テラーノベル
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初めて聞いた言葉は
自分の死を望むものだった
死ね、役立たず、ごみ、疫病神、
他になんて呼ばれたかは忘れた とりあえずこの4つの言葉はよく言われた
暴言を吐かれた
暴力を振るわれた
欲のはけ口に使われた
カラダを知らない人に売ってカネを稼いだ
最初は泣いて、嫌がって、許しを乞うた
けどそんなものは通用しなかった
神とやらに救いを願ったこともあった
けどこの人生を与えたのも神であり恨む対象は神
だから
その神とやらの存在は俺の中から消した
だから諦めた
けど痛いものは痛いし生きていくためには食べていかないといけない
だから顔色をうかがって、言う事聞いて、空気を読んで
そうすると何も言われなかったし殴られたりする回数も減った
これが俺に与えられた人生だと思っていた
けどその人生が大きく変わる出来事が起きた
その日は雨が降っていた
外は暗くジメジメとして空気全体が覆われているようだった
俺はその空気が嫌いじゃなかった むしろ太陽が輝き明るい世界は自分のいる世界とは違うような気がして好きではなかった
少し気が楽だった日だった
けどそれは大きな物音と同時に崩れた
部屋として与えられていた物置部屋で過ごしていると父以外の声が聞こえてきた
何かと気になりそっと戸を開け様子をのぞいた
親はその人たちに頭を床につけて謝っていた
「お金は待ってください も、もう少しで渡せますから」
「その言葉は何回聞けばいいんだぁ?お情けかけてやってんのにまだかけろと?」
「じゃじゃあ!」
父はばっと顔を上げ俺のいる部屋に向かってのたうつように歩きがらっと戸を開け俺を引っ張り出した
「こいつでどうにか!何でもするように躾け」
この言葉の続きを聞くことはできなかった
横を見ると胸は赤く染まり目は焦点が合っておらず口からは赤いものが流れていた
何が起こったのか分からなかった
すると父は赤くなった目をぎゅるりと向けてこちらを憎悪を隠そうともせず
「おまえのせいだ、!おまえのせいで!」
その言葉も続きが聞けなかった
パンッ!と乾いた大きな音がなってさっきより赤くなっていく父をただ呆然と見るしかなかった
「おいガキぃ」
ビクッと肩を揺らし声が聞こえた方をみると全身黒い服を着て暗い色したメガネをかけた男の人が立っていた
「てめぇの親は借金全部返してねぇんだよ だからてめぇが変わりに払え」
「おかね、ない…です」
「知るか 稼げ」
「ど、どうしたらいいの…ですか」
「さぁな 媚び売って自分でも売りゃあいいだろ」
媚を売ると言う言葉は俺には理解できなかったが自分を売るということは知っていた
けど売る相手は毎回父が決めていたので俺はその相手をどう探すのか分からなかった
だから
「じゃあおにいさん おれをかいませんか」
「あ?」
「おれなんでもします いうことぜんぶききます」
「なんでもか、じゃあてめぇ俺の犬になれ」
目の前の人は挑発的に笑って俺がどう出るかをみているようだった
「なります おにいさんのいぬになります」
「言ったな 俺は裏切りを絶対に許さねぇからな」
「はい」
はっきりと表情が分からなかったけどその人の口が笑っていたことは分かった
そしてこうして俺は真澄さんの犬になった
目の前に血だらけの男がいる
こいつは組織の重要データを敵組織に渡そうとしていた
『金が必要だった』
『脅されていた』
『挽回の機会を与えてほしい』
俺に言っても仕方のないことをべらべらと話した
別に俺はこんなやつどうでもよかった
けど真澄さんは殺せといった
だから拷問して情報吐かせて用済みになったから殺した
幾度なく経験したことなので特になんとも思わない
「終わったみてぇだな」
後ろから真澄さんの声が聞こえた
「ん けどちょっと痛めつけたらすぐ吐いたしつまんなかった」
「うるせぇ文句言うな 今度居たら回してやる」
「やった!真澄さん大好き」
「あ?こういう時だけか?」
「そんなわけないじゃん ずぅーと好きだよ」
「信用ならねぇ 後始末終えたら俺の部屋に来い」
「ん〜明日じゃだめ?」
すると真澄さんは俺の襟をぐっと掴んで前に引っ張った
「てめぇの立場忘れたのか?てめぇは俺の犬だろ」
こういう時の真澄さんは有無を言わさない圧があってもっと好きだ
なんてことを言ったら今すぐにでも食べられちゃいそうだから言わない
「じゃあどう返事するか分かってんなぁ?」
もちろん返事は
「わん♡」
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