カリカリカリ…バキッ
カリカリカリ…カリカリカリ
「あ゛ぁ゛ーーーー!!」
「どうしたヘディング。鉛筆なんぞ折って。」
時は同じくして羽星市某ボロアパート。
売れない小説家の大男2人が小さな机を挟んで向き合って己の作品と向き合っていた。
「何も思いつかんのじゃ。このままいるとランボー、お主に頭突きをかましてしまいそうじゃ。」
ヘディングと呼ばれた男が堂々と声を張って話す。するとそれを聞いていたランボーは焦って
「待つんだヘディング!落ち着くんだ、己の心に負けるんじゃぁない!」
じりじりと迫ってくるヘディングから距離をとり、部屋の鍵を手に取ったかと思うとそのままドアを開ける。
「昨日からぶっ通し頑張ったんだ。少し休もう。」
そういうと二人は商店街に向かった。
商店街の入口にある本屋に自分達が出版した本が置いてあるのだがそれが売れたかの確認をついでにしに行くつもりだ。
「おい、あやつ学生なのにまぁまぁいいガタイをしているぞ。服の着方もわしらと似ている!はっはっはっ」
不思議な制服の着こなしをした学生をみつけ、それをよく見ると手に本を持っている。
「お、おいヘディング、、アイツの持っている本を見ろ…」
「なんと、、」
その学生が手に持っている本『若者と海』『筋肉椅子』。それはこのふたりが描いた書籍だ。まさか買った人を目の前で見れるなんて、夢にも思っていなかったふたりはフリーズをする。
「時にランボーよ。あやつは医者をめざしているそうだが、役に立つ事を書いたか?」
「いいや、書いていない。」
その学生の手には医学に関する本が沢山。何故自分たちの本を持っているのかは知らないが、言葉に言い表せないような感情になる。
「決めたぞ、俺が次に手掛ける作品を…!」
そう声に出すと来た道を引き返し元きた道を戻っていく。
ヘディングはその後ろ姿を追いながら自分に似ている雰囲気の人がランボー以外にもいたことに喜びを感じていた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!