弦月「先に着替えてくる?」
ヒナタ「はい」
弦月「うん、まってるね」
ヒナタ「はい…」
ヒナタside
楽しかった
から
もう迷惑はかけられない…
服を着替えながら昨日の出来事を振り返る
助けてもらったの、はじめてだったなぁ
今まで助けてくれようとした人は、みんな結局襲ってきたし…
夜ご飯おいしかったなぁ
甲斐田さん…やさしかっ
ヒナタ「!」
いつの間にか涙がこぼれる
ヒナタ(やば、泣きすぎだろ…)
ヒナタ「フー….よし」
ヒナタ「すみません、おまたせしました」
みんながこっちを見て一瞬顔をしかめたような気がした
弦月「よし、ご飯食べよ!」
長尾「朝に作ったから冷めてるのもあるからな」
甲斐田「大丈夫大丈夫!きっと冷めてても美味しいよ!いただきます!」
ヒナタ「いただきます…」
弦月「どうぞ!召し上がれ!」
甲斐田「ごちそうさまでした!」
ヒナタ「ごちそうさまでした」
弦月「どうも!お粗末さまです!」
長尾「美味かったかぁ?」
ヒナタ「おいしかったですっ」
長尾「なぁらよかった」
ヒナタ「あ、片付けます!」
そう言って立とうとすると、台所に立つ弦月と甲斐田が2人揃ってあれあれと長尾を指す
長尾「ひーなーたー?」
長尾「客は…?」
ヒナタ「あはっ、こう、ですか?」
長尾「そう!やれば出来るじゃねぇか!」
寝転がる長尾の隣でさらに寝転がる
ただそれだけなのに頭をクシャッと撫でられ嬉しくなる
長尾「…なぁヒナタ」
ヒナタ「はい…?」
長尾「もう帰んのか?」
ヒナタ「あ、はい…もうご迷惑おかけできないので…」
長尾「…」
ヒナタ「あと…」
長尾「?」
ヒナタ「これ以上楽しかったら、日常に戻るのが辛くなっちゃうので」
あ、今、上手く笑えてなかったかもしれない
長尾「…ハルはもう少しいてほしいみてぇだけどな」
ヒナタ「…そう、ですか」
長尾「もう少しいてもいいんじゃね?」
ヒナタ「…」
甲斐田「なーに話してんの?」
いつの間にかお皿を洗い終わった2人がひょっこりと顔を覗かせる
ヒナタ「あ…」
長尾「ヒナタを口説いてる」
弦月「あらぁ〜」
ヒナタ「えっ」
長尾「もう少しここにいてくんねぇかなぁって」
甲斐田「…」
弦月「それはみんな思ってるよね?」
弦月「ヒナタくんいたら楽しいし、ねぇハルくん?」
甲斐田「うん、出来れば居て欲しい…」
ヒナタ「でも、もう、迷惑かけられない…です」
弦月「でも…」
甲斐田「僕達は、君を助けたい…」
ヒナタ「…すみません」
弦月「あっ!」
甲斐田「ヒナタくん!」
長尾「…」
だめかぁなんて聞こえてくる長尾の声を無視して家を飛び出す
これでよかった、楽しかった!
それでいい…
ガクッ
ヒナタ「ぁ…?」
ヒナタ(立てない…?足が…がくつく…お腹の奥、熱…なん..)
ヒナタ「!」
ヒナタ(抑制剤…!昨日から飲んでない…やばい、手が、震えて…鞄、あれ、ない…)
??「大丈夫…?」
ヒナタ「!」
甲斐田side
長尾「なーあー、追いかけた方が良かったんじゃね?」
甲斐田「追いかけても、あそこまで意思固かったら意味ないだろ」
弦月「そういえば、2人はなんで一緒に寝てたの?」
長尾「あーそうだ」
甲斐田「あー…夜中に作業してたら、1階から足音聞こえて、なんか、慌ててる感じの音だったから見に行ったら、廊下で嗚咽しながらうずくまるヒナタくんがいて…」
弦月「え…?」
甲斐田「上手く吐けないっぽくて、苦しそうだったから無理やり吐かせて、片付けしようとしたら行かないでって」
長尾「おん」
甲斐田「部屋に戻ろうとしたんだけど一緒にいて欲しかったみたいだから、布団持ってきて一緒に寝てた」
長尾「あんなに熱く抱きしめながら?笑」
甲斐田「うるせっ笑」
弦月「…相当なトラウマ、か、」
甲斐田「え、?」
弦月「吐くほど嫌なことがあったってことでしょ?聞いてないの?」
甲斐田「いや、あんな状況じゃ聞けないっていうか…」
弦月「そっか…」
長尾「大丈夫かねぇ」
弦月「ご飯の前も泣いてたみたいだし…」
甲斐田「…部屋の布団片付けてくる」
弦月「あっ僕も手伝うよ!」
甲斐田「ありがとう」
長尾「いてらー」
ヒラヒラと手を振る長尾をリビングに置いて彼の使っていた部屋に向かう
甲斐田「はーっ布団最高…」
弦月「片付けるんじゃなかったの?」
甲斐田「片付けるよーっと」
弦月「あれ?」
甲斐田「ん?」
弦月「これ、ハルくんの?」
弦月の手には抑制剤が握られている、瓶の中はかなり満杯で最近病院から貰ったばかりのように見える
甲斐田「いや、僕のは自分の部屋に、てか、」
弦月「これ、Sub用…」
甲斐田「!!」
バンッ!!
長尾「うぉ、どした?」
甲斐田「ヒナタくん探してくる」
長尾「何だ急に、寂しくなったのk」
甲斐田「あの子、抑制剤飲んでない」
長尾「は」
甲斐田「昨日の夜も、今日の朝も、昼も…!」
甲斐田「なんで気づかなかったんだろう!!」
長尾「まてまて、もうまぁまぁ時間経ってるし、近くにはいないだろ」
甲斐田「それでも…!なんかあったら嫌だ!」
長尾「嫌だって、お前…」
弦月「僕も行く!」
長尾「はー…わぁったよ!俺も行きゃぁいいんだろ!」
3人でバタバタと家を出る
全員違う道を走る
甲斐田「ヒナタくーん!!」
甲斐田(意志の固さとか、関係なかった…!)
甲斐田(僕が…僕たちが保護してあげなきゃダメだったんだ…)
こっち側の道は大方探した
あとは2人と合流するか…
甲斐田『2人とも、そっちはいた?』
2人に念話を繋ぐ
弦月『こっちはいない!ケイくんは!?』
長尾『いた』
甲斐田・弦月『!』
弦月『大丈夫なの!?』
長尾『ハルの家まで連れてくから、家で待っててくれ』
甲斐田『…わかった』
弦月『…』
つづきます
コメント
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ひとつの漫画を読んでる気分 さいこうすぎる
ヒナタくん…!