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地雷持ちの方、nmmn耐性のない方はここで回れ右。
「」→北斗
『』→慎太郎
北斗 side
ライブ終わりの、ホテルへの帰り道。
色々と都合で他のメンバーより帰りが遅くなってしまった俺は、会場を出て足早にタクシーに乗り込む。
すると、ドアを閉めかけたところで見慣れた人影がこちらに走ってくる。
息を切らしながら車に乗り込んできたのは、紛れもない、慎太郎だった。
『北斗、まだホテル戻ってなかったんだ』
『どうせなら乗せてよ!ちゃんと割り勘にするからさ!』
「びっくりしたー、誰かと思えば慎太郎か」
タオルで汗を拭いながら無邪気にお願いしてくる慎太郎に、笑顔で俺は頷く。
そのままタクシーはゆっくりと動き出す。
ーーー数分後。不意に、静かな車内に、いつもより少し低いトーンの声が響いた。
『ちょっと、ルート変更してもらえます?』
「は、急に何言ってんの、慎太郎」
「どう考えてもこれが最短距離じゃん」
『ごめん、ちょっとコンビニ寄りたくて』
いつもの乾いた笑い。だが、さっきの発言や話し方と繋げて考えるにはどこか不自然だ。
しかも、コンビニは今のルートでも寄れるのに…。
慎太郎が提示した少し遠回りなルートを一瞥してから、今度は慎太郎を見て眉を寄せる。
(ライブ直後に多重事故起きるとかまじ勘弁、)
(北斗も乗ってるんだし、ルート変えないとドンピシャの時間で巻き込まれるな)
確かに聞こえた、慎太郎の心の声。
でも、なんでそんな事予測出来るんだよ。俺みたいに変な能力持ってるわけじゃあるまいし。
…待てよ。もし、慎太郎がそれを俺と同じように隠していたとしたら、
そんな事を考えていると、慎太郎に肩をとん、と叩かれる。
『どしたの、北斗』
『さっきからすっごい表情で俺のこと見てるけど』
『顔になんかついてた?』
我に返って、どこか自分でもぎこちないと感じるほどに不自然な笑みを返す。
「あ、いや、別に」
「それより運転手さん、慎太郎の言ったルートで行けそうなら、そっちでお願いします」
さりげなくそう言うと、運転手の頷きと共にナビの表示とは違う方向に車が進む。
横に座る慎太郎をチラリと見れば、俺が見ていることに気づいてないのか、どこか安心した表情してる。
そのまま、何事もなくホテルに到着した俺と慎太郎。
少し遠くで、救急車のサイレンの音が聞こえる。
俺は、恐怖と安堵、そして慎太郎に対する1つの確信を胸にホテルのエントランスへと足を踏み入れた。
ーーーあいつ、俺と同じだ。
ただの人間じゃない。