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ちょこましゅまろ
3,449
薄暗い部屋。
軋むベッドの上、縛られた手首にわずかな熱が滲む。
アーサーはアルを睨みつけながら、かすれた声で言った。
「……なあアル、お前……本気で思ってんのか? こんなもん、愛じゃねぇって、わかってんだろ」
アルは静かに首を横に振った。
「違う。これは、俺の全部だ。
……君が、俺に向けてくれないなら――だったら、奪うしかないだろ」
「バカか……」
アーサーが吐き捨てると同時に、アルの指先がそっと頬に触れた。
「バカでも、君を手に入れられるならそれでいい。
アーサー……俺、ずっと、君に触れたかったんだ」
その囁きと共に、唇が落ちた。
柔らかく、けれど逃がさないように深く、まるで祈るように重ねられる口づけ。
「っ……、おい……やめ……」
抵抗しようとしたが、手首は布に縛られ、体も言うことをきかない。
アルの指が首筋をなぞり、耳の後ろを撫でる。
その仕草一つひとつに、妙な熱が走った。
「……な、何して……んだよ……っ」
アーサーの声がかすれる。
それをアルは、愛しそうに受け止めるように笑った。
「ねえ、気づいてるだろ? 君の体が、俺に触れられて震えてる。
俺のこと、怖いって言いながら――感じてるんだぞ、アーサー」
「黙れ……っ!」
顔を背けようとするが、顎をすくい上げられて、再び唇を奪われる。
今度は、深い。
舌が絡む。奥をなぞられる。
逃げ場のない熱が、じわじわと胸の奥に染み込んでいく。
アルの手が、シャツの裾から這い上がる。
指先が肌に触れ、アーサーの呼吸が浅くなる。
「や……めろ……」
「無理だよ。もう止まらない。君を手に入れたくて、ずっと……ずっと、こうしたくてたまらなかったんだぞ」
唇を、首筋を、鎖骨を辿るように落ちるキス。
まるで、失くさないための刻印のように。
「アーサー……全部、俺にちょうだい。
君の心も、体も、言葉も、全部……俺だけのものになってほしいんだぞ」
その言葉に、アーサーはぎり、と奥歯を噛み締めた。
「……クソが。……お前なんかに……」
でも、言い切れなかった。
否定の言葉の先が、喉の奥で絡まって出てこない。
熱が、ゆっくりと全身に広がっていく。
まるで、アルという存在に侵食されていくようだった。
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