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天音隊の現状視察許可か」「はい」
短い返答。
補佐官は小さく頷いた。
「許可しよう」
天音は一瞬だけ目を瞬かせた。
あまりにもあっさりしていた。
反対も質問もない。
補佐官はすでにペンを走らせている。
「滞在期間は三日」
さらさらと文字が並ぶ。
「監督官を付ける」
天音の視線が書類へ落ちる。
補佐官は続けた。
「監督官は私だ」
ペンが止まる。
署名。
そして判。
乾いた音が執務室に響いた。
「以上だ」
書類が差し出される。
天音は受け取った。
視察許可。
三日間の滞在。
首相補佐官同行。
既に全て記載されている。
「監督官、ですか」
補佐官は椅子にもたれた。
「不満かね」
「いえ」
「そうだろう」
補佐官は微笑む。
まるで雑談でもするような口調だった。
「国家の重要人員を前線へ送るんだ」
「監督役くらい付ける」
天音は何も言わない。
補佐官は指を組んだ。
「安心したまえ」
「私は面倒なことは嫌いだ」
穏やかな笑み。
しかし次の言葉は冷たかった。
「君が余計なことをしなければ、三日間好きに過ごして構わん」
沈黙。
補佐官は続ける。
「だが私の機嫌を損ねたら帰還だ」
まるで天気の話だった。
軽い口調。
冗談にも聞こえる。
だからこそ本気だと分かる。
「一日目だろうが二日目だろうが関係ない」
「その場で連れ帰る」
天音は補佐官を見る。
補佐官は笑っていた。
怒っている様子はない。
威圧もない。
ただ事実を告げているだけだった。
「了解しました」
補佐官は満足そうに頷く。
「結構」
書類を片付け始める。
もう話は終わったらしい。
「出発は三日後」
「準備をしておけ」
「了解しました」
敬礼。
天音は踵を返す。
扉へ向かう。
「少尉」
呼び止められる。
振り返ると補佐官は別の書類を開いていた。
視線すら向けていない。
「私の機嫌を損ねるなよ」
静かな声だった。
「せっかく許可したんだ」
天音は数秒だけ沈黙した。
そして。
「努力します」
補佐官は小さく笑った。
「それでいい」
天音が退室する。
扉が閉まる。
執務室には再び静寂が戻った。
補佐官は書類から目を離さない。
まるで先ほどのやり取りなど、すでに終わった仕事の一つでしかないかのように。
コメント
1件
第6話読み終わったー!今回めっちゃ空気感がいいね。補佐官の「機嫌を損ねるなよ」って軽い口調で言うとこ、逆に冷たさが際立っててゾクッとしたわ。天音少尉の「努力します」って短い返しも、二人の関係性がにじみ出てて好き。許可は出たけど緊張感が残る終わり方、続きが気になる🔥