単独任務9日目(昼)
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次の日、目が覚めるともう隣のベットにライネの姿は無かった。いつもはレイナの方が早起きな為、珍しいなと思いつつ、朝の準備をして休憩室に入る。
部屋にはカイクとライネがいて、もう朝食は済ませたのか、ゆっくりコーヒを飲んでいた。
「おはよう」
「あ、ウィン。おはよう。今日は珍しく遅かったね」
「え?」
そういえば起きた時から時間を見ていなかったとスマホを取り出し今何時かと確認すると、いつもより30分ほど遅かった。
「気づいてなかった感じ?」
「うん」
「まぁ、昨日あんなもの見ちゃったんだし、精神的には疲れてたんじゃないか?」
「そうだね」
あまり食欲も無かったため、朝食はとらずにレイナもコーヒーを淹れて飲み始める。
「昨日のアレ、なんだったんだろうな?」
「やっぱり、本物と奥さんのじゃない?」
「まぁ、そうなんだろうな…」
「一応写真はあるけど…」
そう言ってスマホを取り出す。
「ちょっとソレしまおうか。朝から見るもんじゃない」
何となく軽いデジャヴを感じつつも、スマホをしまう。
その後も暫く沈黙が続く。ふと、カイクがもう冷めたコーヒーを持ちながらポツリと言った。
「なぁ、もうこの調査止めにしないか?」
「はぁ?何言ってんの?」
カイクの言ったことに、ライネが口元に運んでいたコーヒーのカップを乱暴に机に置いて言う。
「俺たちが頼まれたのは、市長が偽物かどうかだけだった。もう今の市長が偽物なのは確定してるんだろ?ならそれを伝えればいいじゃんか」
「何言ってるの?今の偽物の正体が何者かを調べてまでが仕事でしょ!?」
ライネが口調を荒らげる。
「ライネも今まで調べてきて何となく感じてたろ?この屋敷では普通じゃないことが起こってる。そもそも、こんな今の主人が本物かどうか調べてくれって依頼が来ることからもう普通じゃない。本来、こういうのは俺たちみたいな便利屋じゃなくて、探偵や警察の仕事だ」
「その警察に頼れるくらいの証拠とか確証とかがないから、私らに依頼が来たんでしょ!?」
会話に入る隙がなく、レイナが少しオロオロしているのも気にせず、2人は口論を続ける。
「それなら!もうあそこに死体がある!それを出せば、警察は調べてくれるよ!」
「警察に行っても、駄目だから私たちの所に「だから!こんなの俺達がやるべき事じゃ「じゃあなに!?このまま明らかに殺人だったり人身売買だったり絡んでるであろうものを見捨てろって「あぁそうだよ!」
段々お互い掴みかかりそうな勢いになってきた所で、レイナの耳にこの部屋へと向かってくる足音が聞こえてきた。
「静かに!ヒト来るから一旦落ち着いて」
思っていたよりも大きい声が出て少し驚きながらも、続ける。
「喧嘩するならもう少し静かに。話の内容が外に聞こえたらどうするの?」
「…」
「…」
2人はまだイラついたような顔をしながらも椅子に座り直したところで、キヨが部屋の中に入ってきた。
「失礼します。今日の仕事内容ですが…」
いつもとは明らかに違う部屋の空気に気づいたのだろう。心配そうに言った。
「あの、何かありましたか?」
『大丈夫です』
「…あ、気にしないでください」
2人の声がハモる。
レイナが少し気まずそうに言うと、何かを察したのか、キヨは仕事内容だけ言うと、そそくさと部屋から出て行った。
「…」
また少し部屋に沈黙が流れると、ポツリとカイクが言う。
「そういう事だから。俺はもうやめにした方がいいと思うよ」
「勝手に辞めれば?」
「俺だけやめたら不自然だろ?」
「じゃあ続ければ?私は辞めるつもりは無いよ」
「…」
その後も先程のようにお互い掴みかかりそうな勢いにはならなかったものの、静かだがピリピリとした口論は仕事が始まる時間まで続いた。
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今日の仕事はレイナとライネは花の買い出し、カイクは廊下の掃除だった。
今レイナは、ライネと一緒に花を買いに行く道中だが、ずっと先程の口論に対する愚痴を聞かされている。
「…それでさ、カイクはいっつもあんな感じで。自分に危険が及びそうになったら、すぐに逃げ出そうとするの」
「ヘー」
「マジで有り得ないよね。受けた仕事は最後までやらないと」
「ウンウンソウダネー」
途中で真剣に聴くのが面倒くさくなり、適当に相槌を打っている。
「って、ちゃんと聞いてる?」
「キイテルヨー」
「…」
ジトっとした目でこちらをジーッと見てくる。適当は良くなかったようだ。
「ごめん。一応ちゃんと聞いてる」
「ふーん…それでさぁ…」
そのままずっと花屋に着いてからも愚痴られ続けた。
「ほんっと、いつからあんな感じになっちゃったんだろ…昔はもっと、危険を顧みずに飛び込んでたのに」
「昔って?」
「うん。私とカイクっていわゆる、幼馴染?みたいな感じでさ、言ってたってけ?」
