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夜の横浜。港の灯りが水面に揺れて、夜風が静かに吹き抜ける。
「敦くん、そんなに緊張しなくてもいいのに」
太宰が微笑みながら、ふっと敦の頬に触れた。
「だ、だって……太宰さんが……こんなに近いから……」
敦は顔を真っ赤にしながら、困ったように視線を逸らす。
「ふふっ、可愛いなぁ敦くんは」
「からかわないでください……!」
敦が拗ねたように言うと、太宰はクスっと笑った。
「敦くん、私が君をからかってるように見える?」
「……え?」
太宰がふっと顔を近づける。
「だって、私は本気だよ?」
「え……っ、太宰さん……?」
「ねぇ、敦くん……私がどれだけ君を愛してるか、分かる?」
太宰の瞳が、いつもの軽やかなものとは違って、深く、真剣な色に染まっている。
「……太宰さん……」
敦が名前を呼ぶと、太宰はそっと敦の頬に触れ、優しく撫でた。
「敦くん……」
太宰は一瞬だけためらったように瞳を閉じ、それから――
「……好きだよ」
そう囁くと、ゆっくりと敦の唇に自分の唇を重ねた。
「……っ!!」
敦の瞳が大きく見開かれる。けれど、太宰の手が優しく背中に回され、逃げられないようにそっと抱きしめられる。
「……太宰……さん……」
「ふふ……敦くん、顔が真っ赤だよ」
キスを終えた太宰は、敦の耳元で甘く囁いた。
「私にこんなに愛されて……どうする?」
敦は何も答えられないまま、太宰にそっと抱きしめられていた―。