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nanana
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あの後俺は何を言われたかも
どうやって家に戻ったのかも覚えていない
ただ
俺の悔しいという気持ちだけが
深く深く頭と胸に刻み込まれた。
でも一つ不思議なことに
俺の作ったあのハート型のお守りが消えていた
手に握りしめていたあのお守りが
もしかしたら看護師さんが届けてくれたのかもしれない。
…あの時俺は何を伝えようとしたのか
随分と前のことで覚えていない
もう21年も前のことだ
でも、確かあの後も彼の姿は見れなかった。
悲しかったけど、お父さんは奇跡的に回復して今は元気に朝のラジオ体操に参加している
お母さんもたまに一緒に行っているらしい
どこまでも仲の良い両親だな。
そういう俺は今は一人暮らしをしており
歌手として少し活動してはいるが
普通のサラリーマンとして働いている
今でもたまに思い出す
はやとくんのことを
今どうしているのかもわからないけど
元気に過ごしてくれてるといいな
思い出すたびそう思う
また会えたらどれだけいいか、
でもドラマのように運命なんて起きやしない
赤い糸も見えないし
そう甘くない現実の中で俺は
なんのために生きているのか。
たまにわからなくなる
けど、どこかで俺はきっと
彼に会うまで死ねないと思っているのかもしれない。
そうぼけーっとしながら帰り道を歩いて
なんやかんやで今日も家に帰ってこれた
重たい体を動かして
鍵を開けて倒れ込むように入る
鍵を閉めて大きなため息を吐く
「はぁ…」
これだけで少しだけ気持ちが楽になった
そんな気がする
そうであってほしいという俺の願望かな。
はは、笑えないな
靴箱についている鏡を見ると
ひどい顔をしている俺が写っていた
ほうれい線にまっくろなくま
こんな顔になってるのに会社側は何も言わない
ワンチャンってかブラック企業に入った系だな、これは。
玄関で寝てしまうこともそうない話でもない
なんならそれがほとんどというほどだ
俺疲れてるのかな
自分でもわからないほど疲れているのかもしれない
それすらももうわからなくなっていた
…考えるのもめんどくさいな
気付けば靴箱に頭を預けて俺は瞼を閉じていた
「おきにいりのばしょがあってね」
「おきにいりのばしょ?」
「おれにあいにきたくなったらそこにおいでよ!」
「うん!」
「そのおきにいりのばしょはね」
「…さくらのきのした」
気付けばそう口ずさんでいた。
無意識…というか口が覚えてたというか。
なんとも言えない気持ちになる
ゆっくりと目を開けると
玄関の眩しい光が目に差し込む
目が徐々に光に慣れてくると
俺はようやく立ち上がってその勢いのまま
お風呂を温め直す
桜の木下か。
…ふらっと行ってみるのもいいかもしれないな、
仕事休んじゃおうか明日
それで、久々に実家に帰ろう
顔出せてなかったし最近
いい機会だもんな
それで桜の木を探そう
もしかしたらだけど
そこにはやとくんがいるかもしれないから
いなくても
いなくてもいいから
彼のお気に入りの場所を一目見たい、
子どもの頃のことで霞んだ記憶だけど
あの時の彼はすごく楽しそうだった
ほんとにそこに行けば会えると思ってたのかな
そうだったらいいな。
とソファーで考えているとお風呂があったまったので
体を起こして風呂場へ向かう
最近考え事ばっかしては
時間があっという間に過ぎるな。
今日は早く寝よう。
フォロワー様210↑ありがとうございます。
嬉しすぎて風邪治せそうです。
それではまた。
コメント
5件
続き楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ
続き見た過ぎて発狂してる
うわあ、この切なさ……。過去の「お気に入りの場所」という約束が、現在の疲れ切った日常にふと差し込んでくる感じ、すごく響きました。 「彼に会うまで♡♡♡ない」と思いながらも、「いなくてもいいから一目見たい」って気持ち、なんとも言えない距離感と執着のバランスがリアルです。ハート型のお守りが消えてたのも気になるな……。 久々に桜の木の下を探しに行くぞ、という最後の展開、読んでる側も一緒に息を吸い込む感じがしました。続きが気になります。あじさい。さん、素敵なエピソードをありがとうございます!