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何か足りなかったのは猫ちゃんか… 確かにおらふくん猫飼ってるもんね… そこまで考察出来なかった…思い出の写真とかそういうのかと思ってたわ…w 余談ですが、おらふくんの囚人番号おらふくんの誕生日ですね! そこは気づけました…( ≖ᴗ≖)ニヤッ
俺は今、警察署の前にいる。警察署の入口をくぐり、堂々と歩いていく。
そして、言う。
「俺は、人を殺しました。」
警察の人たちは驚きながら俺を見た。
「逮捕するなら今です。逮捕しないなら、俺は自殺します。」
そういうと、警察は事件現場までの案内を頼んできた。
「俺の後悔はね、早いうちに自首できなかったことなんだ。」
その言葉を聞いて、自然と涙があふれてくる。
「やっぱ、おらふくんには、俺と同じ後悔はしてほしくない。」
この人は、どこまで優しいんだ。どうして、こんなに優しい人が人を殺さなければならなかったんだ。
俺は、次々とあふれてくる涙を拭いながら、ぼんさんの話を聞いた。
「俺は、今自首すると確実に死刑だ。指名手配までされてるし、今まで殺した人数は数しれずだ。だから、まだ軽いうちに、おらふくんには自首してほしい。後悔しないためにも。」
自首をすすめてくる罪人なんて、聞いたことがない。というか、この世の中、この人くらいだろう。
「釈放されたら、俺に会いにきちゃダメだよ?」
ぼんさんは少し涙ぐみながら言い、俺を抱きしめた。
俺は、ぼんさんと別れるのが嫌だった。一生、別れたくなかった。でも、ぼんさんは俺の背中を押して「ばいばい。」と笑顔で言った。
俺は別れを惜しみながら、ぼんさんとお別れをした。
警察に事件現場まで案内をした。
警察と一緒に玄関に上がると、また物足りなさが襲ってくる。
寝室のドアを開けると、警察はぼんさんと同じような反応をした。相当腐っているようだ。
クローゼットを開けると、前と同じ状態の死体があった。
それを見て、警察は俺と向き合って、手を前に出すように指示した。
………俺は抵抗せず、手錠をかけてもらった。
俺が確定犯人でも、警察は事情聴取を欠かさなかった。
俺は、事件について語った。もちろん、ぼんさんのことは言わなかった。
ただ、「殺した理由は覚えてない。」と必死に伝えた。
警察は、事件の真相が分かったら知らせることと、なにか思い出したら教えるようにと言った。
牢屋の中は思ったより冷たかった。
隣から、こんな声が聞こえてきた。
「どんな罪を犯したんだい?俺は強盗だよ。」
答えるつもりはない。俺は完全に無視して、寝転がった。
「無視かい?酷いねぇ。罪人に優しくしてくれる人は少ないんだ。君は俺に優しくしてくれないのかい?」
隣の人は酔ったおじさんのような喋り方をする。
「優しくなんてするわけないじゃないか。俺も貴方も罪人だ。罪人同士、罵り合おうじゃないか。」
そういうと「硬いこというなよ。」と笑う隣の人。本当にウザいと感じてしまう。
本当に、ぼんさんは特別だった。こんなに罪人っぽくなかった。
「おい、No.522。」
突然、俺を呼ぶ声がして、パッと起き上がった。柵の外には、さっきの警察がいた。
「ちょっと来てくれないか。」
俺は、大人しく警察に着いていった。
さっきの事情聴取をする部屋に連れ込まれた。何か分かったのだろうか。
「君に、礼を言うよ。」
一言目がそれだったもんだから、驚いて目を見開いてしまう。
「君が殺してしまったのは、凶悪犯だったんだ。」
まさか、そんな人だったとは。
「その凶悪犯は、たくさんの子供を殺めたんだ。だが、顔は知れているものの、行方不明だった。逮捕しても、死刑だった。だから、これで怖がる子供も減ったよ。ありがとう。」
あの人は、そんな人だったとは驚きだった。
「俺は、子供を殺めた人を殺めました。だから、俺も子供をたくさん殺めたもんです。お礼なんて言わないで下さい。」
そういうと、「そうか。」と冷たく返された。
「あと、この子たちは君の子か?」
この子?なんのことだろう。
そう思って、手渡された写真を見ると、血だらけの猫が2匹写っていた。
その瞬間、俺は椅子から崩れ落ちた。
話をメモしていた人は、驚いて俺の近くまで来た。
「思い……出しました……。」
俺の目からは、大量の涙が流れていく。猫の写真を抱きしめながら、俺は思い出したことを警察の人に伝えた。
その日は、仕事で少し帰りが遅くなった。
ドアを開けると、2匹が玄関でお出迎えをしてくれなかった。それに違和感を抱いたんだ。
俺は、玄関の靴箱の上に置いてある花瓶を手に持って、リビングに入った。
リビングには誰もいなくて、いつも閉まっているはずの寝室のドアが開いていることに気づいた。
寝室に入ると、知らない男が一人、俺のベッドの上でスマホをいじっていた。
「誰だ……?」
そう問いかけると、男は顔をあげて「帰ってきたのか。」と言った。
「この家に上がったら、猫2匹がしつこかったもんだから、殺しちまったよ。」
そうクスクス笑いながら言う男。
「知ってるか?俺の顔。俺は、20人ちょっとの子供を殺したんだ。」
怒りが頂点に達した俺は、そう言ってクスクス笑う男に、持っていた鞄を投げた。
怒って、こっちへ来る男。俺は花瓶を握る力を大にして、男の頭目がけて殴った。
男は、すぐ倒れて痛みに唸り始めた。
俺は怒りに任せて、男の頭を意識がなくなるまで殴り続けた。
衝撃に耐性がある花瓶だったが、何度もの強い衝撃で割れた。
そして、俺は我に返った。
俺は、愛猫の名前を呟きながら、泣き続ける。
玄関に上がった時の物足りなさは、あの子達がいなかったからだったんだ。
泣き続ける俺の前に警察がしゃがんだ。
「”家族”を失って辛いのは、誰だってそうだ。だが、お前は罪人だ。自分の犯した罪に向き合い、その子たちの分まで生きるんだ。」
そう言って、出ていってしまった。
俺は、牢屋に戻されても泣き続けた。写真の中の2匹は残酷な姿だったため、見たくないと思い、警察に返した。
ぼんさん、ありがとう。俺、思い出せたよ。
ぼんさんも、喜んでくれてるだろうか。