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「ここを出れば助かるぞ!」
「…静かにして。バレちゃう。」
ヒューゴの背中をバシッとミリーが叩く。2人は今、敵から逃げている途中だ。
村の森を抜けて小道を走っていると…ミリーが急に止まる。
「あ…。」
「…?どうした?早く行くぞ!」
突然、目の前で爆破する。火花が舞い、熱風が体中を包んだ。
「うわああああああ!び、びっくりした!もう少し進んでたら死んでた…。」
「敵がいるから。あそこの木に。」
「えっ…?」
ミリーが指差す方を見ると、木の枝に乗っている女性がいた。その女性は、オレンジ色のポニーテイルをした女性だった。
「爆弾持ってるぞ…アイツが投げたのか。」
「うん。」
「でも…爆弾ってかっけぇ…!俺も使ってみたいなぁ!」
「……は?」
そうこうしているうちに木から女性が降りて来た。ひょいっと軽やかに降りると、そのまま私達を見下ろした。
「あ〜!やっぱり、外しちゃったよねぇー。もうもう!今日は、ホントついてないよぉ〜。」
女性は、めそめそと悔しそうにしていた。
「…それは置いといて、まじょちゃん!今から、ウチらのところに来てくれない?お菓子あげるから!!」
「…いや。」
「えぇ〜!なんで!?まじょってお菓子とか好きじゃないのかなぁ〜!じゃあ、動物とか?」
「いかないよ、私は。」
鋭い目でミリーは彼女を見つめる。そして、彼女の水色の瞳の色がギラリと変わる。
「…じゃあ、無理矢理連れて行くねぇ!」
「ちょっと待て!何故、お前達はミリーを連れて行こうとするんだ!?」
頬をリスのように彼女は膨らませ、少し考えた。
「…まじょとまほうつかいの血と肉って価値があるの。それはなんでだと思う?」
彼女は、ゆっくりとミリーに近づく。そして、ミリーの腕をスーッと指でなぞって顔を見つめる。
「…まじょとまほうつかいの肉を食べると不老と魔力が簡単に得られるの。だから、私達は片っ端から世界の魔法使い達を美味しく食べてきた。」
「でも、未だに…………」
「お前の話はもういい!」
「俺達は、逃げる。遠くにな。」
「逃げるぞ、ミリー!」
「うん…。」
女性の横を2人は通り、走った。
(…やば!怒られる怒られる!)
「しょうねんくんから先に消すねぇ!」
小型爆弾が次々に投げられる。砂埃が舞い、火花が舞う。
「ゲホゲホッ!……あれ?ゴーゴーは?」
煙で見えなくなり、ヒューゴを見失ってしまった。聞こえるのは、ミリーを呼ぶ声だけだった。
煙が消えて、見えるようになった。目を開けたら、ヒューゴが目の前にいた。
「おい、ミリーから離れろ!」
言われるまで気がつかなかった。ミリーは、後ろからあの女性に首を絞められていた。身動きが取れず、視界が暗くなってくる。
「案外、簡単だったぁ〜!でも、しょうねんくんなんで生きてるの?まぁ、いいかぁ!」
「お前…!」
「あっ、近づいて来ないでねぇ。近づいたら、まじょちゃん殺すから!今は、大人しくなるように首絞めてるだけだけどねぇ。」
(…まだ…死ねない。死んじゃあダメだ。)
ミリーは口を開けて、彼女の腕を噛んだ。
「いたあああ!」
「私は、ここで死ねない。貴方達のところにも行かない!」
「腕痛いし〜…やっぱり、殺しておけば良かったかも!!」
彼女は、背中の大きいリュックサックの中からさっきよりも大きい爆弾を取り出した。
「これでどっちも死ぬはず。じゃあねぇ〜!」
ミリーは、息を吸う。そして、両手を組み願う。
(お願い、私達を守って!)
失敗するかもしれない、でもやってみなくちゃ。そう、治癒魔法が使えた時を思い出す。
ババンッ!!!
煙が舞い、ゆっくり目を開ける。
ミリーの防御魔法が爆弾を防いだのだ。ミリーは、成功したことに笑みを溢した。
「おお、やったな!!」
「今のうちに逃げる。」
スタスタと歩いて、森の先を目指す。
「ケホケホッ!流石に、爆弾大きいから煙の量もヤバいよぉ〜。」
「…!?いない!?なんでよぉ!!」
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足が棒になるまで歩き続けて、遂に足が絡まり2人同時に倒れてしまった。
「あはははは!!!」
「急に何…?」
「いやぁ、なんか楽しかったかも!ミリーの魔法やっぱり凄いし!」
「…別に。」
「でも、これからどうするんだ?今日はもう遅いとして、どこか泊まれる宿でもあったらいいんだけどなぁ〜!」
「あれは?」
ミリーが指差す方向には、小さな古びた宿屋があった。
「なんかホラーっぽくないか…俺そういうの…。」
「何、置いてくよ。」
ミリーそそくさと宿屋に向かい、ヒューゴも後を追いかけた。
ギィィィ
重い扉を開けると、明らかに今営業してなさそうな雰囲気だった。
「えっと、誰かいる?」
「上にいるんじゃないか?…ほら、声聞こえるし。」
「え?聞こえる?」
「ミリー、聞こえないのか!?じゃあその声は……。」
「嘘。聞こえる。」
「なぁんだよ!俺、本当にそういうの無理だからな!」
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「えぇ、そうなんですよ。だから、会ったときはお願いします。それと…」
「捕まえたら、捕まえたらですよ?…貴方のお好きな金額で良いでしょう。大金を差し上げます。」
「悪くない話ですよねぇ?」
「分かった。……客が来たからもう切るぞ。」
「了解致しました。それでは…。」
老人は、受話器を切る。