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百済るくあ【colorful】
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#執着
猫とろ
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臣桜
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お盆休み初日。
電車を降りた瞬間、むわっとした夏の熱気が肌にまとわりついた。
数年ぶりに見る地元の景色。
駅前のロータリー。
シャッターの下りた商店街。
昔から変わらない、色あせたスーパーの看板。
駅からバスに乗って、住宅街へ向かう。
蝉の声。アスファルトに反射する熱。
バス停から実家に向かって歩くうちに、過去の記憶が足元から立ち上がってくる。
放課後、画びょうを刺されたリュックを背負って俯いて歩いた道。
体操着袋を投げ捨てられた公園。
今なら笑って流せる。そう思っていた。
でも実際に戻ってくると、身体のどこかが当時の痛みを覚えているみたいで、息苦しかった。
「王子谷さん。顔色、悪いですよ? 大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫っすよ」
コンビニで買ったペットボトルの水を、無理やり喉に流し込んだ。
***
実家の門の前に立つ。
年季の入った二階建ての家。
玄関横には、母さんが育てているプランターの花が並んでいる。
昔と同じだ。
「……緊張してます?」
彼女が尋ねる。
「し、してないっす」
「本当に?」
「……少しだけ」
正直に言うと、ふっと笑った。
「王子谷さんでも、緊張するんですね」
「しますよ。俺を何だと……。彼女を実家に連れてくること自体、初めてで……」
そう言った瞬間。
ガラッ、と玄関のドアが開いた。
「聞こえてるわよ、流星」
「母さん!?」
現れたのは、エプロン姿の母さんだった。
王子谷美奈子。看護師長。浮気夫が家を出ていったあと、看護学校に入り直し、俺と莉央を一人で育て上げた、我が家最強の女帝である。
「おかえり、流星」
「……た、ただいま」
母さんの視線が、すぐに隣の彼女へ向いた。
「あら。すみれちゃん?」
「お久しぶりです。小森です」
小森が丁寧に頭を下げる。
母さんは、ぱあっと顔を輝かせた。
「やだ、中学生以来? 大きくなったわねぇ。お母さん、元気?」
「はい。母も、王子谷さんのお母さんによろしくって言ってました」
「あとで連絡しなきゃね」
母さんは、完全に彼女へロックオンした。
「今、看護師さんなんですって?」
「はい。まだまだ勉強中ですけど」
「夜勤はある?」
「今はクリニックなのでないんですけど、去年までは総合病院だったのでありました」
「夜勤明けって、帰りにコンビニで甘いパンとかチョコを買っちゃわない?」
「買います……!」
「分かるわぁ。あれが命綱なのよね」
「分かります……!」
(盛り上がりすぎじゃん!?)
俺の彼女紹介イベントは、開始三十秒で看護師あるある大会に変貌した。
小森も母さんも、なぜか目を輝かせている。
(なにこの戦友感……。俺、実家に彼女を連れてきたはずなのに、完全に部外者扱い……)
「さ、上がって。莉央も待ってるわよ」
母さんがスリッパを出す。
その名前を聞いた瞬間、俺は少しだけ身構えた。
妹の莉央。
顔立ちは整っているが、愛想というものをどこかに置き忘れてきた毒舌女子である。
学校では男子だけでなく女子からもやたらモテるらしいが、本人は恋愛にまったく興味がない。
バレンタイン及びホワイトデーにもらった大量のスイーツは、未開封の市販品だけフードバンクに寄付し、手作りクッキーについては「知らない人の手作りは怖い」と、近所の鳩と相談していた。
そして何より、俺の黒歴史をすべて握っている超危険人物だ。
「小森さん」
「はい?」
「莉央の発言は、九割くらい聞き流してください……」
「え、そんなにですか?……分かりました」
(分かってない。アイツの恐ろしさをたぶん全然分かってない……)
コメント
1件
うわああ第237話も読み終えたよ〜〜!!🌸✨ お盆帰省からの実家シーン、母さんの「看護師あるある大会」で完全に部外者になってる王子谷さんが面白すぎたww😂💕 小森さんとの戦友感すごいし、妹・莉央の“鳩と相談”エピソードにはマジで吹いた🤣🕊️ こっからの妹審査、超楽しみすぎる…次の展開が待ちきれないよ!!