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質素な角材のテーブルには長椅子が二つしかないので、私と安浦は近くにある安物の簡易ベットに腰掛け、力なくお茶を啜った。
4人ともひどく疲れていた。それと、私は疲労感だけ残っているが体はなんともない。
私はお茶を啜り、
「渡部は大丈夫なのかな? 病院って、まともな人たちがいるのかな? そして、角田も?」
誰にともなく言うと、
「それは大丈夫よ。病院は何も危険がなかったの。私も超能力的直観があるから解るの」
霧画が優しく答えてくれる。恐らく、その能力は呉林よりも高いのだろう。
「それより、二人は付き合っているの?」
霧画が唐突に私と安浦に聞いてきた。
「はい。ご主人様と二人で頑張っています」
呉林は少し首を垂れたが、すぐに上を向いて「負けないぞ!」と大声を発した。
私はそれを聞いて頬が赤くなった。
「そう言えば赤羽さんはまだ働いているの?」
ひらりと霧画が呉林と安浦の間に割って入り、別の質問へと変えた。
「ええ。そうですが、何か?」
「何度も言うようだけど、あまり無理をしないで、この世界でも疲労や怪我は怖いわよ。それと、赤羽さんの会社……何か変な感じがするのよね。危険って訳じゃないけど」
私は田戸葉が自分は正社員ではなく、社正員ですと言っていたのを思い出す。
「確かに……。何かは解らないけれど、可笑しいですね。前は5年間も働いていたエコールという会社だったんですが、突然セレスという会社になっていて。後、谷川さんがいない……。どうなってしまったのかな」
私はふと、谷川さんのことを心配した。
霧画は空になったお茶をテーブルに置くと、
「うーん。それもこのねじ曲がった現実の影響かもしれないわ。でも、お金は本物だから、危険がないと思うし頑張ってもいいと思うわ。勿論、そのお金で南米に行けるし、消えてしまったりはしないわ。それと、その田戸葉っていう人、目元はどう?」
私は即座に、
「大丈夫でした。暗くなっていません」
安浦が急に立ち上がった。その拍子に安物のベットが激しくバウンドし、お茶がこぼれる。
「あちち!」
私は顔をしかめる。
「みんな食事にしましょう!」
「って、4人分の食材がなじゃないか。カップラーメンかコンビニ弁当にするしかない……」
私は勢いをつけた安浦を制止しようとした。