テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
―ここはどこだろう
水の中を漂っているような感覚。
とても心地よくて、このまま眠ってしまいそう……
__『あれ、起こしちゃったかな』
誰かの声で目が覚めた。
声の主を探そうと起き上がると、すぐそこに1人の少女がいた。
肩ほどの長さでふわふわとした淡い色の金髪、白いワンピースで儚げがあり、海月を彷彿とさせるような美しさを纏っていた。
『…どうかした?』
_いけない、見惚れていた。
軽く会釈をし、ここはどこだろうと思い辺りを見渡したが普段見るようなものはどこにもない。
代わりに、小さい魚や海藻、珊瑚などがあった。
どうやらここは海の中のようだ。
この状況に驚いたのがわかったのか、彼女はくすりと笑い、
『君のことはこの辺で見かけたことがなかったから、心配になって。』
『もしかして人間さんかな?』
と言ってきた。
疑問に思うことが多すぎて何から言えばいいのか分からなかったが、その後少し会話をした。
その会話でわかったことはまず、彼女は人間について調べることが好きだということ、私はおそらく海に落ちてきたということ、そして彼女は、海月だということだった。
「私は、何故人間なのに海の中で呼吸ができるの?」
『うーん、そこまで詳しくは分からないなぁ。』
『今日は帰る場所がないだろうから、私の家においでよ。私が力になれることがあったら言ってね。』
と、見ず知らずの私を快く迎え入れてくれた。
その後も、私には海のいろんなことを教えてくれた。
『私たち海月には、人間さんみたいにそれぞれの名前がないんだ。だから、好きなように呼んでもらって構わないよ。』
『人間について調べるのが趣味とは言ったけど、取って食べたりはしないから安心してね。』
海の中は人間が住む世界とはかけ離れていて、いつも静かで、とても落ち着く空間が広がっていた。
私は地上で特に仲の良い友達などはおらず、常に1人で、生きることを楽しいと思っていなかった。
それでも海の中に来てからは、海月の彼女のおかげもあってとても生きやすかった。
その彼女も海月たちの中では孤立していたようで、似た者同士で惹かれあっていたのかもしれない。
海の中での生活が始まって数週間たっても、相変わらず彼女は私の世話をしてくれている。
私からも彼女からも、まだ人間の世界へ戻るという話は一度もしていなかった。
人間の世界で生きるのが苦しかった私にとって、彼女は女神のように眩しく、昔よりずっと生きるのが楽しくなっていった。
その頃、私の心には変化があった。
彼女にとっての特別が私であること、彼女が幸せに生きていくうえで私は必要であることを認識するととても嬉しくなるのだ。
私たちは何をするにも、どこへ行くにも一緒で、もうお互いがいないと生きていけないと思うほどだった。
そして私たちは就寝前に、
人間さん/海月さん は、ずっと私と一緒にいてね
と、話すことだった。
この時は、充実した生活で、しあわせな生活をおくることができていた。
____________________
続きます。
next⇨3月22日or3月29日 0:00