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値札のついた幸せ

第1話 - 216と1127

172

2025年09月29日

#Snow Man

#雪男

朔弥

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません
深澤→「」

目黒→『』

阿部→《》

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深澤side

牢獄のような無機質な部屋に放り込まれた4人の男の元へと歩きだす。彼らが逃げ出せないようにと無駄に長くて分岐点の多い廊下に、自身の足音のみが反響してやけにうるさい。段々と明かりが見えてきて、微かに話し声が聞こえてくる。二部屋あるうちの静かな方から声をかける

「おはよ。調子どう？」

『おはようございます。俺はまあ、元気ですけど…1127はまだ寝てますね。昨日遅くまで何か書いてたんで』

応答したのは背が高くてそれなりにガタイのいい男、216番。ここに来たときから綺麗な顔立ちをしていて、一際目を引く存在だった。まあ、警戒しているのと本人がゆったりしているから会話のテンポが他の人たちと合わないらしく、俺と1127番以外とはあまり喋らないのだけど。

「ん、そっか。起こして貰える？」

『おーい。おーい起きて。えと、1127、看守来てるよ』

《…ん、？あ、216おはよ。今何時？》

『わかんない。けど、ふかざわさん来たよ』

《えっ深澤さん？あ、え、ごめんなさい俺…》

俺が来ているのを見て狼狽えたのは1127番。昨日何か書き物をしていたというのは、彼の趣味である勉強のことだろうか。此方も顔立ちの整った長身の男だが、216番と並ぶと少し小柄に見えるという不思議な現象が起こる。細身だと言うことも関係しているのかもしれない。けど、俺よりでかいんだよなあ…

「いーのいーの、よく眠れた？」

《はい、お陰さまで》

「それはよかった。」

《でもなんでわざわざ朝から来てくださったんですか？》

『確かに、また他の部屋のやつらが脱走したとかですか、』

「いやいや、今日は君たちに報告があってきたのよ」

《報告…ですか、？》

「そ。それなりに嬉しい報告なんじゃないかな」

1127は神妙な面持ちで俺の話に耳を傾けていて、216は何か考えているような素振りを見せている。こいつちょっとアホだからなぁ…多分全然見当違いなことを思い付いているんだろう

『え、夜ご飯チーズリゾットですか』

「そうそう、今日の夕飯はチーズ…じゃないのよ。そんなことここ来てまで言わないわ」

『そうですか…』

《もー216昨日からご飯のことしか言わないじゃん笑》

『お腹空いててさぁ笑』

1127が笑うと216もつられたように笑いだす。216は1127が笑ってくれるのが本当に嬉しいらしい。そして1127もその216の行動をきっと愛おしく思っている。お互いのことを信頼し合っているからこそのこの空気感なんだろう。先程は嬉しい報告だと言ったが、こんな彼らにとってはあまり嬉しくない報告だったかもしれない。

《で、本題はなんですか？》

「あ、あぁ本題ね…」

《なんかドキドキするね》

『なんだろ、ここ出れるとか？』

「えっとね、間違ってはない」

『まじで？』

「1127の引き取り先が決まった」

《え、？216は…》

『？よかったじゃん、おめでとう』

「んで、216もそういう話が出てる」

『えっ』

《！！よかった、おめでとう！！！》