「言われたような気もするし、言われてないような気もする」
「何それ。まぁ、それで、ちょっと重い話になるんだけどさ、小さい頃、私とカイクは人身売買とかやってる組織的な所で会ってさ」
「へぇ…」
「そいつら、人身売買以外にも色々やっててさ、私の両親はそいつらに殺されて、私は商品にされちゃって…両親が殺されそうになった時、警察に連絡しても、私がまだちっちゃい子供だったから、イタズラ電話みたいに思われたのかな?信じて貰えなくて…」
いきなり重…
そう思いながらも、表情や口には出さずに聞き続ける。
「カイクの方は親がそいつらに騙されて借金させれられて、お金が払えないからって、売られたらしくて」
「うん」
「お互いそんな事があって売られたり誘拐されたりで会った場所が一緒で、そこから仲良くなって、一緒に逃げて、雇ってくれるところがなかったから、便利屋をやり始めて…」
「大変だったんだね…」
「うん。それで、なんとなく今回ので、売られただとかがあったり、あの死体が私の両親に重なって見えたのかな…今日の夜もあの時の事が夢に出てきて、全く寝れなくて…」
「…」
レイナには親が居ない。居たとしても記憶が無い為分からないが、ライネの両親はとても良い親だったのだろうなと、少し泣きそうなライネを見て思った。
「それで、なんか色々と感情がごちゃごちゃになってたのかな?珍しくカイクと喧嘩しちゃったなぁ。カイク、怒ってるだろうな」
「大丈夫だと思うよ」
何が大丈夫なのかがよく分からないまま、口が勝手に喋っていた。
その後も、ライネを慰めながら屋敷に到着し、買ってきた花を生ける。それが終わり、休憩室に戻って少し休んでいると、部屋の扉が開いた。
ライネは先程トイレに行ったので、恐らくカイクだろうなと思いながら、入り口の方を見ると、少し気まずそうな顔をしたカイクがいる。
「どした?」
「えっと…ライネが今どこにいるかわかる?」
「ライネならトイレ行ってるよ」
レイナがそう言うと、カイクは少し肩の力を抜き、椅子に座った。
「んで、何か訊きたいこととかあるんでしょ 」
「!」
カイクが少し驚いたようにこちらを見ている。十中八九、ライネがまだ怒っているかとか訊かれるだろう。
「ライネって、まだ怒ってる?」
正解だった。
あまりにドンピシャ過ぎで、気持ちよさを感じる。
「怒ってはないよ。でも、話すのはもう少し時間を置いて、今日探索する時に謝ればいいと思う」
先程まで話していたライネの様子を思い浮かべながら言う。あの様子じゃ、今話しても泣いてしまう可能性があるだろう。
「分かった」
レイナは密かに、スマホでボイスレコーダーをオンにしながら、話を続ける。
「こっちからも聞いていい?」
「何?」
「この依頼を辞めるって言った理由。詳しく」
「…分かった」
そう言うと、カイクは依頼を辞めようとした理由を話し始めた。
「俺達が昔、人「その話はライネから聞いた」
「…分かった」
また人身売買のところから話されても長くなるだけなので、そこは遮る。
「簡単に言うと、ライネが両親が死んだ時の事を思い出して、苦しむのが嫌だ」
「…」
「多分、もっと調べていけば、さらに人身売買やら殺人やらに関わっていくと思う。あの死体の写真、もう1回出してみて」
そう言われ、昨日撮った写真を出す。一応録音続けているが、バレていないようだ。
「ここ、拡大して」
カイクに言われたところを拡大すると、夫婦に死体に下に、子供の死体も見えた。
「…気づかなかった」
「この死体、多分居なくなったって言われてる娘さんじゃないかな?それで、何となくライネがその娘さんと自分を重ねちゃうんじゃないかなと…」
「つまり、カイクはライネが心配で、この依頼を辞めようとしたわけね?」
この言い方は否定されるかなと思いつつも、言う。
「うん。それに、このままこの依頼に関わり過ぎて今の偽物にバレたら、もしかしたらライネが殺される可能性だってある」
「…」
否定するどころか、大真面目に言っているカイクを見て、思わず心の中でお前らもう付き合えよと叫びたくなる。
「そっか、多分もうすぐでライネ戻って来るかと思うし、カイクはそろそろ行った方いいんじゃない?」
レイナは録音を止めると言った。
「分かった 」
カイクが出ていって少しすると、ライネが部屋に入ってきた。
「それじゃ、仕事再開しよ」
少しいつもの感じに戻ったライネを見ながら、レイナは少しホッとした。
「そうだね」
仕事に戻りながらも、今日の夜仲直りが無理そうだったら、さっき録音した音声を流そうと、レイナは心に決めた。
どうも。暫くおばあちゃん家行ってました。
ふと新札の話になったんですが、その時おばあちゃんが結構ヤバいの出してきましてね、
それがこの写真なんですけど↓↓↓
百円札とか聖徳太子の五千円札やら1万円札やら初めて見た主は、大興奮して写真に取らせて頂きました。
なんかやばいこととかあったら教えてください。写真消しますんで。
それでは、さよなら〜( ᐙ)/