」の正体を知りたがっていた。
彼が「無個性」であることも、「犯罪者」として更生プログラムの真っ只中にいることも、
相澤と一部の教師、そしてホークス、公安以外には知らされていない極秘事項だ。
輝 「、、、別に、、ただの、、、え、っと、」
言葉を濁し、再び窓の方を向く。前髪が揺れ、隠されたオッドアイが夕陽を反射して不気味に光る。
相澤 「、、質問攻めはやめておけ。こいつは、自分の手の内を明かすのが嫌いな性分だ。
合理的にな。到着まで体力を温存しろ」
相澤の助け舟とも取れる遮断により、生徒たちは再び自分たちの会話へと戻っていった。
輝は、隣に座る相澤の存在を、巨大な壁のように感じていた。
監視されている。疑われている。縛られている。
けれど、先ほど頭をぐちゃぐちゃに撫で回された時の、
あの不器用な熱が、まだ髪の奥に残っているような錯覚に陥る。
輝 「(、、、USJ、、人助け、か。、、笑わせんなよ、、俺に、何ができるって言うんだ、、)」
自分だけが、平和行きのバスに間違えて乗り込んでしまった迷子のような。
自分だけが、真っ白なキャンバスにこぼされた、拭い去れない墨汁の一滴のような。
バスが目的地へと近づくにつれ、輝の心はさらに深く、冷たい深淵へと沈み込んでいった。
USJ。そこが、本当の意味での「修羅場」に変わることを、今の彼はまだ知らない。
2376文字。
NEXT→100♡
コメント
5件
ヴィラン側に行かないよね?? 今回もほんっっと最高だった!
今回もめっちゃよかったわぁ、、 え、ちょ、死柄木や脳無との色々めっちゃ気になるんだけど、、 続き待ってる! あとなんかよくわからんけど、♡333にした。なんでだろ、?
1コメ!? 今回も良かったよ!続き楽しみにしとるねー! あと100いいねにしといたけど、ルナのペースで無理せずに投稿してよー?