ヒナタside
ヒナタ(抑制剤…!昨日から飲んでない…やばい、手が、震えて…鞄、あれ、ない…)
??「大丈夫…?」
ヒナタ「!」
ヒナタ「かい…!」
モブ「…」
ヒナタ(甲斐田さんじゃ、ない、あ…)
ヒナタ「昨日、の…」
モブ「んふ、めっちゃラッキーだなぁ」
ヒナタ(おわった、いや、これがいつも通りか)
モブ「「Come(来い)」」
ヒナタ「っ…」
ヒナタ(…)
逆らうことは出来ない
また、か…
ちょうど良かった、抑制剤飲んでなかったし、うん、ちょうど、よかった…
そのまま意識を手放していた
どれくらい時間が経っただろう
辺りはまだ明るく、30分経たないくらいだろうか
さっきまでいたDomはいなくなっていて、はだけたドロドロの服を着直す
ヒナタ「はは…」
ヒナタ(これで、いつも通り、)
グレアのおかげで身体が強ばって震えてはいるが、欲は薄くなっている
ヒナタ(…帰ろ…あ、抑制剤…は、また貰えばいいか…)
フラフラとアスファルトを見ながら帰路につく
ヒナタ「はは…」
意味もなく乾いた笑いが口からこぼれる
ヒナタ「あは…はは….ッ!」
人にぶつかった、自分が前見て歩かないから
ヒナタ「すみません」
そう言いながら避けようとすると両肩を掴まれる
ヒナタ(あー…またか、今日はついてないな…)
そう思いながら顔を上げると、何故か見慣れた顔の見たことない表情があった
ヒナタ「ながおさ…」
長尾「ッ…」
ヒナタ「…..あ、あはっ、また襲われちゃいました!今から帰るところで、あ、さっきは急に飛び出してしまってすみません!また、後日お礼…」
長尾「笑うな…」
かっこいい隊服とは裏腹に華奢な身体に急に抱きしめられた
笑うなの意味がわからなかった
ここで笑わなくてどうすればいいんだろう
もう、過ぎたことだし、これが日常なんだから
なにも考える必要は無いのに
抱きしめてくるその身体は少しだけ震えているような気がした
ヒナタ「あ…あの…?」
長尾「…いくぞ」
ヒナタ「え、どこに?」
長尾「ハルの家」
ヒナタ「え、いや、大丈夫です、僕、自分の家に…っ」
長尾「…」
ヒナタ「あの、本当に大丈夫なので…離しっ」
長尾「「来い」」
ヒナタ「ヒュッ…は…ぇ…?」
ヒナタ(Domだ、Subってバレて…)
手を引かれ、足が勝手に長尾に着いていく
ヒナタ(こんな使い方…)
ヒナタ「ずるい…っ」
長尾「ごめんな、えらいぞ、」
ヒナタ「ハッ…ハッ…」
ヒナタ(やばい、グレアに当てられて…意識が…)
ドサッ
長尾「あ、おい!」
そのまま意識を失ってしまった
長尾のコマンドはそこら辺のおじさんより優しく感じた
甲斐田side
長尾から念話が来なくなり弦月と2人、不安に満ちて家で待つ
ガラガラッ
甲斐田「!」
弦月「帰ってきた!」
弦月「おかえr…」
バタバタと玄関に走ると、苦しそうな顔をする長尾と力なく抱かれているヒナタが目に入る
弦月「えっ…」
甲斐田「なに、どういう…」
長尾「大丈夫、気絶してるだけだ」
甲斐田「は…」
長尾「すまねぇ、コマンド使っちまった」
甲斐田「は?」
長尾「…」
バシッ!!
弦月「ちょ、ハルくん!!」
甲斐田「何やってんだよお前」
長尾「あぁ…」
甲斐田「同意もなしにコマンド使っていいわけねぇだろ!!」
長尾「あぁ、ごめん…」
甲斐田「ごめんで済むならいいけど!最悪の場合死ぬんだぞ!?」
弦月「やめて…!」
甲斐田(違う、危険に晒したのはこっちだ、長尾は追いかけなくていいのかって言ってた、僕が追いかけてれば…)
長尾「ごめんなぁ…ッ」
いつも強気で、おちゃらけた最年長が目の前で涙を流していた。
長尾「ごめん…これしか、出来なかった…」
弦月「ケイく…」
長尾「あんな顔、人が死ぬのを見るのより辛かっ…」
甲斐田「ごめん…..ごめ…ッ」
玄関で3人で泣いた
しばらく泣いた後に弦月が動き出して、着替えと蒸しタオルを用意してくれた
とりあえず中に入り、ヒナタの身体を拭く
身体は細くいくつも痣が見える、殴られた跡やおそらくキスマークなど、あと今朝までなかった
首を絞めたような痣
甲斐田「苦しかったよな…ごめん、助けられなくて…」
服も着替えさせ、今朝まで彼と寝ていた部屋に寝かせる
リビングに戻ると長尾が右頬を冷やしている
長尾「お、大丈夫だったか?」
甲斐田「…傷、増えてた」
長尾「そか…」
甲斐田「ごめん、殴って…」
長尾「いーってことよ」
弦月「でも、同意のないコマンドは使ったらだめだよ!!」
長尾「もうしねーよ… 」
甲斐田「….どういう状況で見つけたの?」
長尾「あー…もう、全部終わったあとで、フラフラ歩いてる所を見つけて…」
弦月「…」
長尾「なんか、ゾンビみたいで、目は死んでるし、俺とぶつかっても、何も感じてないっていうか…顔見た瞬間その目で笑いかけてきて…」
長尾「やば、ごめん…」
そう言いながら目元を隠す
甲斐田「うん、わかった、大丈夫」
弦月は長尾の背中をさすっている
長尾「はーっ…てか、俺いたら怖がると思うから帰るわ」
弦月「や…」
ヒナタ「大丈夫ですよ」
つづきます
コメント
2件
あああ!!泣きそう……なんなら泣いてる
ヒナタくん…泣長尾ぉ…泣…最高です…泣