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この手をもう一度。
DDTが解散して二年たった、俺らたちは皆んな新しくチームを組み戦った、
乱数と寂雷さんは仲直りした、それと左馬刻と俺も。
それでもあの時を今更無かった事になんてすぐには出来なかった。
それでも、少しずつ近づいてた、少しずつ。
その日は調子があまり良く無かった、思うように体がうごかなくて苦戦した。
怪我した、帰ったときに弟達が心配すると思い、依頼で遅くなると嘘をついた、らしくない。
どうも意識を保つことが辛くなった俺は、路地に入り意識を飛ばした。
もし、乱数や左馬刻さんが見つけてくれて、もし、偶然、何かの間違いでもなんでも良かった。
けどそんな事は起こらなかった、長い夢を見た、長く楽しい夢、誰かに凄く愛されて俺も凄い大好きで、愛し愛されみたいな、なんかそんなあやふやな何か、もう何も分からなかった。
この時点、いやもっと前から俺は限界だったのかもしれない。
路地に光が差し込む、太陽のことがこんなにも憎いと思ったのは初めてだ、
楽しい夢を邪魔された怒りと、このまま一生眠っていたかったという悲しみ。
重い身体を起こし、家に帰った、鏡を見るとひどい顔をした俺がいた、弟達が寝ていて良かったと思った、「こんな顔見られたら心配されちまう」
顔を洗い朝飯を作る。
「あれにいちゃん帰ってたの?おかえりなさい」
朝飯を作ろうとしたのかいつもより早く二郎が降りてきた。
「手伝うよ」
「ありがとな」
「…にいちゃん怪我した?」
少しドキッとしたが、手の擦り傷の事かと気づき、安心した。
「帰り道にちょっとな」と少し誤魔化した。
少し疑った顔をした二郎だったが嘘ではないと思ったのか「そっか」と言いそこで話は終わった。
少し経った頃に三郎が起きてきた、
「いちにいおかえりなさい、おはようございます」
「ただいま三郎 おはよう」
三人でご飯を食べ学校に行き、仕事をして、たまに遊んで、ゲームして、ラノベの新刊買って。
すんげー幸せ、けどなんかかけてる、なんか
ぽっかり空いた穴、何で埋まるか分からない大きな大きな穴。
心臓が苦しい、ぎゅと握る、痛い
「何求めてんだ俺…?」
繋いでいた手を離される気持ちはもうごめんだ、なら先にこっちが離せばいい、そもそもを拒絶すればいいそうだ、そもそもがなければ何も苦しむことがないもうすてられたくない…。
弟達以外を俺は少しずつ周りを拒絶し始めた、乱数の飯の話を断ったり、銃兎さんの依頼の話を二郎か三郎に聞いてきてもらったり、DDTに関係することある事を重点的に避けるようになった。
「ーでさーって左馬刻聞いてるー?」
「あ“ー?」
「聞いてないよねーー??!!もー!!」
「文句あるなら俺以外に聞いてもらえ。そもそもなんで俺なんだよ」
「えーーだって最近いちろー遊んでくれないんだもんーー」
「あいつ最近忙しいんか?」
「最近はずっと忙しいかしんどいからって断られちゃって〜」
「お前なんかしたんか?嫌われたんじゃねーのか?」
「は?死ね」
「キレすぎだ」
「…真面目な話一郎大丈夫かなって」
「なんでだ」
「女の子から聞いたんだけど、バー に最近一郎に似た子がいるんだって、毎日だれかと店を出てホテルに入るらしい、しかもその誰かっていうのが女じゃなく男っていう。」
冷静な声で聞く。
「…もしそれが一郎ならもっと話題になってるはずじゃねえか」
「…一郎に似た子っていうのが顔立ちは一郎なんだけど、ほくろがなくて目がどっちも黒い…、こんな一郎の個性無くしましたみたいな子、一郎の変装にしか思えない。」
「なんでそんなことする必要あんだ…」
辛そうな声で呟く。
「今日はなんか知らないかと思って呼んだけど…その様子じゃなんも知らないみたいだね」
「知ってたらとっくにぶっ殺してたわ」
「…そっか」
帰ると言い放ち金を置き背を向けた。
バンッ
「んで…っ!、くっそがあのクソ野朗…っ」
変装までして男に抱かれに行く一郎の意図が分からなかった左馬刻は怒りに身を任せ車を走らせた。