テラーノベル
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こうしている間に迎えた五限目のロングホームルーム。 私と鈴木くんは前に立ち、進行を始める。
「十月末には文化祭があります。二年生は模擬店を開くと決まりました。何をやりますか?」
私がそう呼びかけるけど、クラスメイトはこちらを見ることもせず、話すか俯いている。
「あ、あのー。今日中に出し物を決めないといけなくてー」
少し大きな声で話すけど、誰もこちらを見ようともしない。目が合うと、意見を聞かれるから俯いているのは分かるけど、まるで私が居ないような反応を返されるのはやはり、どこか辛い。横に居る鈴木くんを見るも、明らかに目を逸らして何も発言をしようとしない。
どうして? 私達、同じ委員長だよね?
協力してくれないの?
不意にそう思うけど、普通の人は心を読むことなど出来ない。だから、そう思っても無駄だったと思い直す。
[めんどくせー]
[ダルイ]
[全部、委員長がやってくんねーかな?]
私のは聞いてくれないのに、一方に聞こえてくる声。
どうして。どうしてなの?
キリキリキリ。
また、胃が痛くなってきた。
ううん。学校に来ると決めたのだから。
「あ、あの。意見ないならこの中から選んでもらえませんか? 私考えてきたので」
そう言いながら黒板に書き始める。
フランクフルト、たこ焼き、焼きそばなど、食中毒を避ける為に加熱料理するものを提案するけど、皆知らない顔。他に案はないかを聞くけど、やはりこちらを見ようともしない。
「じゃあ、この中から多数決を取ります。いいですか?」
無理矢理進行し、一つずつ聞いていくけど手を上げるのは少人数のみ。
どうしよう。これで決定とかして良いのかな?
私はどうして良いのかが分からず黙り込んでしまうと、そこに来たのは横で話を聞いていた先生。話し合いに参加するようにと口を挟んでくれた。
「えー。もう委員長が適当にやってよ」
その一言に、賛同する声が集まる。
「あ、でも。私達は、二年代表でその日は別の仕事が……」
口籠る私に先生が、「話し合いの段階では退屈だが、やれば楽しくなるだろうから。委員長任せにしないで、考えろよー」っと空気が悪くならないように上手く入ってくれる。だけど。
「文化祭は自由参加ですよね?」
そう、言い返されてしまった。
確かにそれは正論で、先生はこれ以上何も言えなくなってしまう。
「私らがやらなくても、他のクラスがやるしー。やりたい人だけでいいんじゃないの?」
その意見が、まとまろうとしていた。その時。
「うるせーな、お前ら! 文句言うなら参加するなよ! その代わり文化祭も欠席しろよ! 何もしないのに楽しみだけ味わうとか、ガキみたいなこと言わないよな?」
長谷川くんの尖った声はクラス中を包み、騒がしかった教室が一気に静まり返った。
「焼きそばに一票! 俺は何の係が回ってこようと文句言わねーから、あとは勝手に決めろよ!」
そう言ったかと思えば、机に突っ伏してしまう。
どうやら寝るようだ。
[は? 何あれ!]
[こいつ、マジで何様なの?]
[ウザイ。消えてくれないかな]
聞こえてくる酷い言葉達。
私に向けてではないのに、チクチクと刺さっていく。
長谷川くんが力を持ってなくて良かった。
心からそう思った。
「あ……。えっと。もう一度、聞きます。他にやりたいことはありませんか?」
その問いに返事はなく結局多数決を取り、出し物は焼きそばをすると決まった。
当日、二年生代表の仕事がある委員長の私と、何でも良いと言い張っていた長谷川くん。
それに「私と仲が良いから手伝ってあげなよ」というクラスの声から、南ちゃんと絵美ちゃんも前日の買い出し係となった。
塞ぎたい声を聞き流して、なんとか迎えた放課後。
眠っていた長谷川くんを起こして買い出し係になったと伝えたけど、それに対して何も言わずに帰り支度をして鞄を渡してきた姿に、相変わらずマイペースだと感心してしまう。
あれ?
私は思わず、彼の顔を覗き込んでしまうと。
「帰るぞ!」
そう語気を強めて、ズンズンと先を歩いてしまう。
今日は異様に速く、付いていくのに必死だった。
「あのね!」
「……あ? 何だよ?」
「ありがとう」
思わず、またその言葉が出ていた。
でも今日は、後ろめたさはない。
助けてくれて、ありがとう。
私の真っ直ぐな気持ちだから。
「は? お前の為じゃねーし。このまま話がまとまらなくて居残りとかになったら最悪だからよ!」
「うん。でも、お礼が言いたいの。ありがとう」
「……勝手に言ってろ!」
「うん」
私は頷き、より速く動く小幅に合わせて走るのだった。
#先生
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