「カップラーメンばかり食べると栄養偏りますよ。大丈夫ですよご主人様。食材なら!」
安浦はそういうと真っ白のキッチンにある冷蔵庫を開ける。中には……。
「わあー。一杯あるわね……胡瓜?」
呉林は一瞬何かを期待して歓声をあげたが……胡瓜だけが冷蔵庫に所狭しと入っていた。
「あれ……?」
胡瓜を見る安浦も? の顔をしていた。
「あたし、胡瓜なんて買ったかしら?」
安浦はしきりに首を傾げている。あの……私の家の冷蔵庫を勝手に占領しないでくれ……。私は心の中で懇願していた。
「これもねじ曲がった現実の世界のせいなの!」
安浦は憤りをしんしんと溜めている顔で霧画に向かって声を発した。
「ええ。そうかも知れないわ。でも、いったい何を買ったの。それが解れば理解しやすいわ」
霧画は落ち着いて対応しているが、内心はひやりものだろうか。
「ええと、ケイパー、アンチョビーとオリーブの実、それとプチトマトとリングィーネ。後、赤とうがらし、ニンニク」
私は空腹に負けて安浦に同情した。
どうやら、プッタネスカを作ろうとしたのだろう。
「そんなに色々と買ったの。それが、あっという間に……。あ、やっぱりごめんなさい解らないわ。でも、それは夢の侵食のせいみたいよ」
霧画も呉林も頭を抱える。
「やっぱり、姉さん。この世界でも侵食や歪みがひどくでているの。それも私たちの身の周りで起きているみたいだし」
「そうみたい。私はこんな体験はさっきしかしていないけど……。その事象に何か邪悪な意図があることが解るわ。今は胡瓜だけど……」
「キラーが出たのはやっぱり、なのね」
「そうみたい」
話が一連の夢に関係してきた。ここで、詳しく聞いた方がいいと私は身構えた。
安浦も今度は食材が関係したせいもあって……真剣に聞こうとした。
「霧画さん。キラーって。俺たちはやっぱり誰かに狙われているんですか?」
私は不思議と怖さが薄くなっている頭で彼女に身を乗り出して聞いた。
「そうよ。恐らくこういうような体験を連続しても、生存率が高いのがシャーマンに気が付かれたみたいなのよ。シャーマンは私たちをキラーで殺そうとしているみたいね。キラーとは……恐ろしいけど、金で雇われているの。そして、人殺しに特化しているわ」
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