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「敦、仕事だ」
「あ、はい!」
太宰さんが探偵社を裏切りポートマフィア幹部の座へ戻って早一ヶ月と少し。裏の世界では太宰さんが裏に帰還したと話題が持ち切りらしい。
其れからは仕事を全体的に減らして皆で太宰さんを探していた。太宰さんが探偵社を裏切っても、探偵社は太宰さんを裏切らない。
「でも、何故受ける仕事を減らしているのに乱歩さんは九州に出張してしまったんですか?」
「何でも、乱歩さんが一度事件を解決した事の有る場所での殺人事件らしくてな…其時の刑事が乱歩さんでないと解決は無理だと泣き付いて来たのだ」
「そうなんですか…」
敦の疑問に応えたのは国木田であった。
昨日から探偵社の名探偵、江戸川乱歩と其のサポートに谷崎が九州へ行ってしまっている。
谷崎曰く移動時間も考えると早くても明後日にしか帰って来られない、だそうだ。
「其れより今は任務だ。最近此のヨコハマにガラクタの武器を流通させている組織が有る。其の組織が唯一動く時間、24時に奴等の現場を取り抑える。」
「はい!」
そして24時少し前。敦と国木田さんが見た光景は、敦達には目もくれず組織を壊滅させていく太宰達だった。
此の時だけは敦も芥川に目は行かなかった。逆はそうでもないのだが、太宰さんに止められているので。
恐らく太宰さんの計画通りに動いているであろう芥川と中也が流れる様に無駄な動き無く組織の人間を隅々まで殺していく。
国木田が一人でも生け捕りにすべく走り出したが其れも太宰の計画の内なのだろう。国木田の手が届く前に其の人は重力によって潰れたり背後から心臓を貫かれたりした。
組織の殲滅が完全完了した時に太宰は初めて敦達を視界に入れて如何にも「今初めて認識しましたぁ笑」と云う感じの笑顔を浮かべた。
「あれぇ?国木田君と敦君じゃないか。随分と遅かったね?」
「だ、ざい…さん…」
「んー?何だい?」
「一歩遅かったか…」
敦は絶望していた。こんなの、こんな太宰さんを説得なんて出来るのか?と。下手を打てばポートマフィアの禍狗と幹部との乱闘。そうなれば敦と国木田に勝ち目は無いだろう。
だが国木田はそうでも無い様だ。
「じゃあな、頭脳の片方が居なく無った探偵社」
「………」
「またね〜」
そう言って太宰達は敦達に背を向け夜の闇に去る。
だが其れをぶち破ったのは矢張り太宰。
「あ、忘れる処だった!」
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